自分の「職能」をどう開発し、どう向上させていったらよいだろうか。
一番大事なのは、「作業」と「仕事」の違いを意識しながら働くことである。
その区別は、「考える」要素の有無、もしくは大小にある。
営業の仕事に則して述べるなら、顧客の引き合いに対し、それに応えて見積書を持っていくのは「作業」である。
こうした営業活動を繰り返したところで、これといったノウハウは残らない。
5年、10年、20年の営業経験があれば、部下や後輩に対し、自分なりの賢いやり方を3日間くらい教えられて当然だ。
しかし、現実にそうできない。語るべきノウハウを持っていないからである。
ところが、顧客の引き合いに対し、その背景や意図を汲んで提案を投げかけるのは「仕事」である。
わずかなきっかけを生かし、潜在ニーズを掘り起こしたことになる。注目の「ソリューション」とは、これ。
そして、それは「考える」ことにより、初めて可能となる。
実は、私たちが作業をこなすだけでは、職能は開発されない、向上させられない。
確かに1日の大半、1年の大半は、頭を巡らす必要のない習慣性の作業から成り立つ。
それがあるから、私たちは生活や仕事のなかで、弛緩の時間を持てるとさえいえよう。緊張の連続に耐えられない。
ただし、それがすべてであっては、進歩も成長もない。
職業人生で成功を得たいなら、労働における作業の比重を減らし、仕事の比重を増やしていくことが絶対だろう。
最近しばしば耳にする言葉に「ワーキングプア」がある。
働けど働けど貧しい人を守るべきだという主張、いや同情論とともに使われる。
しかし、働きの“質”について、議論されることがない。労働が作業に留まっているせいではないのか。
他責にする限り、自分や家族は永久に救われない。
私たちは、ときどき働き方を振り返り、じっくり作業と仕事の割合を検証してみよう。

Copyright ©2007 by Sou Wada

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