先月上旬だったか、大型書店に『プロ講師になる方法』という新刊が積まれていた。
ちょっと気になるテーマだったので、買わない。
誤解があるといけないので、説明を補足しよう。
あくまでも私の本の買い方を述べたのであって、内容の良し悪しと無関係である。
だって、手に取っていないのだから…。
ただ、この書名が頭に1カ月くらい引っかかっており、私はそれについてずっと考えつづけている。
自分は、はたしてプロ講師になれるかどうか。
その答が、はっきりした。
人に伝える「知識」でなく、人に語るべき「経験」があるかどうかで判断すれば、まず間違いがないだろう。
講師として独立してみたものの、仕事がほとんどないという最悪の事態は避けられる。
誤解があるといけないので、説明を補足しよう。
語る経験でなく、語るべき経験である。
金を払ってくれた人へ聞かせるに値する経験、金を払ってくれた人が聞いてよかったと思える経験という意味である。
なお、参加者の5〜8割がそう思うこと。
さて、人に語るべき「経験」が、朝から夕まで、数日は大丈夫であれば、その分野のプロ講師になれる。
わりと長く“講師商売”で食っていけるのではないか。
仕事に必要となる“実務知識”は、どこかの本にかならず収録されているので、それらの多寡で判断するのは危険、いや無謀といえる。
そもそも知識の伝達は、人より「本」というメディアのほうが適している。
なぜなら、「話す」より「読む」スピードのほうがはるかに速く、断然効率がよいからだ。
人が本より明らかに勝るのは、肉声を通じ、おもに「気づき」を促す場合である。
言い換えれば、自分の経験に則し、そこからつかんだ生っぽい「知恵」を与えるときだ。
これらの話から、プロ講師になるために、サラリーマンのうちにどのような“備え”を行うべきかが明確になったのではなかろうか。
したがって、実務経験を積めない、HRDの別会社に在籍する講師は、大きなハンディを負うことになる。
つまり、「他人の知識」でなく、「自分の気づき」をどれほど保有しているかにより、判断を下せばよい。
他人の知識は、世間に発表したり外部で披露したりすると「著作権侵害」に該当してしまうため、プロ講師になるうえでほとんど役に立たない。

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