先頃、「第14回カナガワビエンナーレ国際児童画展」の審査結果がホームページ上で発表された。
応募者は、神奈川県と世界百カ国以上の子どもたち。横浜港などを抱える、神奈川県にふさわしい企画である。
ビエンナーレとは、2年に1回という意味のイタリア語。
さて、3月1日のブログで紹介したように、小学3年生の子どもは「みんな仲よし、夢の学校」という空想の作品を応募した。長らく通う、センター南駅そばのお絵描き教室、笠井一男先生が主宰する「横浜画塾」を通して…。
4月8日のブログに掲載した「第4回ブリヂストンこどもエコ絵画コンクール」の応募作品「自然広がる小笠原!」のちょうど倍のサイズ、四つ切り(380ミリ×540ミリ)である。やはり迫力が違う。
巨大な樹木と、その根っこから広がる、奔放なイメージを絵にしたもの。
画用紙の左半分の“影”の部分が「恐竜の時代」である。そして、右半分の“光”の部分が「自然のテーマパーク」である。遠くに校舎も見える。
そこでクラスメイトが楽しく遊んでいる光景である。
精一杯の情熱と手間を注ぎ込んだが、残念ながら選外に…。
なお、写真はひどく黄色っぽく、くすんでいる。原画は全体にかなり青っぽい印象である。赤も強い。きわめて鮮やかな色彩である。
制作の過程は、「自然広がる小笠原!」と同じく、凄まじいものだった(割愛)。
アイデアをあたためた時間…。絵を描くための資料を探し回った時間…。夕食や入浴の後、就寝の前など、気になる箇所に手を加えつづけた時間…。
これらを足しあげるだけで、かなりの時間になる。それを含めないで、スケッチから完成まで、妻が把握している範囲でも40時間以上は費やしている。
合計では「60時間」に達するだろう。
9歳の子どもの限界を超えた集中力と努力、そして上位入賞への執念で、この作品を完成させた。
とくにこだわったのは、「アイデア」と「構図」である。子どもの絵の最大の特徴といってよい。前者については、発想訓練を積んできた。
親のひいき目では素晴らしい作品だが、絵の「才能」が乏しいのか。
まあ、才能が豊かな子どもは、こうした絵を描かない。
アイデアだの構図だの、気合だの死力だのは、ほとんど関係ない。ごく普通に、ごく自然に描いて、なおかつ見る者へ強く訴えかける作品に仕上がる。
私が審査結果を伝えると、子どもは目を伏せた。親といえども悲しい表情を見られたくないのだろう。いとおしい。
最近ではすっかり自信を失くしたようで、「絵は難しい」「絵が分からない」などともらすようになった。
描くことは大好きだけれど、描くことに迷いが出ている。
心底、絵が好きな子どもだった。幼児期、裏が白のチラシを妻にねだっては、来る日も来る日も絵を描いていた。
どうか早く吹っ切れてほしい。頑張っていれば、そのうちにいいこともある…。
お絵描き教室の笠井一男先生からも、そうした言葉をいただいたようだ。
なお、カナガワビエンナーレ国際児童画展は、応募票に明記すれば、選外作品は有料で返却される。
子どもの手元に、まもなく絵が戻ってくる。せめてもの救いである。
おやすみなさい。

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