満55歳の年度末にめでたく「定年退職」を迎える…。
この2〜3年、やけにくたびれるようになった。執筆していても、講演していても、以前と疲労の重さが全然違う。
あるとき、ふと気づいた。
私は、つい最近までの定年の年齢に達しているのだ。昨年7月で満55歳、疲れるわけである。
だれにも愚痴をこぼさないおやじが、衰えを嘆いたことがあった。
「弱音を吐くなんて、らしくないなぁ」。
いま、おやじの気持ちが、ほんの少し分かるようになった。病気がちなおふくろを気づかい、頼りない子どもを案じながら、忍び寄る「老い」と懸命に闘っていたのだ。ありがとう。
私は、自分が下り坂に突入したことを認めざるをえない。
利き目の「右」がすっかりダメになった。焦点を結ばない。そして、疲労が眼だけでなく頭、首や肩、背中にまで及ぶ。
昨日から朝方までかかり、パソコンで稟議書のようなものを作成した。起きたら右が目やに覆われ、開けられない。
午後、顧客との打ち合わせでも「花粉症ですか」と勘違いされた。スライドショーの文字も見えない…。
ちょっと根を詰めると、このありさまだから、執筆がはかどるはずがない。なかなか「本」を出せない。もっと悲しいのは、新聞の本文を読めなくなったことである。したがって、雑誌や書籍も…。経済情報は「WBS」に頼っている。
ところで、私より年上、団塊の世代の知人が嘆いてみせた。
「さあ定年だと思うたびに、定年が延びる」。
彼は働くのが大好きだから、まんざらでもなさそうだ。
それに仕事一筋に生きてきた人は、仕事をやめた途端に老け込みやすい。
「高齢まで働きつづけ、ある日ぽっくり死ぬのが家族に迷惑もかからず、理想なのかもしれませんね」。
以前、営業実践大学の古参会員と、そんな会話を交わしたことを思い出した。
おやすみなさい。

Copyright ©2007 by Sou Wada

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