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私は何事も奥手である。
仕事柄、辞典や事典を引く機会が多い。
電子辞書がいいという話はしばしば耳にしたが、つい最近まで“現物”にこだわっていた。
使い慣れたものをわざわざ変える必要はないとの気持ちが強かった。
ところが、私が尊敬する知人から呆れ顔とともに勧められ、半信半疑で買った。
…実際に使ってみて、あまりの便利さに驚きを隠せない。

コンテンツは百種類!
このなかには百科事典も含まれるので、百冊以上がコンパクトなハードのなかに収められている。
これを本で購入するとなると金額が膨らむし、スペースも奪われる。
電子辞書は机の隅にちょこん。

例えば、私がもっとも頼りにする岩波書店「広辞苑」は大きく重い。
本棚に取りにいき、机に持ってきて用いる。そして本棚に戻しにいく。すべてが面倒である。
それ以前に、私は腰痛・背筋痛・肩痛を抱えており、イスから立ちあがるのが苦労である。
たった一つの言葉を調べるだけなのに…。
これが電子辞書では手軽かつ瞬時に行える。
机の上はパソコンと周辺機器、当面の仕事に関わる資料などに占拠され、頻繁に使う辞典でも置く余裕がない。

もう一つメリット。
私はひどい近視と乱視に老眼が加わり、大きくなった新聞の本文さえ読みにくい。
小さな文字が宿命の辞典だとメガネを外し、ページに鼻を近づけるようにして読まなければならない。
そして逆を行い、パソコンの文書や原稿に向かう。
こうした時間がバカにならず、そのうえ目も疲れる。
電子辞書では自分の視力に応じて文字の大きさを変えられるので、これまでの煩わしさと辛さから解き放たれた。
そう、老人に優しい。

変化が激しい時代では、私のような奥手は損をするのか。
ダメでもともとという気持ちで、技術革新により登場した商品やサービスを果敢に試したほうがよいのかも…。
こんな優れものなら当初から使うべきだった。
ほんとうに後悔している。

ただし、電子辞書では気ままにページをめくる使い方ができにくい。
例えば、名言集やことわざ辞典から好きな言葉を見つける場合に適さない。
あくまでも調べる際に絶大な威力を発揮することを付け加えておこう。
目的性の強い利用に限られる。

いや待てよ。
多様なコンテンツの横断閲覧が可能なので、その過程で発見や遊びの要素も多いか…。
確かに本では叶えられない。

若い世代はこうした機器をいとも簡単に使いこなす。
ひょっとして彼らは電子辞書を楽しむ?

そういえば、通販会社からわが家に電子辞書が届いたとき、私より先に使った小学5年生の子どもが満足気な表情で返しにきた。

Copyright ©2008 by Sou Wada