知識と行動の乖離。
知っているのに行わない。
知っているわりに行えない。

知ることが目的となっている人にしばしば見受けられる。
成果はもっぱら行うことによりもたらされるというのに…。

両者の乖離が大きい人は傍観者になりやすい。
外野に陣取った批評家や評論家…。
仕事で成果を上げられるはずもなく、会社における評価や地位も低いままである。
それだけならよいが、こういう人が職場に水を差し、雰囲気を暗くする。
むしろ実害をもたらす…。

得た知識が行動を起こすためでなく、行動にブレーキをかけるために使われるとしたら、これほど愚かなことはない。

例えば、日本人の起業意欲は、先進国と新興国を合わせても最低に近い。
日本では産業経済の活性化を図るべく、授業料が格安の公的機関を含め、起業を学べる場所や機会はそれなりに用意されている。
最高峰に位置づけられる社会人大学院(MBA)は高額であり、本格的なカリキュラムを提供している。
起業の促進を高らかに謳うところも少なくない。

ところが、学生は知るに留まり、行うに至らない。
これでは投資が生きているとは言いがたい。
大学での勉強の延長にすぎないのか、はたまた親がカネを出してくれたのか…。

知ることに喜びを感じない私のような人間でさえ、知っていることは少なくない。
このなかのどれくらいを実際に行っているかが肝心だろう。

そもそも社会人大学院で知るために受ける講義などというものはない。行うために受ける。
知るために読むビジネス本などというものはない。行うために読む。
この程度のことも分かっていない人が多すぎる。
したがって、講義やビジネス本の評価に「知っていることばかり」というのはナンセンス。
「行っていることばかり」。

                       ◇

「読書の秋」らしい。
私にはピンと来ないが、百歩譲り、ならば「行動の春」があってよい。
職業人生を決定づけるのは後者。

Copyright ©2008 by Sou Wada

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