世界が金融資本主義に浸かっている。
根底には、カネは人類に繁栄や幸福をもたらすはずとの楽観的な思想、いや寝ぼけた思い込みがある。
要は、カネの働きに経済どころか社会を委ねる。

しかし、カネの関心は、上昇局面では自己増殖にしかなく、下降局面では自己防衛にしかない。
したがって、景気変動の振幅と速度は想像を絶するほど大きくなる。
人間が世界を支配していたときには、いくらか先行きを見通せた。
カネが世界を支配する今日では、著名な経済評論家を含めてだれも先行きを見通せない。
厚顔か健忘症でないと、テレビのコメンテーターは務まらない。

ジェットコースター時代の幕開き―。
私たちは今後、今回のような劇的な経済危機に度々見舞われると覚悟すべきだろう。
それを前提に企業経営や人生設計を行う。
前者について述べれば、社長は好況期に会社を大きくすることより、不況期に会社をつぶさないことのほうを優先する。

私は昨秋以来、経営トップや営業幹部の「個別経営相談」に乗ってきた。
そして、彼らの慌てふためく様子に接し、つくづく思う。
零細企業では難しいかもしれないが、中小企業でも社員数が数十名を超えると、好況期に強い事業と不況期に強い事業を持っていないとリスキー。
それが無理なら、せめて好況期に売れる商品と不況期に売れる商品を持っていたい。
むろん、サービスなどの無形商品を含めて…。
景気変動への対応が、企業経営における最重要課題の一つとなった。

もはや社長は好況期にカネを使えない。
例えば、規模の拡大を図ろうとして不動産を取得する、新卒など人材を獲得するとなると膨大なコストがかかる。
ところが、不況期だとつぶれかかったライバルを社員はもとより顧客ごとタダ同然で飲み込める。
相手が製造業なら工場まで…。縮小する業界で新たに設備投資など行っていたら採算が取れない。

同じ金額でも、好況期と不況期では価値がまったく違う。

また、社長が好況期にカネを借りると不況期に借りられず、会社が持ち堪えられない。

時代は変わった。
経営の考え方も行い方も何もかもこれまでと逆にしなければならない。

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