上越市の直江津駅前に「ホテルハイマート」がある。
わが人生0497率直に述べれば、印象のきわめて薄いネーミングだ。
隣の「ホテルセンチュリーイカヤ」に位負けしている。

余談ながら、ホテルセンチュリーイカヤは私が子どもの頃は「いかや旅館」という木造の古びた洋館だった。
わが人生0498当時は駅舎も木造であり、猫の額ほどの駅前広場にはそれなりの風情が漂っていた。
いまは近代的なホテルに生まれ変わっている。
私は50代になってから仕事ついでほか、3度ホテルセンチュリーイカヤに宿泊した。
屋内と室内はなかなか快適である。
2階の「レストラン・セピオーラ」はミニ会席などがとてもおいしい。深くて品のある味付けだ。
創業百5十年の老舗だけに接客もよく、私のお気に入り。

さて、名前は冴えないホテルハイマートだが、ここの駅弁は飛び切りおいしい。
私は川崎のホテルでBSジャパン(テレビ東京系のBSデジタル局)の「にっぽん駅弁列島」をたまたま見た。
わが人生0499「第12話『磯の漁火』JR北陸本線・直江津駅」。
番組では毎週、一つの駅弁にフォーカスし、つくり手と開発秘話を紹介している。
私が直江津出身ということを別にしても、面白かった。
なお、放送は土曜日午後6時30分から、再放送は金曜日午後10時30分から。

私は番組で、ホテルハイマートの代表取締役社長、山崎邦夫氏を知った。
地元の新鮮な食材にこだわった駅弁づくりに情熱を傾ける名物男らしい。
直江津駅これまでにユニークな駅弁を数多く生み出してきた。

以前、妻と子が直江津駅のホームでホテルハイマート謹製の「鱈めし」「鮭めし」を買い求めた。
前者は、全国駅弁甲子園・親子弁当対決優勝。
そして、ほくほく線の「特急はくたか(北陸・信越本線)」の車内で半分ずつ分け合った。
わが人生0500妻は「こんなにおいしい駅弁は食べたことがない」と驚嘆の声を上げた。
子どもも見事な食べっぷり。
私は喜ぶ二人を横目にがまん。一口、味見をしたかった。
価格は各千百円と安くないが、満足度が高い。
とくに「鱈めし」は絶品とか。

例により、番組は“ながら視聴”。
山崎氏は新しい駅弁をつくると、直江津の海岸に出向いて試食する(不確か)。
テレビに映っていたのは、関川の河口寄りの船見公園か。
ここから眺める夕日のような駅弁をつくってみたいと語る表情は子ども。
わが人生0501それは全国でも珍しい煮魚の駅弁になる?
また、長らく海鮮を用いてきた山崎氏は、これから野菜に挑んでみたいとも…。
次々とアイデアが沸いてくるのだろう。
私は、番組で紹介された「磯の漁火」という舌を噛みそうな名前の駅弁をいつか食べると決めた。

だいぶ先のこととはいえ、北陸新幹線が開業したら、直江津の駅弁は消えてしまう運命か。
交通の要所の地位も明け渡すことになる。
わが人生0502そうでなくても、かつて賑わったメインストリートは店仕舞いが進み、人の行き来が途絶えた。
駅前から荒川橋にかけての商店街は寂れるばかり。
どうかホテルセンチュリーイカヤと競い合い、個性的な駅弁をつくってほしい。

                       ◇

ホテルセンチュリーイカヤいまウィキペディアで知ったので、書き加える。
ホテルセンチュリーイカヤは事業見直しの一環として、2008年に駅弁事業から撤退した。
昔、駅弁はいかや旅館のほうが有名だった?
イカのユーモラスなイラストを施した駅弁があったかもしれない(記憶が曖昧)。
また、それが「いかべん」かどうかも分からない。

わが人生0503もう一つ。
ホテルハイマートのハイマートは、ドイツ語で「Heimat」。
ふるさと、故郷という意味。
そうなのか。
ビジネス客や旅行客が心からくつろげる“ふるさと”のようなホテルを目指しているのだろう。
「名前は冴えない」などと、失礼な。

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