先のブログは日曜日の執筆。
が、月曜日の日本経済新聞にビッグニュース。
2010年に「電子新聞」を創刊する。

再建屋雑記帳0834これにより、出張中に溜まった新聞にうんざりすることもなくなる。
しつこい新聞勧誘員(新聞拡張員)に悩まされることもなくなる。
読売新聞や朝日新聞はどうする?
日経に先行したり追随したりするのか。
それにつれ、このブログで再三述べたとおり、新聞販売店は歴史的な使命を終える。
日本の新聞を世界有数の発行部数に育てた戸別配達制度(宅配制度)は消滅へ。

とはいえ、日本経済新聞社が「日経」と同じものをインターネットで読めるようにするとは思えない。
再建屋雑記帳0835新聞販売店が一気に潰れてしまう。
それ以前に、日本経済新聞社は販売部数が激しく減り、経営が大きく揺らぐ。
「経済の日経が世に送り出す、あくまで新しい電子新聞ですよ」となるのでは?
電子版では編集上の差別化を図ったうえで、それならではのサービスを打ち出すはず。
日本経済新聞社は「単に新聞紙面を電子化したものでなく、多彩な機能を搭載する」と誓った。

日経の電子版の特色(メリット)を具体的に見てみよう。
第1に、紙との最大の違いとして「即時性」が得られる。
再建屋雑記帳0836朝刊と夕刊という区分けがなくなり、紙面がつねに最新の状態に更新されるのか。
移動時にも携帯電話の画面で読める。
第2に、紙幅の都合で捨てられた詳細な情報が得られる。
掲載スペースの制約がなくなるから、当然だ。
第3に、自分の興味に応じた記事を優先して読める。
閲読傾向を踏まえて記事が自動的に選び出されるのか。
この辺りは情報の検索機能とリンクするだろう。
となると、過去の膨大な記事データベース、さらに企業データベースなどを合わせて使える?
電子版の利便性は紙の比でなく、飛躍的に向上する。
情報サービスが異次元!

再建屋雑記帳0837電子版の発刊に踏み切る日本経済新聞社は内心びくびくでは…。
社内で強硬な反対意見は出なかったのか。
天下の日経ゆえに完成度の低い電子版は出さないにしろ、手探りのマーケティングが続く。
これで盤石という有料のビジネスモデルを確立することは並大抵の苦労でない。
私は、日経の果敢なチャレンジに拍手を送りたい。
パチパチパチ。
が、ある意味で遅すぎた。
日本経済新聞社は、自社の収益を守り抜くとの思惑から、そして二人三脚で読者を増やしてきた新聞販売店に対する遠慮から、「紙との共存を目指す」としている。
う〜ん。

                       ◇

日経はCMががらっと変わった。
購読者でなく“利用者”を増やそうとしはじめた。
再建屋雑記帳0838このブログで幾度か述べたとおり、読む人は不安定であり、新聞をあっさりやめる。
が、使う人は安定しており、新聞をなかなかやめられない。
CMでは、大事なプレゼンテーションに勝負をかけるビジネスパーソンのタクシー内でのやり取りが流れる。
女性(池田香織)編は「あ、もしかしたら、あの記事も使えるかも…」。
男性(竹財輝之助)編は「後もう一押し、何かないかなぁ。そうだ、あの記事…」。
どちらも締めは同じで、二人が顔を見合わせて「今朝の日経に…」とハモッちゃう。

新聞を利用すると、新聞を購読せざるをえない。
再建屋雑記帳0839この着眼が重大!
日経のCMは購読促進でなく、明らかに利用促進を意図している。
そして、利用という観点では、紙でなく電子版が圧倒的に使い勝手がよい。

                       ◇

インターネットの普及により、だれでもいつでもどこでも情報の発信者になれるようになった。
その結果、情報爆発が起こった。
再建屋雑記帳0840しかし、大半は取材を経ておらず、信頼性が低い。
匿名に近い情報も少なくない。
言い換えれば、相対的に事実情報が減り、主観情報が増えている。
だからこそ、プロが発する情報の重要性が高まる。
新聞社が先行きをいたずらに悲観するのは間違い。
問題は、ビジネスに関わるセンスと知恵の欠如である。
平たく言えば、世間知らずのボンボンボン(ボンが一つ余分なので厄介)。

コンテンツは、信頼できないと使いものにならない。
再建屋雑記帳0841日本経済新聞社が電子版の発行を通じ、情報の利用に踏み込んだサービスを提供するのは、時代の要請、いや潮流に叶っている。
私は、新しいビジネスモデルの成功を心より願う。

Copyright (c)2009 by Sou Wada

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