きのうの続き。
NHKスペシャル「自動車革命」第2回の内容は、私にとり衝撃的なものだった。
その影響は自動車産業だけでなく日本経済全体に及ぶ。
クルマの動力は、ガソリンエンジンから電気モーターへ。
再建屋雑記帳0905近い将来、クルマはすべて電気自動車(EV)に変わりそうな勢い。
ところが、ここに20世紀を謳歌した自動車メーカーにとり大問題が生じる。
電気自動車は、従来のような大規模な組み立てラインを持たなくても生産できるのだ。
要は、電化製品。
モーターとバッテリー(電池)があればつくれる?
部品の点数が1割に減少し、製造の工程がひどく簡素に…。
結果、価格は大幅に下落。

その気になれば、容易に自動車メーカーになれる。
中国や米国など、世界中に「スモール・ハンドレッド」が産声を上げている。
かつて町工場からホンダ(本田技研工業)が生まれたが、中国にもそうした熱気が渦巻いている。
再建屋雑記帳0906例えば、農村部の貧困層をターゲットに、常識外れの超低価格車の開発を進める。
このボリュームゾーンの取り込みに成功するなら、世界の新興国市場に打って出られる。
また、その計り知れない成長性に、これまでIT分野にのめり込んできた投資家がすでに目をつけている。
米国でもIT企業が「スマートグリッド」の開発を急いでいるらしいが、私は悲しいことに話をよく飲み込めない。

第13回上海国際モーターショー(2009年)には、名もないメーカーがさまざまな電気自動車を出品した。
過去最小規模となった第41回東京モーターショー(2009年)とは対照的に、こちらは過去最大規模となった。
再建屋雑記帳0907中国は国力と経済の勢いの差を見せつけた格好。
出展企業・組織は25カ国・地域の約1500社に及ぶ。
会場の賑わいと活気が目に浮かぶではないか。
むろん、長年の蓄積を持つ自動車メーカーとは、技術などすべての面における完成度で開きがある。
が、決して侮れない出来栄えだ。

こうしたうねりに対し、既存メーカーは内心穏やかでないはず。
ハイブリッド(HV)で先行したトヨタ自動車なども販売好調に浮かれていられない。
自ら電気自動車へのつなぎ、あるいは橋渡しと位置づけている節もある。
再建屋雑記帳0908また、日産自動車はライバルと一線を画し、ずばり電気自動車を重視している。
カルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)は、「電気自動車の時代に主導権を握るのは、自動車に通じたクルマメーカーだ」と語った。
それはほんとうか?

既存メーカーはクルマづくりのプロフェッショナルだから、耐久性や安全性の確保では一日の長がある。
実際、重大な要素だ。
再建屋雑記帳0909どんなに安くても、すぐに故障を起こしたり命を落としたりしたのでは、ユーザーは離れる。
だが、スモール・ハンドレッドのなかには短期間で既存メーカーの水準に近づくところが現れるのでは…。

20世紀から21世紀初頭までモータリゼーションを牽引してきた名立たる自動車メーカー。
しかし、ガソリン自動車から電気自動車への歴史的大転換を契機に、凋落の道を辿るかもしれない。
脱ガソリンは、脱エンジン(内燃機関)、そして脱自動車メーカーなのだ。
再建屋雑記帳0910既存メーカーがふと気づいたら、過去の栄光しか残っていなかったという事態が現実にならないだろうか。
いま、自動車産業を形づくってきた規範も、自動車産業を支えてきた構造も、何もかも破壊されようとしている。
これは21世紀の「産業革命」と呼んでよい。
既存メーカーは、夢と野望を抱く新規参入者と同じスタートラインに立つ?

とりわけ中国やインドなど膨大な人口を有する新興国市場で超低価格の電気自動車の普及に火がついたとき、自動車メーカーの勢力図は一変するのでないか。
販売台数シェアが動き、地位が入れ替わる。
再建屋雑記帳0911トヨタ自動車は長い年月をかけて世界の頂点に上り詰めた。
最大のライバルだった米国ビッグ3の失敗や衰退に助けられながら…。
だが、今後は目まぐるしく順位の変動が起こりそう。
自動車産業に、そしてモータリゼーションに変化でなく「革命」の津波が押し寄せる。

続きは、あした。

なお、NHKスペシャル「自動車革命」第1回についての感想は以下。
⇒10月26日「トヨタはいらない…自動車革命」はこちら。
⇒10月27日「トヨタ系部品メーカー、総入れ替え?」はこちら。
また、NHKスペシャル「自動車革命」第2回についての感想は以下。
⇒10月29日「国民の暮らし崩壊…自動車革命の衝撃」はこちら。

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