以前、NHKで「日本の祭2009 こころ踊る天水の夏 徳島阿波おどり」を見た。
徳島がもっとも熱くなるのが阿波おどり。
「天水」とは、天からの水と踊りさえあればいいという踊り好きのこと。
わが人生0635番組は、天水たちが熱狂する阿波おどりの世界を伝えた。
ゲストは、倉科カナ(連続テレビ小説「ウェルかめ」ヒロイン)、羽田美智子、星野知子。
解説は、岡秀昭(娯茶平連長)、山田実(天水連連長)。
場所は、藍場浜演舞場。

「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々…」。
三味線、太鼓、鉦、横笛などの2拍子の伴奏に乗り、踊り手の集団である「連」が踊り歩く。
女は優雅に、男は腰を落として豪快に…。

わが人生0636私は40年以上前を思い出した。
高校1年生の夏に1度だけ家族で阿波おどりを見たことがある。
恐らく東洋紡績の桟敷席だった(うろ覚え)。
目の前で踊りが延々と繰り広げられた。
額の汗が見えるのはもちろん、激しい息づかいが聞こえる。

私は徳島県小松島市で14カ月暮らした。
小松島中学校が5カ月強。城北高校が9カ月弱。
とても印象が悪い。
わが人生0637それは徳島のせいでなく、私、正確に言えば家族の問題だった。
呉羽紡績が東洋紡績に吸収され、父が飛ばされたのが徳島県小松島市だった。
サラリーマン家庭の順調な生活が一変した。
父はここから職業人生を転落しはじめた。

降格にともない、住環境が一戸建てから長屋へ。
両親は愚痴をこぼさなかったが、つらかったろう。
家庭から笑い声が消えた。
何もかもつまらなかった私は、滑稽な踊りも表情もむなしく思った。
後に富山県から上京し、若い頃は中野、東小金井、西荻窪、三鷹と一貫して中央線沿線に暮らした。
にもかかわらず、高円寺の商店街で催される「東京高円寺阿波おどり」に一度も行っていない。
わが人生0638実は、いまは百万人程の人出のある、東京の代表的な夏祭の一つ。
私のなかで徳島の苦しい印象とつながっていたのだ。
40年以上の歳月を経て、当時のわだかまりから解き放たれ、阿波おどりを心から楽しむことができた。
番組に接しているうちに、懐かしい感情が広がってきた。

ところで、当時もそうだったのだが、改めて徳島の経済的な貧しさを感じた(私の印象にすぎず、実際の統計データは分からない)。
阿波おどりは、道路と人力があれば、たいしたカネがかからない。
地元の人たちは長らく情熱を注ぎ、大切に育てあげた。
わが人生0639約4百年の歴史があり、日本三大盆踊りに数えられる。
番組では、阿波おどりに自分の人生を重ね合わせる人が大勢いることが紹介された。
また、私には変わらないように見えるが、天水たちはつねに新しい阿波おどりを創造しようと努力を惜しまないらしい。
当時はとても思い至らなかった感動である。

Copyright (c)2009 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!