神保町の交差点そばに「三幸園」という街の中華料理店がある。
1階も2階も客で賑わう繁盛店。
カウンターの向こうでは十人近いコックが凄まじい勢いでオーダーをこなす。
フライパンから立ち上る煙と炎は迫力がある。

わが人生0705はっきり言って、店がきれいなわけでない。
壁や床、テーブルや椅子は油汚れを感じる。
また、とくにおいしいわけでない。
ただし、メニューは非常に多い。
そして、価格は激安でないが、こなれている。

私は数年来、月1回「三幸園」に寄るのが楽しみだ。
それはNPO法人営業実践大学公開講座の終了後。
会場のJAICセミナールームを出て1分足らず、ほとんど隣である。
わが人生0706時刻は午後10時頃で、たいてい満席。
食べるのは、決まってボリューム十分の「五目焼きそば」。
ニンニクの詰まった餃子も大好きなのだが、還暦間近の私は焼そばで腹一杯になる。
以前はときどき食べた。

40年近く前、国電東小金井駅南口に中華料理屋ができた。
真正面、広場の一角といった印象が残っている(曖昧)。
この店は厨房が標準化されており、私は感心した。
分業を基本に、実に手際がよい。
注文を受けるとすぐに調理に取り掛かれるよう、あらかじめ材料が刻まれ、チャーハンなどはベースが用意されていた。
客はわずかな待ち時間で食べられる。
わが人生0707おいしく、わりとリーズナブル。
外食が奮発の時代。
まして、貧乏学生。
ここでときどき食べることが貴重なデートだった。

神保町の三幸園もやはり厨房が標準化されている。
それでも「五目焼きそば」はつくる人により出来が大きく違い、味がかなり変わる。
ほかの料理もそうだろう。
私は毎回同じメニューなので、がっかりすることも…。
が、概して五目焼きそばはおいしい。

                       ◇

わが人生0708活気に溢れる三幸園だが、実は秋口から店内の様子が変わってきた。
月を追って客が減り、コックやスタッフが少なくなった。
先日、厨房は4人。
1〜2年前、コックがぶつかり合っていたのに…。

神保町界隈は日本を代表する出版社が集まる。
岩波書店、集英社、小学館、三省堂…。
しかし、不況と構造不況のWパンチを食らい、書籍や雑誌は売れ行きの下落が止まらない。
出版社の社員は締め切りに追われ、仕事が夜遅くにずれ込みやすい。
わが人生0709そうした残業族は三幸園の上客だったはず。
いまや残業が厳しく制限される?
それとも近隣に強力なライバル店が出現した?

大繁盛店でも深刻な影響を受けはじめた。
会社からチケットが支給されなくなったせいか、無線を待つ個人タクシーの台数もだいぶ減ったのでは…。
この辺り一帯の景気は、二番底、三番底に入った?

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