昨夜のカンブリア宮殿は、玉子屋の菅原会長が登場した。
強面(こわもて)。
インパクトが凄い。
玉子屋は大手企業などへの仕出し弁当の会社らしい。
個人商店、零細企業の私は縁がなく、同社の名前も存在も知らなかった。
玉子から生まれるヒヨコをマークにしている。
これも菅原会長の考案(デザイン)。

1日(恐らく平日)7万食というから半端な数量でない。
しかも、メニューは1種類。
絶対の自信を持っているのだ。
7万人が同じ弁当を食べている。
注文は、当日午前9時〜10時の受け付け。
12時までに届けてくれて、一人前 430円。
昼食時に混雑を覚悟しなければならないオフィス街の会社員にとり、とくにありがたい。
弁当は、顧客の満足度が高い。

玉子屋は、社員が元ワルばかりという異色の職場であり、国内はもとより海外からも視察が入る。
いくつも面白い話を聞けたが、「人材は養殖でなく天然に限る」という件はなるほどと思った。
菅原会長には、学校や塾などで飼い馴らされた優等生は好奇心や挑戦魂を失っているように映る。
上から言われたことをそつなくこなす社員になりがちだ。
菅原会長は「うちでは評価しない」と言い切った。
痛快だ。

菅原会長は毎日、お客さまと同じ時間に同じ弁当を食べる。
そして、何を食べたいか、客観的な研究を加えながらメニューを決めている。
とにかく熱心。
食材にこだわり、調理にこだわるから、原価率が非常に高い。
それでも、しっかりとした業績を挙げている。
立派だ。

また、弁当の廃棄率がコンビニエンスストアなどと比べて圧倒的に低いのも、大変な経営努力の証だろう。
私は子どもの頃、貧農育ちの父から「ご飯を粗末にするな」と言われつづけた。
食べ物を捨てることに対し、強い嫌悪感を持っている。
しかし、食品業者が廃棄量を減らすことは、実際にはきわめて難しいはずだ。
玉子屋に大きな拍手を送ろう。

                       ◇

私は菅原会長のように腕力に自信もなければ、ワルを受け入れる度量もない。
が、若い頃に社会からドロップアウトした人間であることは確か。

日本は閉塞し切っている。
こうした時代に風穴を開け、元気を呼び覚ますのは、いつだってアウトローである。
玉子屋と社員のさらなる活躍を望む。

カンブリア宮殿は毎回何かしら学ぶところがある。
今回はそれに加え、素晴らしい「爽快感」を味わえた。
村上龍と番組スタッフにも感謝したい。

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