テレビの報道番組などで、会社更生法の適用申請から一夜明けた日本航空(日航、JAL)の様子が映し出された。
官民ファンドの「企業再生支援機構」による支援決定と、国などによる一般債権の全額保護の打ち出しで、大きな混乱は起こらなかった。
現場は普段どおりの運営と運行が保たれ、何より。

日航は、カウンタースタッフやキャビンアテンダント(スチュワーデス)など、顧客とじかに接する女性社員がとくに頑張っている。
そうせざるをえないとはいえ、涙を堪え、明るく元気に振る舞う姿は痛ましい。
30パーセントのOBに対し、現役は年金が50パーセントの減額になるようだ。
また、自分がリストラされるかもしれない。
気の毒なこと。

が、どうしてこんなひどい状態を招いてしまったのか。
日航は追い詰められてからも皆が立場と権利を主張するばかりで、自らにメスを入れなかった。
従業員が倒産のリアリティを感じたのは、わりと最近でなかろうか?
危機感を欠き、問題を先送りした。

世間離れした大甘の企業体質が受け継がれてきたことが、破綻の原因だろう。
悪しき体質とは、全体に広がった病巣にほかならない。
それに劣らず、歴代の社長と取り巻きの経営陣に大きな責任がある。
それに加えて、癒着と依存の構造を決定づけた自民党政権時代の議員と役人に重い責任がある。
政官業馴れ合いの尻拭いは、国民に押し付けられた。

日航は、民主党政権の管理のもとで再生を目指す。
破綻処理なので、患部の摘出といった外科手術を先行させることになる。
それにともない、多くの出血が避けられない。
従業員の疲弊、モチベーションの低下が予想されるなか、メンタル面を重視する稲盛和夫京セラ名誉会長のCEO(最高経営責任者)就任は明るいニュースである。
業績の建て直しとともに、腐り切った企業文化や組織風土の刷新を推し進めるはずだ。

稲盛和夫は、経営者やビジネスマンのなかに信奉者やファンが多く、客離れにもブレーキをかけられよう。

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