雑誌の付録が一段とエスカレートしている。
女性雑誌、それもファッション雑誌に留まらない。
最近は男性雑誌にも豪華な付録が付く。
性別やジャンルを問わず、広がっている。
雑誌の販売不振が叫ばれ、出版社の経営危機が叫ばれて久しいが、なりふり構わぬ付録競争は断末魔の叫びを聞くかのようだ。

付録バブルとは、情報バブルである。
インターネットで情報爆発が起こった。
だれでもいつでもどこでも手軽に瞬時に情報を得られる。
その結果、プロが発する情報の価値が相対的に低下した。
むろん、ネットを漂う情報と同列に比べられない。
しかし、私たちが後者を賢く用いるなら、それで済ませられることも多い。
それに、専門家やおたくがその道の深く詳しい情報を発していたりする。

付録とは、情報による差別化が難しくなった表れである。
有料情報が無料情報との違いを打ち出しにくい。
ライバルは、競合雑誌でなく、インターネット情報なのだ。

付録競争へ走る雑誌の未来は暗い。
生き残れる雑誌が極端に狭まろう。
読者にいかに手に取ってもらえるかは、付録の魅力にかかってくるからだ。

となると、部数の大きいほうが付録の原価を下げられるため、書店の店頭などで圧倒的な優位に立つ。
その証拠に、昔は特別号などを除いて一定だった雑誌の定価が、付録のコストにより毎月変動する。
記事は二の次に…。
恐らく編集会議における付録企画の比重が増している。

雑誌の淘汰が進んで種類が減ると、プロが発する情報の多様性が失われる。
また、質も下がりかねない。

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