キリンとサントリーの“破談”のニュースが飛び込んできた。
やれやれ…。
私は昨夏、両社の経営統合の報道に接したとき、佐治信忠サントリー社長の胆っ玉の大きさに驚いた。
何せ上場企業とオーナー企業の合併である。
己の会社を失う覚悟を固めなくては、進められる話でない。
大英断に拍手を送りたい気持ちになった。

が、実は気がかりだった。
報道の直後から、両社が自分を大きく見せようと、M&A(企業取得)競争を繰り広げはじめたからだ。
「少しでも有利な条件で結ばれたい」。
企業価値向上の思惑が強く働いた。
通常なら、結婚前は大人しくする。

大丈夫かと案じていた矢先、キリンホールディングスとサントリーホールディングスが経営統合交渉の打ち切りを発表した。
当初の予定では、基本合意は2010年1月中。
それが延びていたのだ。

キリンの加藤壹康社長とサントリーの佐治信忠社長が会談したが、新会社の統合比率や経営体制などで主張が折り合わなかった。
条件交渉の決裂だ。
キリンは、新会社の経営の独立性と透明性が担保されるべきと訴えた。
サントリーは、創業家が新会社の株式の3分の1超を保有できるようにこだわった。
合意に達しなくて当然だろう。

私は、サントリーが初代社長に就任する代わり、持ち株比率でキリンに譲歩すると思い込んでいた。
そうでなくては、新会社の船出は不可能。

酒・飲料で首位のキリン、2位のサントリー。
内需縮小が続くなか、経営統合により国際競争力を強化し、海外での事業展開を加速させることが最大の狙いだった。
世界有数の酒・飲料メーカーの誕生は幻となった。

両社が上場企業なら話がまとまったのでないか。
結局、サントリー(創業一族)の支配をキリンが拒絶した。
私はサントリーに知人がおり、あまり悪く言いたくないが、サントリーに破談の原因がある。
佐治信忠社長は公開会社が何かを分かっていない。
それとも創業一族(寿不動産)の説得がうまくいかなかったのか。
創業家の私欲から、サントリーがキリンの実質買収を目論んだと言われても仕方がない。
がっかり…。

しかし、この統合交渉失敗のニュースを笑うのは間違いだ。
飲料や食品に限らず、日本企業がグローバル競争を勝ち抜くには再編を避けて通れない。
欧米はもとより新興国に巨大企業が出現するなか、相対的に小粒になってしまった。
このままでは世界市場で伍していけない。
私は、大手同士が合併の可能性を追求する動きがもっと活発になるべきだと思う。

キリンとサントリーの経営統合に関するブログは以下のとおり。
⇒2009年8月3日「飲料・食品メーカーが苦しい」はこちら。

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