日本航空(日航、JAL)は新たな経営体制が固まり、再建へ向けて具体的に動き出した。
「世のため人のため」という人生観に従い、無報酬で会長職を引き受けた稲盛和夫。
私は頭が下がる。

しかし、日航の建て直しは、大規模な債権放棄と公的資金注入の支援を得ても、それほど容易でない。
輝かしい足跡が吹き飛ぶかもしれない大仕事!
親方日の丸体質の一掃に加え、強力なリストラが収支改善の絶対条件である。
路線の撤退、グループ会社の整理、機材の小型化はもとより、人員の削減を避けて通れない。

ところが、一代で京セラを世界企業に育て上げた稲盛和夫は社員の“首切り”を行った経験がない。
何せ優良企業である。
日航については、再建策の実行は大西賢社長、稲盛和夫会長は精神的な支柱という役割分担らしい。
だとしても、大変つらいことに違いない。

稲盛和夫は心を鬼にして踏み切れるのか。
3年間はあっという間だ。

                       ◇

私自身は、日航の信用失墜による顧客流出に歯止めをかけるうえで稲盛和夫が果たす貢献は非常に大きいと思う。
経営者やビジネスパーソンなどオピニオンリーダーを中心に、日本中に大勢のファンや信奉者がいる。
血の滲むコストカットを断行したとしても、肝心の旅客収入が激減しては、再建は叶わない。

                      ◇◆◇

以下に、「日本航空、破綻の原因と今後の再建」と題する2010年1月22日のブログを収める。

テレビの報道番組などで、会社更生法の適用申請から一夜明けた日本航空(日航、JAL)の様子が映し出された。
官民ファンドの「企業再生支援機構」による支援決定と、国などによる一般債権の全額保護の打ち出しで、大きな混乱は起こらなかった。
現場は普段どおりの運営と運行が保たれ、何より。

日航は、カウンタースタッフやキャビンアテンダント(スチュワーデス)など、顧客とじかに接する女性社員がとくに頑張っている。
そうせざるをえないとはいえ、涙を堪え、明るく元気に振る舞う姿は痛ましい。
30パーセントのOBに対し、現役は年金が50パーセントの減額になるようだ。
また、自分がリストラされるかもしれない。
気の毒なこと。

が、どうしてこんなひどい状態を招いてしまったのか。
日航は追い詰められてからも皆が立場と権利を主張するばかりで、自らにメスを入れなかった。
従業員が倒産のリアリティを感じたのは、わりと最近でなかろうか?
危機感を欠き、問題を先送りした。

世間離れした大甘の企業体質が受け継がれてきたことが、破綻の原因だろう。
悪しき体質とは、全体に広がった病巣にほかならない。
それに劣らず、歴代の社長と取り巻きの経営陣に大きな責任がある。
それに加えて、癒着と依存の構造を決定づけた自民党政権時代の議員と役人に重い責任がある。
政官業馴れ合いの尻拭いは、国民に押し付けられた。

日航は、民主党政権の管理のもとで再生を目指す。
破綻処理なので、患部の摘出といった外科手術を先行させることになる。
それにともない、多くの出血が避けられない。
従業員の疲弊、モチベーションの低下が予想されるなか、メンタル面を重視する稲盛和夫京セラ名誉会長のCEO(最高経営責任者)就任は明るいニュースである。
業績の建て直しとともに、腐り切った企業文化や組織風土の刷新を推し進めるはずだ。

稲盛和夫は、経営者やビジネスマンのなかに信奉者やファンが多く、客離れにもブレーキをかけられよう。

                      ◇◆◇

以下は、日航問題に関する一連のブログ。

⇒2009年9月16日「日本航空、存続危うし、綱渡り!」はこちら。

⇒2009年9月24日「日本航空は法的整理へ…経営破綻」はこちら。

⇒2009年9月24日「ついに日本航空(JAL)倒産へ」はこちら。

⇒2009年10月3日「GMと日本航空に思う」はこちら。

⇒2009年10月15日「経営破綻日航、救済・再建へ一歩前進」はこちら。

⇒2009年10月19日「自主再建断念か…日航問題」はこちら。

⇒2009年10月30日「税金注入、日航救済に国民感情は?」はこちら。

⇒2009年11月19日「もう空を飛べない…日本航空消滅」はこちら。

⇒2010年1月13日「日航法的整理、稲盛CEOが再建!?」はこちら。

⇒2010年1月22日「日本航空、破綻の原因と今後の再建」はこちら。

⇒2010年1月23日「1社体制へ…日航は全日空に吸収か!?」はこちら。

Copyright (c)2010 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!

2010年2月公開講座