福田剛大(ふくだ・たけひろ)氏のNPO法人営業実践大学での公開講座(大学セミナー)に触発され、私は名刺を新規で作成することを決意した。
2月22日に和田創研のオフィスを横浜・港北ニュータウンから東京駅隣接・丸の内トラストタワー本館20階サーブコープ内へ移転したが、古い名刺を使っていた。
実は、単に所在地と電話・ファクス番号を変えるのでは物足らないと考えていた。

私は今年に入り、新規顧客については公開セミナーと企業研修の講師をやめた。
和田創研にとり、それは大きな売り上げを占める。
加齢と不摂生による体力の衰え、体調の悪化で、丸1日タイプの講義を引き受けられなくなった。
うまくいくかどうかはともかくとして、1時間半〜3時間の講演の講師に“商売替え”を果たそうとしている。

これまでも講演を行ってきたが、おもに企業での非公開タイプ。
当然、テーマは私が長らく専門としてきた「営業分野」。
営業変革、営業発の全社改革など。
しかし、それでは需要が限られており、講演で売り上げを立てるにはレパートリーを広げなくてならない。

公開セミナー・企業研修の講師と、講演の講師は、仕事がまったく別と考えたほうがよい。
前者は会社としても行える。
和田創研がそうだった。
過去、最多の時期は講師が5名。
が、後者はあくまで個人として行う。

しかも、講演は“著名人”が普通。
例えば、マスコミなどで顔が売れている人。
私のような一般人が講演を受託するのは非常に困難だ。

こう述べると、「著名人でなくても…」という反論が聞こえてきそう。
しかし、たいていは講演料が雀の涙。
私が知る範囲では、講演料(講師料)なし、交通費や宿泊費など実費のみ支払いというケースもある。
とくに会社のPRの一環で引き受ける場合に多い。
「薄謝」でさえない。
講演からビジネスの広がりを期待できないと、まったくうまみがない。

また、そうでなくても講演料が10万円に満たない。
3〜5万円はざら。
自宅を拠点にし、何とか食べていければよい人でないとムリ。
例えば、フリーランス、セカンドキャリア。
世の中はカネがすべてでなく、遣り甲斐があるのは確か。
社会的な尊敬も得られる。
本人の考え方次第。

一部の著名人を除き、華やかな講師稼業は案外、懐事情が苦しい。
いや悲惨?

話を戻そう。
私は長らく「和田創プロフィール」ほかに講師の規定料金を明記し、定価を死守してきた。
あちこちで「立派な値段」と言われた。
要は「高い」。
ただし、講義の終了後にはそうした声は消えていた。
また、講師料を値引きすれば、仕事の受託はいくらでも可能だった。
企業研修では1日50万円(首都圏外は55万円)の設定。
大手企業では社内規定があり、階層やテーマで料金が異なるが、たいてい30万円以下。
私は値引きの要請はすべて丁重にお断り。

今後も基本線は崩さないつもり。
しかし、講演講師への“転職”を試みており、一般人がそれ一本で食べていくためには実勢価格をわきまえなければならないのかもしれない。
それ以前に、仕事を取る(この言葉は好ましくない)のが大変だろう。

私は、オフィスの移転も重なり、せっかくの機会なので新名刺をつくろうと…。
欲張って3つ折りと決めた。
表裏計6面。
豆粒みたいな文字をびっしり入れる。
私自身もむろん営業活動に取り組むが、相手に渡した名刺が独り歩きして営業活動を行ってくれるように…(横着か?)。
カラーをほとんど使わないフルカラー印刷にする。
対象がおもに企業の経営層や各種団体の理事長クラスになるので、見た目はぐっと抑える。
デザインというよりレイアウト程度の演出。
相手はたいてい老眼のはずで、文字の小ささが心配だ。

ところで、今回の名刺は、いわば自分という商品のパンフレットの機能を持つ。
まして、それを“印刷物”に仕立てるのは初めて。
私は40年間、会社案内・業務案内・製品カタログ・商品パンフレットの類をほとんど制作したことがない。
例外は「提案営業」関連。
それとてカラープリンタ出力。

新名刺の出来上がりはいつ頃になるか分からないが、何だか楽しみになってきた。
3つ折りゆえに時間がかかるか。

自分が生まれ変わった印象がする?
大勢に手渡したくなってきたぞ。
そうだ、ホステスのマオとエリナ、ミサキにも進呈しよう。
待ってろよ、と。

                       ◇

講師料について述べた事柄は、大学などの講師に関しても当てはまろう。
講義(授業)の準備にどれくらい手間をかけるかにもよるが、時給はマクドナルドに及ばない。
経済的に貧しくなっては困るという人は、とても引き受けられない。
社会貢献もしくは名誉職と割り切るしかない。

概して「講師」と名のつく職業は、カネと縁がない。
財布はペラペラ。
この仕事に大きな意義や魅力を感じるとか、ほかにやれそうなことがないという人向きか・・・。

私は日本の営業にとっての意義を感じ、MBAで「営業学」の授業を引き受けた。
報酬も地位も関心外だった。

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