私は福岡・西鉄グランドホテルに宿泊。
地元の名門だ。
毎年10泊前後はお世話になっている。
建物は古いが、館内・室内ともに快適であり、心が休まる。

今年も九州生産性本部が主催する「提案営業セミナー」で講師を務める。
ありがたい。
が、私はすっかり老けてしまった。
自分の体調と体力と相談しながらの進行になる。

博多は食べ物がおいしい。
それも楽しみの一つ。
生まれ故郷・直江津を除き、私がもっとも好きな地方都市である。
頑張らなくては…。

以下に、「職業学習の順序と方法」と題する記事を収める。
NPO法人営業実践大学が発行する『月刊営業人(えいぎょうびと)』2007年5月号の巻頭言である。
その原稿に思い切って手を加えた。

◇◆◇

年金が破たんし、職業人生はどんどん長くなりそうだ。
その職業人生も波瀾万丈になりそうだ。
終身雇用が崩れ、安定など望むべくもない。
私たちは自己防衛のためにも職能の強化に励まなくてならない。

では、職業人としてどのように学ぶことがもっとも効果的だろう。
学ぶ順序と方法の基本があるに違いない。
私が大切にしてきたやり方を述べたい。
ことさら勉強の時間を設けなくて済むところが一番のミソ。
ならば、不断に学べ、不断に伸びられる。
きのうよりわずかでも高みにいられること請け合い。
その積み重ねに人生を託すのだ。
横着で楽観的な私にぴったりのやり方。

第1は「自分」から学ぶ。
基本は行動、そして内省。
挑んだ体験から学ぶ。
身近な機会でありながら圧倒的に貴重である。
何かを試みたら、なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのかを納得できるまで振り返る。
通勤や休憩、風呂やトイレ、ながら視聴や散歩など、くつろげる時間や場所で…。
大都会では通勤は地獄だが、頭を巡らすことはできる。
あっ、ベッドに入ったら忘れよう。

私は、学ぶ場合にこれが最上位に位置すると信じる。
学ぶうえでの最大の不幸は、自分の体験から多くを気づくことのできない自分にある。
勉強に熱心なわりに仕事で成果を出せない人の共通項といえる。

第2は「他人」から学ぶ。
基本は観察、ときに比較。
観察に質問を加えるとさらに効果的だ。
優れた人から学ぶ。
劣った人を反面教師にするやり方もないわけでない。
だが、能力が要るし、効率も悪い。
劣った人からは、優れた人との比較において学ぶのが正解だろう。

私たちは人と接した瞬間に感じることがある。
例えば、「自分より豊かそう」「自分より幸せそう」。
そう思うとき、その人は相当に“上”である。
だれしも年に数回くらいは、そうした人に出会う。
名刺を交わし、懐に飛び込んで、その働き方や生き方に触れてみる。
学ぶうえでの最大の障害は、他人の優れている点に気づくことのできない自分にある。
勉強に熱心なわりに仕事で成果を出せない人の共通項といえる。

以上、私にとっての学ぶ順序と方法の基本である。
自分と他人から生きるうえで、働くうえで必要なことをほとんど学んでしまうのは、それほど容易でない。
これを実行できる人は、職業人生で多少いい思いを味わえるのでないか。
なお、自分から学ぶにしろ他人から学ぶにしろ「因果関係」を突き止める。
結果をもたらす原因を探り出すことに集中するのだ。
原因とは、意識や意欲、態度や姿勢、行動や習慣、あるいは過程である。
そして、就寝前に大学ノートに走り書きしておく。
粘り強く続けるなら、ちょっとした文章くらいは書ける。
訓練を積んでいけば、自分の本も出せよう。

私は講演やセミナー、研修で講師を務めてきたが、語っている内容(コンテンツ)は大学ノートから引っ張っている。
昨今はブログに書き留めることが多いが…。
夏に出す本(共著)はブログの記事を編集したものだ。

念を押せば、因果関係への肉薄が最重要。
そのためには、とことん考えるしかない。
しかし、それはつらく孤独な行為である。
どうしても本へ走りたくなる。
考えることから逃げてならない。
自分や他人を教材に考えることは、出来合いの教材(本)で知ることと比べて十倍や百倍は大変であり、したがって血となり肉となる。

第1と第2で精一杯のはずだが、もしも時間が余ったなら…。
第3は「書籍」から学ぶ。
ただし、よほどつきあい方に気をつけないと、考える力は確実に衰える。
第1と第2はタダということもあり、こちらを優先させるのが賢明だろう。
書籍に使うカネは、なるべく人との交流に回すのがよい。
むろん、それには家族や友人も含まれる。

これまで述べてきた趣旨は、知識よりも知恵のほうを大切にしようということ。
知識は他人のもの、知恵は自分のもの。
両者は決定的に違う。
知識は所詮、一時預かりにすぎない。
その証拠に、知識で本を書くと著作権侵害に問われやすい。

◇◆◇

なお、最初の原稿(ブログ)は以下のとおり。

⇒2007年4月20日「講座/職業学習の順序と方法(1)」はこちら。

⇒2007年4月21日「講座/職業学習の順序と方法(2)」はこちら。

Copyright (c)2010 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!