私は職業人生でボーナスをもらったことがないが、巷では夏季賞与がおおよそ支給されたのでないか。
昨年は余力のない中小企業を中心に、賞与の大幅カットや支給取り止めがあったと聞いている。

さて、夏休みのレジャープランを立てる頃合いだ。
家族旅行では、どこに宿泊するかにより思い出の大きさや深さがかなり左右される。
もちろん、金に糸目をつけなければ満足できるホテルや旅館はあちこちにあるだろう。
でも、私のような庶民はそういうわけにいかない。
ありふれた言い方になるが、「費用対効果」を重んじることになる。
そこで、私が以前世話になり、とても満たされた首都圏の宿泊施設を紹介しよう。

私は原則として年中無休で働いている。
しかし、40代後半から、なるべく年に1〜2回の外出を楽しむように変わった。
仕事の疲れが取れないこと、ラージクラスミニバン(1BOX)を持ったこと、再婚後の子どもが小さかったことなどが関係している。

2006年7月29日、土曜日に家族3人で江ノ島の恵比寿屋旅館を訪れた。
正式名称は「恵比寿屋」。
マリンレジャーのトップシーズンなので、湘南特有の“喧騒”は覚悟して泊まった。
実際には気にならなかったが…。

恵比寿屋はロケーションが申し分ない。
江ノ島は、私が大好きな葛飾北斎の「富嶽三十六景」に描かれている。
緩やかな弧を描く美しい海岸線に、心が癒された。
陸と島の間に橋がかかっており、歩道は「江ノ島弁天橋」、車道は「江ノ島大橋」。
対岸(陸)の「片瀬海岸東浜海水浴場」へ水着のまま行けた。
また、潮が引くと砂地が現れて対岸とつながり、そこを歩いて行けた。
江ノ島は本来なら「江の島」と表記するらしい。

恵比寿屋は、歴史と風情を感じさせる木造旅館である。
部屋は古いが、清掃は行き届いている。
さらに、江ノ島は周囲わずか4キロメートルなので、土地が極端に限られる。
恵比寿屋も狭小地に建てられており、部屋はお世辞にも広いといえない。
しかし、家族との距離がぐっと縮まると思えば、まったく苦にならない。
営業講師として全国を飛び回り、家を留守にしている私には、むしろ好ましかった。

そして、最大関心事の食事、とくに「夕食」。
磯会席料理の部屋出しだ。
価格を考慮すると、品数が多く、味も変化に富み、かつ大変おいしい。
私は料理にうといが、手間がかかっているのでは…。
妻が珍しく「感動」という言葉を使った。
創業三百五十余年、老舗の料理旅館、割烹旅館の実力なのだろう。
伊藤博文や尾上菊五郎など、多くの著名人から愛されてきたのもうなずける。
実は、小学3年生の子どもを“大人料金”に変えてもらった。
同じ夕食にした甲斐があった。
まあ、よく食べること!

私は、部屋のテーブル(座卓)に乗り切らない豪華な夕食メニューを目にし、一昨年亡くなった旅好きの母を連れてきてあげたかったという思いが胸をよぎった。
恵比寿屋はサービスも過剰にならず、丁寧で気持ちがよい。

おそらく江ノ島の観光業者にとり年間最大の書き入れ時。
なのに、この料理でこの値段…。
はたしてやっていけるのか、余計なお世話ながら、私は心配になった。
とりわけ海辺の宿泊施設では、ピーク時に通常期の2〜3倍に跳ね上がるところがある。
恵比寿屋は若干高目。
「トップシーズン料金」そのものがないのかもしれない。
しかも、料理のグレードを挙げているようだ。
こうした料金設定(体系)から、リピーターを大切にしていることが読み取れる。
女将、料理長、そして従業員の方々に「素晴らしい思い出をありがとう」と申しあげたい。

恵比寿屋は総合的には「大満足」であり、友人や知人に自信を持って奨められる。
いつか正月休みに、のんびり連泊するつもりでいる。

・・・私たちは、こうした“宿”をもっと応援すべきでないか。
ただし、静かな旅館であってほしい。
恵比寿屋は音が抜けやすいので、騒ぎたい人には不向きだ。
また、駐車場への道が狭いので、大型車は取り回しに注意したい。
それとて運転がうまければ何の問題もない。
私は下手なので、ほんのちょっと苦労した。

なお、名所旧跡の多い鎌倉はクルマまたは「江ノ電(江ノ島電鉄)」ですぐそこ。
江ノ島は見どころ、遊びどころに困らない。

わが子はこのときに目にした「鎌倉大仏(高徳院)」を絵に描き、MOA美術館都筑児童作品展に応募した。
そして、表彰式で奨励賞(グランプリ)に輝いた。
私と妻にとっても最大の喜びとなった。
わが子はその後、全国レベルの公募展でもいくつか賞をいただいた。
将来万一、絵など美術の世界へ進むようなら、恵比寿屋がきっかけということに…。



きょうのブログは、以下のブログに大幅に手を加えたものである。

⇒2007年6月10日「江ノ島の恵比寿屋旅館に大満足!」はこちら。

◆書き加え1

今年から湘南の海岸は全面禁煙になった。
スモーカーにもっとも厳しい神奈川県である。
ただ、申し訳程度に喫煙コーナーが設けられている。

私が暮らす横浜・港北ニュータウンの商業施設などではタバコを吸えるところが減るばかり…。
ヘビースモーカーの私は肩身が狭い。

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