NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。
ドラマの進行につれ、松下奈緒と向井理はいくらか老けた。
メイクが変わった。
二人は声色や表情、姿勢など、演技も変えようとしているが、どこかしっくりしない。
それとも以前のイメージが私に焼き付いているからか…。

さて、水木しげる(武良茂。村井茂)は連載が途絶えた。
読み切りも…。
仕事がなく、手帳はブランク(空欄)のまま…。
徹夜地獄から解放されたと喜んだら、暇地獄に転落した。

フリーランスにとりスケジュールが埋まらないことは、飯が食えなくなることを意味する。
水木プロダクション(調布市。武良茂社長)は経営の非常事態に直面していた。
こうしたプロダクションは、作家(漫画家)個人の人気が業績そして資金繰りに直結する。

読者も視聴者も「妖怪」に飽きてしまった。
もともと実在しない。
熱烈なブームが去ったのだ。

作家と作品が一時的な流行、とくに「社会現象」になると厄介である。
本人にすればコンスタントに売れるのが何より。
人気商売は、人気が爆発すると長続きしにくい。
例外は天才や超人とされる一握りの作家だろう。

加えて、水木しげるは“大スランプ”に陥っていた。
はやりの終焉と作品の低迷はどちらが先というより、両方が絡み合っている。
自信を喪失し、本人が妖怪の存在を疑いはじめた。
実は、売れない頃から漫画を発注し、水木しげるを応援していた人たちは、最近の作品に微妙な変化を感じ取っていた。
どこか違う、何か足りないと…。
彼らは温かく厳しい。

水木しげるは講談社の「少年マガジン」でのデビュー以降、膨大な注文を抱えて締め切りに追い立てられた。
アウトプットだけだと、創造の泉は枯れる。

創造というと、頭や心のなかでつくり出す行為を思い浮かべるかもしれない。
確かにそうなのだが、それを支えるのがインプットである。
これがやせ細ると、作品は質も量も落ちていく。

                       ◇

私は昔、フリーランスのプランナーだった。
「クリエイター」を名乗るほどのことはないが、それでもインプットを重視していた。
納期と連日戦いながらも、新聞や雑誌の記事に触れた。
読む時間は保てなかったが、見ることは怠らなかった。
それしきのことで段違いだ。
当時、定期購読の新聞や雑誌は30種類を下らなかった。
硬いビジネス系から、やわらかいファッション・トレンド系まで多岐にわたった。

私は40歳以降、講師の道を目指した。
1995年2月から異業種交流勉強会「営業実践大学(途中、NPO法人化)」を主宰した。
毎月トップセールスマンなどをゲストに招き、じかに生のノウハウや事例を学んだ(公開講座は2010年9月に終了)。
多大な持ち出しに耐えて続けてきたのは、インプットを重視したためだ。
講師はアウトプットだけになったらお仕舞いと肝に銘じていた。
むろん、最良のインプットは「営業活動」である。
ゆえに、私は講師として多忙になってからも、それに携わってきた。

                       ◇

水木しげるは、これまでの貯えがいくらかあったようだ。
何カ月かはそれで持ち堪えるとして、その先が厳しい。
ドラマではこのところアシスタントが一人も出てこない。
給料を払えなくなった?

還暦前の私は「人生谷あり谷あり」と実感している。
妖怪漫画の第一人者とその妻・武良布枝(村井布美枝)にとっても、案外そうなのか。

以下は、「人生谷あり谷あり」を綴ったブログ。

⇒2010年8月30日「松下奈緒・ゲゲゲの女房、大ヒットの立役者」はこちら。

ちなみに、朝ドラの原案となった武良布枝の自伝『ゲゲゲの女房』は、副題が「人生は……終わりよければ、すべてよし!!」である。
水木夫妻は「人生は谷ばかり」と実感している?

                      ◇◆◇

人生の教科書「ゲゲゲの女房」に関するブログは以下のとおり。
ドラマの進行と私の半生を重ねたり照らしたりしながら、心の内を綴った。

⇒2010年5月8日「ゲゲゲの女房…蘇る前妻との初デート」はこちら。

⇒2010年5月19日「松下奈緒、ゲゲゲの女房を好演する」はこちら。

⇒2010年5月20日「ゲゲゲの女房、小銭入れが空っぽの極貧」はこちら。

⇒2010年5月30日「ふすま一枚の地獄…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年6月6日「ゲゲゲ原稿料を払ってもらえない」はこちら。

⇒2010年6月8日「松下奈緒と向井理が好演…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年6月12日「松下奈緒 ゲゲゲの女房 人気シーン」はこちら。

⇒2010年6月14日「ゲゲゲゲラが出た…私は初校で校了」はこちら。

⇒2010年6月17日「ゲゲゲ、人気ラーメン店の行列が消えた」はこちら。

⇒2010年7月5日「向井理の好演、村井茂の名言…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年7月15日「ゲゲゲ水木しげる、少年マガジンデビュー」はこちら。

⇒2010年7月17日「ゲゲゲ水木しげる、テレビくん児童漫画賞受賞」はこちら。

⇒2010年7月24日「水木プロダクション旗揚げ…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年7月31日「ボチェッリが歌う吉岡聖恵・ありがとう」はこちら。

⇒2010年8月5日「水木プロダクション異様な活気…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年8月9日「ゲゲゲの鬼太郎へ題名変更…主題歌もヒット」はこちら。

⇒2010年8月11日「水木プロダクション…アシスタント人件費」はこちら。

⇒2010年8月12日「いじめ…有名人の子の苦悩(ゲゲゲの女房)」はこちら。

⇒2010年8月14日「妖怪いそがし、家庭を顧みない水木しげる」はこちら。

⇒2010年8月18日「漫画家・水木しげる、締め切りの地獄と天国」はこちら。

⇒2010年8月20日「職業人生に締め切りを設けよ…水木しげるの教え」はこちら。

⇒2010年8月20日「松下奈緒は号泣、向井理は手料理…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年8月21日「芸術への憧れを捨て、フリーランスのプランナーへ」はこちら。

⇒2010年8月21日「松下奈緒の美しさ…思い出のメロディー司会&演奏」はこちら。

⇒2010年8月22日「苦労人・水木しげる、作品づくりの姿勢と執念」はこちら。

⇒2010年8月23日「松下奈緒、偏差値39の衝撃、バスト86の疑問」はこちら。

⇒2010年8月25日「人生の教科書・ゲゲゲの女房…仕事・夫婦・家族」はこちら。

⇒2010年8月26日「心の太鼓を打ち鳴らせ…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年8月28日「松下奈緒・ゲゲゲの女房・撮影秘話…あさイチ」はこちら。

⇒2010年8月29日「松下奈緒&向井理、ゲゲゲの女房の平均視聴率」はこちら。

⇒2010年8月30日「松下奈緒・ゲゲゲの女房、大ヒットの立役者」はこちら。

⇒2010年8月30日「職業人生、それは長いデコボコ道を行くこと」はこちら。

⇒2010年8月31日「水木しげるプロダクション倒産危機…仕事激減」はこちら。

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