NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。
昭和60年(1985年)、株式会社水木プロダクション(調布市。武良茂社長)に朗報が舞い込んだ。
「ゲゲゲの鬼太郎」が3度目のテレビアニメ化。
強い上昇気流が巻き起こった。
アシスタントを含め、家族全員で喜んだ。
水木作品(漫画)の点々のスペシャリスト・菅井伸(柄本佑)も健在。
ドラマ上とはいえ、一生点々を打ちつづけかねない。

その矢先、父・飯田源兵衛(大杉漣)が脳梗塞で倒れたという電話が入り、村井布美枝(松下奈緒)は急きょ安来に帰った。
水木しげる(村井茂。向井理)は締め切りを抱え、見舞いに行けない。
多忙だと、あちこちに不義理を働く。

源兵衛はこのアニメ化を、家族も動員しながら近隣に触れ回った。
婿自慢!
私の父は、私が著者として、やがて講師として活躍するようになると、滑川・天望町のご近所や町内会で本やセミナーパンフレット、新聞・雑誌記事を見せて回った。
親はありがたい。

                       ◇

私はびっくりした。
大杉漣は、源兵衛が元気な頃と“声色”まで使い分けていた。
まったく違うのだ。
生命力の衰えた、高齢の病人。
ホント、凄い。

私には、大杉連は、役者の道を歩みはじめた若い松下奈緒と向井理に教育を施しているように思えた。
後進(後に続く者)に対し、何というやさしさ!
苦労人だ。

病床の源兵衛が娘と二人きりで会話を交わしたシーンに涙を流した視聴者も少なくなかったろう。
布美枝の結婚後初では…。
いや、結婚前もなかった?
こうした時間を生涯持てない親子が珍しくない。

私はドラマに感動した。
それ以上に、大杉漣に感動した。

⇒2010年9月19日「大杉漣プロフィール…小松島中学・城北高校出身」はこちら。

◆書き加え1(9月21日)

ゲゲゲの女房は、月曜日から最終週に入った。
テーマは「ありがとう」。
安来地方の方言で「だんだん」?

サラリーマンなら定年を迎える年齢に達した水木しげるは相変わらず年中無休で頑張っている。
それも布美枝の地味な支えがあったからこそ。

布美枝は実家に3日程いた。
兄嫁・飯田邦子(桂亜沙美)が家事と両親の世話をやってくれている。
布美枝は源兵衛に追い返されるようにして調布の自宅に戻ってきた。
「一家の主婦が軽々しく家を開けたらいかん」。
父も娘も心のどこかでこれが最後になるかもしれないと思っていた。
次はない・・・。

娘は自分を見守ってくれた父への感謝を噛み締めながら、いとまを告げた。
父は不自由な体を押して仏壇の前に行き、娘の幸福を願って手を合わせた。
親子の絆は何と強いのだろう。

翌春、雄玄社(講談社)の編集者・北村(加治将樹)が数年振りに水木プロダクションを訪ねてきた。
文芸誌の編集部から漫画の現場に復帰し、編集長に就任することになったのだ。

◆書き加え2(9月22日)

北村が水木しげるに切り出したのは、月刊誌に加えて週刊誌での連載だった(うろ覚え)。
また、締め切り地獄に…。
現有戦力では仕事を回していけず、アシスタントの補強が急務である。

そんな折、菅井伸は新人賞に応募した作品(漫画)が入選した。
20年に及ぶ地道なアシスタント経験が報われ、ついに独立…。
しかし、水木プロダクションに留まり、一生点々を打ちつづけることを望んだ。
こうしたスタッフが人気漫画家の創作活動を支える。
菅井が去るものと覚悟を決めていた水木しげるは喜んだ。

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