NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。
あすの放送が最終回である。
大好評・高視聴率での終了を祝し、水木しげる夫妻(武良茂・布枝)が午後1時5分からNHK番組「スタジオパークからこんにちは」にゲストとして出演した。
詳しくは後ほど。

きのうのブログ「水木プロダクション創立20周年記念謝恩パーティー」で記したように、私が一番印象に残ったのは水木しげる(村井茂。向井理)が妻・村井布美枝(松下奈緒)に着物を新調しなさいと言ったシーンだった。
布美枝は長年、自分のことにろくにカネをかけなかったに違いない。

私の妻がそれだ。
実は、前の妻も同じだった。
使うカネがなかったというほうが正確か。
が、あったとしても、使わなかったはずだ。
やはり化粧品は口紅一本。

私が悔いるのは、わが家にゆとりが生まれる前にガンで亡くなったことだ。
服くらい買ってやりたいと思っていたが、甲斐性がなくて叶わなかった。

前妻の命日が12月14日。
妻の誕生日が12月14日。
二人ともありがとう。

私は「ゲゲゲの女房」の主題歌、いきものがかりの「ありがとう」を聞くたびにじ〜んとする。
この楽曲には、自分を信じてついてきてくれた妻の献身に対する感謝がある。
にもかかわらず、「人生谷あり谷あり」。
実際はなかなか報いられない。
この楽曲には、救いがある。

⇒2010年9月23日「水木プロダクション創立20周年記念謝恩パーティー」はこちら。

                       ◇

さて、「スタジオパークからこんにちは」は、向井理と松下奈緒でなく、水木しげる夫妻。
武良茂は88歳の高齢に達しており、それを考慮したのか録画。

今回は珍しくスタジオを飛び出し、水木しげるの仕事場を訪れた。
TBS番組「ぴったんこカン・カン」で紹介された例の事務所である。
同局の看板アナウンサー・安住紳一郎が司会進行を務め、このブログでも3回取りあげた。

⇒2010年8月20日「松下奈緒は号泣、向井理は手料理…ゲゲゲの女房」はこちら。

⇒2010年9月3日「水木夫婦ゆかりの地巡り…清水ミチコ、松下奈緒」はこちら。

⇒2010年9月4日「水木しげる作品・自宅・プロダクション…調布名物」はこちら。

仕事場は壁が棚になっており、鬼太郎や妖怪などのグッズで埋め尽くされている。
二人のソファーから少し離れ、次女・悦子も立ち会った。
朝ドラでは村井喜子(荒井萌)。
現在は社員、マネジャーのようだ。
番組には登場しなかったが、長女・尚子は社長。
朝ドラでは村井藍子(青谷優衣)。

水木しげるは自然体。
飾らない生き方を貫いてきた。
それがインタビューの受け答えに現れる。

水木しげるは現在、非常に規則正しい生活を繰り返している。
10時起床。
そして11時に出勤。
自宅から仕事場まで1キロメートル強の距離だが、30分〜1時間かける。
散歩気分。
途中、屁を一発、ときに二発こく。
これは譲れないお決まり。
散歩の途中、かならずウンコをする犬がいる。
行き帰り、本屋に寄ることも…。
自分の本を買うためだ。
これは半分本気、半分冗談。
高名な漫画家はユーモアを忘れない。
それ以上に、シャイ。

私は「若い人」などの小説で知られる石坂洋次郎を思い出した。
晩年、散歩の途中で立ち止まり、足を開き加減にして屁をこくことが日課だった。
氏は、愛読者の大半が若い女性。
オナラはやめてくださいと懇願する手紙が届いたそうである。
ちなみに、水木しげるは定位置に座り、屁をこく。
凄すぎる!
幸い、体は浮き上がらない。

武良茂・布枝は番組で「夫婦」についても語った。
同感。
私は結婚するとは、相手の欠点や短所を受け入れることだと思う。
この世に完璧な人間など一人もいない。
少なくともそういう覚悟で踏み切った。
恋愛結婚の最大の問題は、見合い結婚でないことだ。
相手への期待が膨らみ、相手への諦めが足りない。
愛があるという理由で結ばれると、愛が覚めたという理由で別れやすい。
あまりに幼い。

布枝は見合い後5日で結婚して上京し、夫が漫画に打ち込む姿にいきなり圧倒された。
それは壮絶な光景だったろう。
武良家は極貧期が長かった。
夫が精魂を傾けて描いた作品がやがて評価され、人気に火がついた。
「来るべきときが来て … うれしかったです」。
この言葉に実感がこもっていた。
また、「来るべきときが来て」に、夫に対する信頼と尊敬がいささかも揺るがなったことが見て取れる。

しかし、水木しげるは当然だと語った。
自分の作品に絶対の自信を持っていたのだ。
朝ドラのスタートとともに、強い追い風が吹いた。
ブームは、働かなくてもカネが入るから好きだと…。

自然体とは、風変りということ。
皆、生きるために、食べるためにそれを放棄する。
世間や職場でやっていけない。
自然体はもっとも難しい。

布枝は水木しげるを支えつづけて来年で50年、半世紀になる。
二人の絆はきわめて強い。
収録中、夫が発した言葉が誤解を生まないよう、配慮を忍ばせた。
会話の端々から意思と聡明さが伝わってきた。
素晴らしい!
布枝は決して地味で我慢強いだけでない。
また、収録中、ときどき夫の腿に手を置いた。
愛情を示すとか安心を与えるとかはもちろん、手で軽く叩いたり力を加えたりしながらブレーキをかけ、夫をコントロールしているのだ。

私は思う。
布枝という存在がなければ、水木しげるは漫画家としてここまでの成功を収められなかった。

その意味で、息子の見合いを強引に進めた武良琴江、娘の結婚を即座に促した飯塚藤兵衛が果たした役割はきわめて大きい。
朝ドラでは村井絹代(イカル。竹下景子)、飯田源兵衛(大杉漣)。

あしたは最後。
涙なしに「ゲゲゲの女房」を見られるだろうか?

(敬称略)

◆書き加え1(9月24日)

このブログで、株式会社水木プロダクションは自宅から駅の近くの事務所(仕事場)に引っ越したと書いた。
が、まだ自宅に置かれているのかもしれない。
そこでアシスタントが漫画を描いている可能性がある。

スタジオパークからこんにちは、ぴったんこカン・カン。
両番組で映し出された事務所には漫画を描く机は置かれていないのでは…。

◆書き加え2(9月24日)

午前11時にアップしたブログに手を加えた。
ドラマの内容であやふやだった部分がだいぶはっきりした。

⇒2010年9月24日「ゲゲゲ松下奈緒から、てっぱん瀧本美織へ」はこちら。

◆書き加え3(9月24日)

私は深夜近く妻に教えられた。
今晩7時〜11時頃までTBSテレビで「ぴったんこカン・カンスペシャル」「中居正広のキンスマスペシャル」の2番組が「ゲゲゲの女房」を取りあげた。
通常はそれぞれ1時間くらいなので、今回は特別企画。
正確には、両番組に6分間のフラッシュニュースを挟み、10時54分まで。
前者には松下奈緒が登場し、ピアノ演奏も披露した。
安住紳一郎は鋭く切り込めたのか。
後者には水木しげる夫妻が登場し、スタジオが騒然とした。
といっても調布市の水木プロダクションとの中継らしい。

NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」はあす最終回を迎える。
他局の番組に便乗した格好。
何せ国民的人気を博した。
そういえば、TBSの代名詞はドラマだった。
制作費が削られ、昔話…。
テレビ局は視聴率が低迷し、なりふり構っていられないという業界事情が背景にありそうだ。
もう一つは、秋の番組改編期。

私は番組を知っていたとしても、仕事に追われて見る余裕がなかった。
しかし、妻がすべて録画したという。
気が利く。
この朝ドラの終了後になってしまうが、見てみたい。

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