神奈川県横浜市の名門進学校、桐蔭学園高校。
1971年夏の甲子園(第53回全国高等学校野球選手権大会)、桐蔭学園は初出場で初優勝を飾り、一躍その名が全国に知られた。
創部6年目の快挙だった。

ウィキペディアによれば、桐蔭学園は1990年代に東京大学の合格者が百名、早稲田大学と慶應義塾大学の合格者がそれぞれ4百名を超え、「文武両道」のイメージが広まった。
しかし、その後は合格実績が次第に低下した。
桐蔭学園は懸命に立て直しを図っている。

第90回全国高校ラグビーフットボール大会での初優勝はいくらか追い風になるかもしれない。
桐蔭学園のラグビー部はエリート集団のようだ。
決勝戦を思い返せば、頭脳プレーが光った。

桐蔭学園フィフティーンは新横浜駅の改札口で関係者から祝福を受けた。
神奈川新聞によれば、あす優勝報告会を行う。
会場は、千人が決勝戦を応援したというメモリアルホールだろうか。

以下に、「桐蔭学園日本一、東福岡2連覇…高校ラグビー両校優勝」と題する2011年1月8日のブログを収める。

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第90回全国高校ラグビーフットボール大会。
その決勝戦が先ほど近鉄花園ラグビー場(東大阪)で行われた。
昨年(前回大会)と同じ顔合わせ(対戦カード)になり、桐蔭学園高校(神奈川第2)と東福岡高校(福岡第1)。
ともにAシード校。

桐蔭学園は東福岡に後半、猛烈に追い上げられ、終了間際、同点に追い付かれた。
そして、ノーサイドで両校優勝。
桐蔭学園31−31東福岡。
桐蔭学園は昨年のリベンジ(雪辱)を果たせなかったが、3度目の決勝進出で、念願の初優勝。
創部47年目にして日本一に輝いた。
おめでとう!

両校優勝は史上4度目(決勝戦中止を含む)。
引き分けに限れば、私が生まれる以前の第27回大会(1947年)以来。

全国高校ラグビーは、西日本勢が13大会連続の優勝(今大会を含む)。
それだけに桐蔭学園の健闘が光る。
第77回大会(1997年)の国学院久我山高校(東京)以来13大会ぶりの東日本勢の優勝。
また、神奈川県勢としては第74回大会(1994年)の相模台工業高校(神奈川総合産業高校)以来16大会ぶり。
東海大仰星高校(大阪第3)との準々決勝を27−26の接戦で制したのが大きかった。
桐蔭学園よ、よくやった。

東福岡は戦後5校目(史上8校目)の2連覇。
3回目の優勝。
2連覇は第81回大会(2001年)から第84回大会(2004年)まで4連覇した啓光学園高校(大阪、現常翔啓光学園高校)以来。
東福岡は全国高校選抜ラグビーフットボール大会も連覇している。
全国大会の2年連続2冠(春冬4季連続制覇)は史上初の快挙。

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事前の戦力分析と勝敗展望…。
大方の予想では、総合力で東福岡の優位は動かないとされていた。
後半の戦況を見て、私も実力の差を感じた。

東福岡は、高校日本代表候補9人を擁し、個々の能力が高い。
FW戦では向かうところ敵なし。
縦への突破力と密集でのボール争奪力が図抜けている。
また、ディフェンスが安定しており、タックルは鋭い。

それに対し、桐蔭学園は体格で劣るが、脚力で負けない。
運動量と機動力のチームであり、バックス陣の突破力と決定力は素晴らしい。
高校日本代表候補のFB松島幸太朗とWTB竹中祥の2枚看板を擁する。
また、FWは集散が早い。

横に展開する桐蔭学園。
縦に突進する東福岡。
試合運びが対照的な両チームの攻防は見応えがあった。
前半は桐蔭学園がバックスの展開力で主導権を握った。
松島幸太朗や竹中祥などのトライで、24−10で折り返した。
また、後半開始早々にトライを決め、31−10とリードを広げた。
私には、3トライ差は安全圏と思われた。

ところが、ここから東福岡が怒涛の反撃に出た。
FWの突進力で主導権を握った。
土壇場に追い詰められ、王者の底力を見せた。
ほとんどボールを支配し、最大21点差をきっちりと3トライで返した。
東福岡は気迫と執念が素晴らしかった。
平均体重で7キログラム以上勝るとはいえ、FWのプレッシャー(圧力)は凄まじい。
私には、奇跡の同点劇と思われた。
が、東福岡は負けているとの想定で練習を行っているようだ。
その努力が実った。

桐蔭学園は昨年(前回大会)の決勝では5−31で屈辱的な大敗を喫した。
しかし、昨夏の菅平合宿、練習試合ながら圧勝を収めていた(不確か)。
今大会の決勝戦、桐蔭学園はPGで加点できなかったのが響いた。

                       ◇

優勝インタビューは東福岡の谷崎重幸監督と桐蔭学園の藤原秀之監督が並んで受けた。
そして、互いの健闘を称え合い、がっちりと握手。
これがノーサイド、敵味方なし。

私はスポーツのなかでラグビーが一番好きなので、格別にうれしい。
まして、桐蔭学園は私が暮らす神奈川県横浜市の名門進学校。
自宅からそれほど遠くない。
夏の甲子園(高校野球)でも優勝しており、文武両道。
東京大学、早稲田大学や慶応大学など一流大学の合格実績で名高い。
桐蔭学園が東福岡の驚異的な粘りを振り切れなかったのはいくらか心残りだが、それもよしとしよう。
もともと劣勢を覆したのだから・・・。

桐蔭学園ラグビー部は東福岡ラグビー部との決勝戦で今後の課題が浮かび上がった。
受けに回ると非常にもろい。
また、決定力を有する2選手が抜ける穴を埋めなければならない。
神奈川県民、横浜市民として桐蔭学園に頑張ってほしい。

東福岡は選手層が厚く、来年も決勝に進出するだろう。

                       ◇

桐蔭学園のFB松島幸太朗は、大阪朝鮮高校(大阪第1)との準決勝で約 100メートル、東海大仰星との準々決勝で約70メートルの独走トライを決めた。
卒業後、世界最高峰の南半球のプロリーグ「スーパー15」に所属するシャークス下部組織のアカデミーに留学するらしい。
松島幸太朗は南アフリカ人の父と日本人の母を持つ。
今大会での「高校ラグビー日本一」は、昨年亡くなった父君がだれよりも喜んでいることだろう。

◆書き加え1(1月8日)

桐蔭学園の生徒は、横浜市青葉区の桐蔭学園鵜川メモリアルホールで応援したとのこと。
父兄を含めて約千人が大型スクリーンで観戦した。

悲願の頂点に立ったが、単独優勝は逃した。
1年間「打倒東福岡」を掲げて練習に励んできただけに、2年生や1年生などの部員は悔しさを隠さなかった。

Copyright (c)2011 by Sou Wada

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