私は書斎で仕事を行うときは、テレビをつけっ放しにしている。
なぜなら、不良だからだ。
ところどころ音声が耳に入ってくる・・・。

ところが、きょうは気になって仕方がない。
ついテレビ画面を覗いてしまう。
北海道日本ハムファイターズの本拠地・札幌ドームの開幕戦、早稲田大学からドラフト1位で入団した「ハンカチ王子」こと、斎藤佑樹がマウンドに立っているからだ。
千葉ロッテマリーンズ戦。
一球団というよりパ・リーグ、いや日本プロ野球界のゴールデンルーキーである。
あえて言えば、“武士”のオーラを放つ東京読売巨人軍(ジャイアンツ)・澤村拓一に対し、“公家”の華を漂わせる斎藤佑樹。
二人は何もかも対照的だ。

斎藤佑樹はポーカーフェースだが、それはナイーブな内面を隠すためだ。
彼はデビュー戦の緊張を柔和な表情に包んだ。
大変な重圧がかかっていたはずだ。

しかし、私がもっと感じたのは、チームメートががちがちだったこと。
とくに内野守備につく選手の緊張が伝わってきた。
動きが極端にかたい。
2度のエラーが斎藤佑樹の足を引っ張り、いずれも失点につながった。

このブログで述べたが、斎藤佑樹は素直で優しい人柄がピッチングにそのまま出ている。
フォームはきれい、球筋はきれい。
しかも球速は出ないので、打者は怖さをまったく感じない。
斎藤佑樹は、えぐさやいやらしさと無縁。
なぜなら、王子だからだ。
本質は、頭(ブレーンワーク)、つまり“組み立て”で投げる。
打たせて取るピッチャー。
それもフライでなくゴロで・・・。
内野に失策(拙守)が出ると、投球のリズムが狂う。

私は片づけなければならない仕事をたくさん抱えているのに、試合を見てしまった。
なぜなら、王子だからだ。
5回を投げ終え、斎藤佑樹は勝ち投手の権利を得た。
失点4、自責点0。
気づくと、私は手の平に汗をかいていた。
彼のピッチングにハラハラしていたのだ。

そして、ふと思った。
浅田真央の演技にドキドキしているときと同じだと・・・。

梨田昌孝監督は6回の先頭からピッチャーを代えた。
妥当な判断だ。
斎藤佑樹は精神的にも体力的にも一杯だった。
彼に勝ち星をつけさせる、つまり勝ち投手にしようとの意思である。
ベンチのなかが映ったが、梨田昌孝監督はへとへとだった。
選手も同じ。
斎藤佑樹の凄さは、周囲に本気でそう思わせるところだ。
これを「人徳」と呼ぶ。

早目の投手交代は斎藤佑樹に甘いと考える人もいるだろう。
が、それは違う。
多くのファンを球場に呼べる、多くのファンをテレビにくぎ付けにする選手はそうそういない。
いや、めったに現れない。
ファンあってこそなので、大切にして当然!
斎藤佑樹はプロ野球界の、浅田真央はフィギュアスケート界の“至宝”なのである。
大勢から愛される。
嫉妬は醜い、心から応援しよう!

たったいま試合が終わった。
斎藤佑樹はやはり“何か”を持っていた。
球場に詰めかけた超満員のファンの熱烈な声援を受け、初登板・初先発・初勝利の快挙。
投球の内容としては、澤村拓一や埼玉西武ライオンズ・牧田和久のほうがずっとよかった。
しかし、ルーキー(新人)の勝ち星の“一番乗り”を果たしたのは斎藤佑樹だった。
なぜなら、王子だからだ。

私は野球のド素人だ。
が、斎藤佑樹が通用しないなどというのは、もっと素人だ。

このブログで斎藤佑樹を幾度か取りあげた。
実は、私の“期待”をかなり交えて記した。
世の中に飛び出す若者を励ましたいという気持ちから、評価を嵩上げしている。
きょうは“正直”に述べる。
斎藤佑樹に澤村拓一のような爆発力を求めるのは筋違い。
プロ野球の打者に適応するまで、しばらく時間がかかりそうだ。
初めのうちは打ち込まれ、苦労するかもしれない。
しかし、斎藤佑樹は長くやっていける。
1年目よりも2年目、2年目よりも3年目のほうがよくなる。
10年間で百勝前後と予想する。
ちなみに、1年目は6〜10勝と予想する。
が、いまのプロ野球では「年間10勝」は先発ローテーションの立派な柱である。
斎藤佑樹はコンスタントに活躍する選手になろう。

なお、早稲田大学の同級生、広島東洋カープのドラフト1位・福井優也もマウンドに立った。
本拠地・マツダスタジアムの巨人戦。
福井優也はピッチャーにしては腰というか尻が小さいのが気になっていたが…。
7回2失点。
被安打6、奪三振7、四球2。
やはり初登板・初先発・初勝利の快挙。
おめでとう!
  
◆書き加え1(4月17日)

深夜のスポーツニュースで斎藤佑樹の投球を見た。

ボールがまとまりすぎており、あの球速では抑えられない。
もっと左右に散らし、上下を使わないとつらい。
とくに打者の内角をえぐるボール(ストライクに対するボール)。
ピッチングがやさしすぎる。
「学生野球」の延長で投げており、これで飯を食うというプロ意識に乏しい。

一言でいえば、甘い。
私は、ちょっとイライラ・・・。
浅田真央の“厳しさ”を彼に分けてやりたくなった。

きょうは変化球を主体にして何とか打ち取れた。
が、直球を磨かないと、変化球を生かせない。
初勝利を飾ったが、今後が大変。

また、キャッチャー(捕手)と息が合っていない。
リードに工夫が足りない。
斎藤佑樹はサインの変更を幾度も求めた。
この辺りは立派だ。
斎藤佑樹は、球速の変化もほしいところ。
課題だらけ・・・。

斎藤佑樹はマウンドに立つだけで、球場やファンを熱くさせる。
打たれても先発で使ってほしい。
首脳陣に我慢が必要だ。

                    ◇◆◇

プロ野球今季(2011年シーズン)のルーキー(新人)に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年2月12日「沢村拓一は伝説の投手になれ…城之内邦雄」はこちら。

⇒2011年2月11日「沢村拓一に開幕投手テスト…巨人原辰徳監督」はこちら。

⇒2011年2月7日「沢村拓一が宮崎牛に舌鼓…巨人1軍キャンプ」はこちら。

⇒2011年2月4日「沢村拓一15番、斎藤佑樹18番…実力はどちら?」はこちら。

⇒2011年2月3日「勝ち星予想…沢村拓一・斎藤佑樹・大石達也」はこちら。

⇒2011年1月31日「斎藤佑樹は1軍キャンプで滅多打ち、プロで通用?」はこちら。

⇒2011年1月30日「斎藤佑樹、日本ハム新ユニフォームを名護で披露」はこちら。

⇒2011年1月24日「スター斎藤佑樹…満員札止めの大舞台」はこちら。

⇒2011年1月11日「斎藤佑樹、勇翔寮出世部屋404号室へ…新人合同自主トレ」はこちら。

⇒2010年12月15日「斎藤佑樹、期待の重圧…プロでの実力と活躍」はこちら。

⇒2010年12月10日「斎藤佑樹は日ハムのユニフォームでいいのか?」はこちら。

⇒2010年11月14日「東海大・菅野智之は巨人、興南・島袋洋奨は中央大」はこちら。

⇒2010年11月12日「沢村拓一は巨人の開幕投手、即沢村賞も…」はこちら。

⇒2010年11月11日「一二三慎太は投手か打者か…阪神タイガース」はこちら。

⇒2010年11月6日「斎藤佑樹エースナンバー18番で開幕投手へ」はこちら。

⇒2010年11月6日「公家の斎藤佑樹と武士の沢村拓一…セ・パ交流戦対決」はこちら。

⇒2010年11月3日「斎藤佑樹は輝かしいスター、大舞台が似合う」はこちら。

⇒2010年11月3日「早慶優勝決定戦、斎藤佑樹と大石達也は登板?」はこちら。

⇒2010年8月22日「夏の甲子園、決勝の残酷…東海大相模・一二三慎太」はこちら。

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