読売ジャイアンツのドラフト1位ルーキー・澤村拓一が先日、ついに一軍のマウンドに立った。
今シーズン3試合目、マツダスタジアムでの広島カープ戦。
私は深夜のスポーツニュースでちらっと見ただけだが、前評判どおりの好投だった。
当日は快投に非ず。

澤村拓一は大物だ。
プロ野球公式試合のデビュー戦というのに、緊張感が伝わってこない。
よく見ると、かわいい笑み。
それが、なぜか“不敵”に映る。

私は上原浩治より上だと思う。
ただし、彼の1年目の勝ち星、目覚ましい活躍を超えることを意味しない。
数年間を眺めるなら成績で上回るのでは…。
毎シーズン、コンスタントに15勝以上。

広島戦では、直球のスピードも切れも、そして肝心のコントロールもいま一つだった。
それでも広島打線を球威で圧倒した。
彼より速い投手はそれなりにいるはずで、どちらかというと重い印象。
この日は変化球をあまり投げなかった。
直球で勝とうとしたのか、変化球が決まらなかったのか、私は知らない。
三振が取れない。

澤村拓一は6回まで無失点に抑えた。
しかし、7回一死からライアルの失策(拙守)に足を引っ張られ、2点を失った。
が、自責点0は立派。
後続が打たれ、勝利投手の権利は消えた。
巨人の大卒ルーキーが初登板・初先発・初勝利を飾れば、51年ぶりの快挙だった。

また、中央大学野球部の先輩・阿部慎之助は、阪神との練習試合の守備で右ふくらはぎを痛め、その場で動けなくなった。
やはり肉離れで、長期の戦線離脱へ。
巨人は正捕手不在、主力打者欠場で開幕を迎えた。
澤村拓一は阿部慎之介のミットを目がけて投げ込むのを楽しみにしていたのでは…。
安心感だって違う。
が、影響はそれほど感じられなかった。
そうか、阿部慎之介はチームの主将だ。

澤村拓一は、巨人では久々の「黄金ルーキー」。
最高のデビューとはならなかったが、シーズンは長い。
この日の投球で、ファンの期待は一段と膨らんだ。

澤村拓一はユニフォームを通しても、走り込みとウエイトトレーニングで鍛えた下半身の凄さが伝わってきた。
きょう、甲子園の阪神戦で登板するらしい(不確か)。
彼は変化球も一級品。
高速のスライダーとフォークが決まると、中軸打者も打てない。

澤村拓一は阪神戦で初勝利を飾り、黄金伝説の扉を開けるのでないか。
故障さえなければ、近い将来どころか今シーズン中に巨人のエースになろう。

以下に、「沢村拓一は伝説の投手になれ…城之内邦雄」と題する2011年2月12日のブログをそのまま収める。

                       ◇◆◇

読売ジャイアンツ(巨人)の沢村拓一。
合同自主トレ、宮崎1軍キャンプと、評価がうなぎのぼりだ。
華のある斎藤佑樹に目を奪われがちだが、全身から放つオーラなら決して負けない。
武士のような面構えからふてぶてしい印象が先行するが、彼は求道的である。
私はルーキーイヤーから大車輪の活躍を予想している。
むろん、押しも押されもせぬエースへ。

私は野球に関して専門知識を持たない。
素人の直感で述べれば、上原浩治の入団時よりも上である。
馬力が凄い。

その上原浩治。
大阪体育大学から逆指名制度を活用し、ドラフト1位で巨人に入団した。
ルーキーイヤーの1999年、歴代4位タイの15連勝を含め、20勝4敗という素晴らしい成績を残した。
ポンポン投げ込む様は、実に小気味よかった。
バッターは読みを働かせる間を持てない。

新人の20勝到達は木田勇以来、19年ぶり。
最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠、合わせて最高勝率に輝いた。
新人王、沢村賞、ベストナイン(最優秀投手賞)のタイトルをつかんだ。
興行面も意識したローテーションが組まれ、「サンデー上原」と称された。

上原浩治は速球の切れもさることながら、コントロールが精密だった。
それに対し、沢村拓一は剛速球が命。
あまり制球にこだわらないことだ。
重心が非常に低いので案外、コントロールは悪くない?
ただし、入れ込みやすく、故障が心配。
無茶をしそう…。

巨人OBの城之内邦雄が先月、新人合同自主トレの打ち上げの日、川崎市のジャイアンツ球場を訪れ、沢村拓一を絶賛した。
1962年、新人ながら開幕投手を務めた背番号15「エースのジョー」だ。
背番号15、沢村拓一に開幕投手の太鼓判を押した。
さらに、下半身を鍛えればとの前提で、20勝の可能性を告げた。

開幕は3月25日。
沢村拓一が東京ドームで行われる横浜戦で先発を務めれば49年ぶりの快挙。

宮崎1軍キャンプ。
セ・リーグ他球団のスコアラーが偵察に訪れる。
沢村拓一の剛速球は、味方がざわめくほどの迫力だ。
捕手・阿部慎之助は「上原さんの全盛期の球を重くした感じ」と、印象を語った。

余談。
私が新人投手でもっとも記憶に残っているのは、日本ハムの木田勇である。
化け物だった。
ルーキーイヤーの1980年、22勝8敗4セーブ、 225奪三振、防御率2.28、勝率.733という成績を残した。
投手部門のタイトルを独占。
新人王は当然として、史上初となる新人でのMVPに輝いた。
が、あっという間に燃え尽きた。

◆書き加え1(2月6日)

城之内邦雄の発言を取りあげたら、懐かしさが込みあげてきた。
デビューは、私が直江津小学校の高学年だった。
実は、プロ野球で一番好きなピッチャーである。
記憶がすっかり曖昧になってしまった。
以下は、おそらく。

寡黙というか無愛想というかポーカーフェイスというか…。
バッターに完全に背を向け、ひるがえって体重を乗せて投げ込む変則フォーム。
つんのめる感じ。
野茂英雄の「トルネード投法」みたいなシンボリックなかっこよさはない。
腰はサイドスローの回転なのに、リリースポイントが胸の高さ。
しかも、腕が体に巻きついて出てくるような、わけの分からない投球法。
しかし、きわめて合理的でもある。
武器は、癖のある速球とえぐいシュート。
バッターは打ちづらいし、怖かったろう。
入団から5年で 100勝に到達した投手は城之内邦雄以降、現れていない。

私は堀内恒夫、江川卓、斎藤雅樹をしのぐと思う。
が、マスコミに取りあげられることがなかった。
「伝説」という言葉は、城之内邦雄に贈りたい。

                      ◇◆◇

プロ野球今季(2011年シーズン)のルーキー(新人)に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年4月19日「牧田和久サブマリン…手玉に取る頭とテンポ」はこちら。

⇒2011年4月17日「斎藤佑樹のハラハラ、浅田真央のドキドキ…日本の至宝」はこちら。

⇒2011年2月12日「沢村拓一は伝説の投手になれ…城之内邦雄」はこちら。

⇒2011年2月11日「沢村拓一に開幕投手テスト…巨人原辰徳監督」はこちら。

⇒2011年2月7日「沢村拓一が宮崎牛に舌鼓…巨人1軍キャンプ」はこちら。

⇒2011年2月4日「沢村拓一15番、斎藤佑樹18番…実力はどちら?」はこちら。

⇒2011年2月3日「勝ち星予想…沢村拓一・斎藤佑樹・大石達也」はこちら。

⇒2011年1月31日「斎藤佑樹は1軍キャンプで滅多打ち、プロで通用?」はこちら。

⇒2011年1月30日「斎藤佑樹、日本ハム新ユニフォームを名護で披露」はこちら。

⇒2011年1月24日「スター斎藤佑樹…満員札止めの大舞台」はこちら。

⇒2011年1月11日「斎藤佑樹、勇翔寮出世部屋404号室へ…新人合同自主トレ」はこちら。

⇒2010年12月15日「斎藤佑樹、期待の重圧…プロでの実力と活躍」はこちら。

⇒2010年12月10日「斎藤佑樹は日ハムのユニフォームでいいのか?」はこちら。

⇒2010年11月14日「東海大・菅野智之は巨人、興南・島袋洋奨は中央大」はこちら。

⇒2010年11月12日「沢村拓一は巨人の開幕投手、即沢村賞も…」はこちら。

⇒2010年11月11日「一二三慎太は投手か打者か…阪神タイガース」はこちら。

⇒2010年11月6日「斎藤佑樹エースナンバー18番で開幕投手へ」はこちら。

⇒2010年11月6日「公家の斎藤佑樹と武士の沢村拓一…セ・パ交流戦対決」はこちら。

⇒2010年11月3日「斎藤佑樹は輝かしいスター、大舞台が似合う」はこちら。

⇒2010年11月3日「早慶優勝決定戦、斎藤佑樹と大石達也は登板?」はこちら。

⇒2010年8月22日「夏の甲子園、決勝の残酷…東海大相模・一二三慎太」はこちら。

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