東日本大震災後の福島第一原発事故の初期報道を見ていて、なぜ原子炉建屋への放水作業を無人で行わないのか不思議だった。
無線ヘリコプターや無線ポンプ車はどうした?
実際には警視庁機動隊や東京消防庁などが建屋に近づき、おもに地上から放水を進めた。
また、放水でなく注水に近い作業では、水の出口にカメラを取り付ければ、建屋内の様子を鮮明に捉えられる。
作業の確度・精度が劇的に高まる。
現場の状況が分かると対策も立てやすい。
私はそう思ったが、それができるならやっているはずだとも思った。

その後の復旧作業では、建屋の周辺に散乱した屋根や壁などのがれきが妨げになった。
放射性物質に汚染されたそれらを撤去するため、遠隔操作の重機の投入がなされた。
しかし、ずいぶん遅かった。

私は、現場での危険極まりない作業に「ロボット」を使わないことも不思議だった。
そこに人間が入り、しかも一定時間は留まらざるをえない。
計測管理を行っているとしても、人体への影響が心配である。
作業員の被ばくを防止するには、遠隔操作のロボットの投入が必須だろう。
日本は「ロボット先進国」であり、世界に先行していたのでなかったか・・・。

事故発生後ほどなく政府と東京電力の事故対策統合本部に「リモートコントロール化プロジェクトチーム(リモコンPT)」が設けられた。
だが、放射線に汚染された環境で動かせる機材が日本にほとんどなかったらしい。
原発は安全と信じ、事故を想定した開発を行っていなかった。

震災後1カ月が過ぎたいまも、原子炉冷却装置の復旧、高濃度汚染水の処理が難航している。
それにともない、被ばく線量の限度が引き上げられた。
そうでもしなければ、作業員が足りなくなるからだ。
本人は命がけであり、家族は無事を祈ることしかできない。

原発の「安全神話」が崩壊し、この国のエネルギー政策を見直そうとする機運が高まるのか・・・。
それとも、福島第一原発の設計上の不備や欠陥へ関心が向かうのか・・・。

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