先日のブログ「佐藤信夫、浅田真央を叱る…新横浜の好々爺」で、採点競技における審査基準の変更について触れた。

⇒2011年5月19日「佐藤信夫、浅田真央を叱る…新横浜の好々爺」はこちら。

これは、選手はもちろん、指導に当たるコーチにとっても非常に厄介である。
選手は勝ちたい、コーチは勝たせたいと思って練習に取り組んでいるからだ。

⇒2011年5月1日「浅田真央、世界で勝つ判断と作戦…佐藤信夫コーチ」はこちら。

佐藤信夫コーチは、自分がやってきたことを否定するつもりで柔軟な対応を心がけているとのこと。
まもなく70歳という高齢にもかかわらず、いまだに日本フィギュア界を牽引する指導者でありつづける秘訣だろう。
自己否定とは若さである。

⇒2011年5月14日「浅田真央のストイック、金妍児の自由奔放」はこちら。

佐藤信夫コーチはかつて、荒川静香や安藤美姫を指導した。
そして最近、小塚崇彦を男子フィギュアのエースに育成した。
さらに2010年〜2011年のシーズン直前、スランプに陥った浅田真央を引き受けた。
長い選手経験で染み付いた滑りの癖を取り除き、2014年ソチ冬季五輪(オリンピック)で勝つための基礎の再構築を指導している。
小塚崇彦と浅田真央の成長が楽しみだ。

⇒2010年11月25日「浅田真央を引き受けた佐藤信夫コーチの胸中」はこちら。

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ところで、フィギュアスケートの審査基準の変更への対応ということで私が真っ先に思い浮かべるのは、ニコライ・モロゾフコーチである。
彼はタチアナ・タラソワコーチの指導を受け、現役引退後にアシスタントになった。
後に独立を果たす。

ニコライ・モロゾフコーチは、「振付師」を兼任できる。
これは指導者として非常に強い。
選手の長所を際立たせながら、確実に得点を上積みしていくプログラム構成は定評がある。
予想が低かった荒川静香を2006年トリノ冬季五輪(オリンピック)金メダルへ導いた。
また、不調に沈んでいた安藤美姫を2007年と2011年の世界フィギュアスケート選手権優勝へ導いた。

⇒2011年4月29日「安藤美姫、世界女王へガッツポーズの品格」はこちら。

ニコライ・モロゾフコーチは、リンクで選手に滑りの実際を示せる。
これも強い。
荒川静香がオリンピック直前にタチアナ・タラソワからニコライ・モロゾフへコーチを変更した最大の理由だ。

ニコライ・モロゾフコーチは指導の大半を、選手の持ち味を最大化することに費やす。
したたかなプログラム構成を含め、勝利への合理的な肉薄が一番の特徴である。
それが選手の納得を生み、信頼を得る。

⇒2011年5月3日「世界フィギュア採点のなぞ…安藤美姫の勝利」はこちら。

ニコライ・モロゾフコーチは、基礎ができている有力選手のブラッシュアップによる優勝を請け負う際、彼自身の能力がもっとも発揮されるのではなかろうか。
タチアナ・タラソワコーチのもとで育ったので、表現の指導においても優れている。

⇒2011年1月18日「安藤美姫とニコライコーチ、ガッツポーズと涙」はこちら。

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