ファッションデザイナーの草分け・小篠綾子(こしの・あやこ)の生涯とエピソードを土台にした朝ドラ「カーネーション」。
当然、渡辺あやのシナリオ(脚本)にはフィクション(虚構)の要素が含まれるだろう。
このカーネーションが抜群に面白く、しかも非常に深い。

私は、女優・尾野真千子が好演するヒロイン・小原糸子を見ていて、大きな功績を残す人には“必然”があると、改めて思い知らされた。
以前の放送で、小原糸子がミシン(洋裁)の師匠に、「洋服を着て胸を張って歩くことが、あなたの使命だと思いなさい(台詞は不確か)」と諭されるシーンに、胸が熱くなった。
ひた向きさが彼女を突き動かし、素晴らしい縁(師匠)を引き寄せた。

また、小原糸子が心斎橋の百貨店の制服20着を受注した。
おそらく20歳前だった。
こんな勇敢な営業活動を行うのは男でも滅多にいない。
ほとんど鉄砲玉!
情熱が彼女を突き動かし、年齢不相応の縁(仕事)を引き寄せた。
何の実績もなく、ほとんど奇跡!
もちろん、糸子に「営業活動」という概念はない。
私は、覚悟が運を切り拓いていくシーンに心打たれた。

朝ドラ「カーネーション」は、還暦の私が失った若い頃の“無謀”を思い出させてくれる。
長く生きるうちに、もっとも大事なものを置き忘れてしまったようだ。

例の制服を受注するため、小原糸子は勝負をかけた。
デザイン画で案を提示するのでなく、現物を試作した。
このとき、2日間一睡もしなかった。
その情景が思い浮かぶ。
私も3日間一睡もしないで働きつづけたことなら、過去に何回か経験している。
休憩はゼロ。
顔も洗わず、歯も磨かず、風呂も入らず、服も着替えず…。
食事もほとんど取らなかったので、正味の労働時間は70時間近くでなかろうか。
忘我の状態であり、眠気は起こらなかった(記憶が曖昧)。

                       ◇

今日、営業職でさえ、行きやすい顧客を訪問し、会いやすい人物と面会している。
その典型がルーティン、いわゆる「ルートセールス」。
自分ができることで日々お茶を濁しているので、この仕事に3年、5年、10年携わってもこれといったノウハウは残らない。
私は、営業とは、会いにくい人に会いにいくことだと考える。
生み出す成果と、営業に関わる知識とは関連性が低い。
営業とは「行動の度胸」である。
概して、営業本を読むと売り上げが落ちる。

また、世間には、とくにmixiやFacebookなどのSNSには「縁を大切にする」という人が溢れている。
これまでの人生を振り返り、もっとも難しいのが「縁を大切にする」ことだ。
それができれば、あり余る幸せと豊かさを手に入れている。
私は、縁とは、会いにくい人に会いにいくことだと考える。

小原糸子は貪欲(ハングリー)で愚直(フーリッシュ)な行動でそれを示している。
職業人生、さらに人生を変えるとか、切り拓くとかいった縁をつくるには、ひたむきさと情熱、そして覚悟が欠かせない。
果敢な行動がすべて。
たやすく手に入るものは、縁になりにくい。

小原糸子は猛烈に頑張っている。
が、おおいに楽しんでいる。
それがあるから頑張れるともいえよう。

「カーネーション」は朝ドラのなかで最高傑作だ。
とはいえ、私がいくらか視聴した作品はわずかであり、客観的な評価でない。
率直な感想だ。
素晴らしい出来である。

                      ◇◆◇

尾野真千子と朝ドラ「カーネーション」に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年11月4日「カーネーション視聴率のネックは何か…面白いのになぜ?」はこちら。

⇒2011年10月31日「威張る小林薫、とぼける麻生祐未…朝ドラ・カーネーション」はこちら。

⇒2011年10月28日「尾野真千子がコシノ三姉妹に対面、夢中のオーラを感じる」はこちら。

⇒2011年10月24日「カーネーション・ヒロイン小原糸子のモデル…小篠綾子」はこちら。

⇒2011年10月21日「尾野真千子・小原糸子の演技、朝ドラ・カーネーションの評判」はこちら。

⇒2011年10月18日「松下奈緒・瀧本美織・井上真央・尾野真千子…朝ドラヒロイン素顔」はこちら。

⇒2011年10月12日「松下奈緒、朝ドラ視聴率・朝ドラ人気回復に最大の貢献!」はこちら。

⇒2011年10月8日「二宮星お多福の演技力…カーネーション・朝ドラヒロイン」はこちら。

⇒2011年10月5日「尾野真千子カーネーション視聴率…井上真央おひさまに及ばず」はこちら。

⇒2011年10月3日「尾野真千子、朝ドラオーディション4度目の正直で号泣!」はこちら。

⇒2011年10月1日「おひさま井上真央からカーネーション尾野真千子へ…視聴率20%超連発」はこちら。

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