NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」。
尾野真千子がヒロイン・小原糸子を演じる。
コシノ三姉妹を女手一つで育て上げた小篠綾子(コシノアヤコ)の実話がシナリオのベースになっている。
オープニングが秀逸だ。
ドラマの導入部分であり、視聴者はここから小篠綾子の半生に入っていく。

「カーネーション」公式サイトによれば、タイトルバックを制作したのは辻川幸一郎。
TVCMやミュージックビデオなどを手がける映像ディレクター。
彼は渡辺あやの脚本(シナリオ)でドラマを感じ取るところから始めた(だれでもそうだ)。
クランクインの前なので、岸和田やだんじり祭の取材に行った。
コシノ三姉妹のドキュメンタリー番組も見た。

辻川幸一郎が訪れた「岸和田だんじり会館」では、人形がだんじりのミニチュアを引いていた。
ヒロインをモデルアニメに仕立て、「カーネーション」が目指す世界を“ミニドラマ”で象徴しようと決めた。
渡辺あやは突っ込んだ人物表現が特色であり、脚本が含む毒をちりばめた。
ヒロインがマチ針をずぶっと針山に刺したり、細い糸にしがみついてミシンによじ登ったり…。
また、ミシンの針に巻き込まれそうになったり、針に引っ張られる布の上で転びそうになったり…。
どこか危うい。
そして、ミシンに乗っかり大工方を演じる。

オープニング映像は何とも不思議な趣を持つ小品に仕上がった。
見事な出来栄え、呆れるほどの完成度である。
むろん、「カーネーション」のストーリーの核心をおおよそ語っている。
ドラマは、渡辺あやが熱望して大正時代の岸和田だんじり祭から始まった。
幼い頃から大工方に憧れつづけたヒロインが、男と張り合わずに見つけた、女しかできない世界が「洋裁」だった。
小原糸子に「ミシン」との運命的な出合いが訪れることを示している。
ここから呉服店の長女が日本のファッションデザイナーの草分けの道を進む。
ミシンのハンドルにだんじりの車輪のイメージが重なり合うように回転の速さと力強さを増していく。
ヒロインはしゃにむに突っ走っていくのだろう。

カーネーションのタイトルロゴは水彩画の風合い。
そして背景はスケッチブック。
その中央に置かれた小原糸子(モデルアニメ)が目覚めて動き出す。
タイトルの候補として「ドレス」も挙がっていたようだ(単に仮タイトルか)。
確かに洋服のドラマだ。
そこで、辻川幸一郎は服をモチーフの一つとした。
カーネーションと重ね合わせ、小原糸子のドレスと靴を赤にした。
ミシンの糸も大工方のうちわも…。
基調はセピアっぽい白であり、映像全体の色の取り合わせがよい。

オープニング映像は朝ドラ「カーネーション」の印象とそれほどマッチしていない。
上方喜劇に特有のこてこての登場人物の人生や暮らし、ドラマの内容と展開に対し、芸術作品のような格調の高さを備える。
このズレがとても心地よい。
ドラマのキャラクターとストーリーのアクの強さを和らげる効果もある。

⇒2011年11月4日「カーネーション視聴率のネックは何か…面白いのになぜ?」はこちら。

なお、辻川幸一郎はタイトルバックと同時制作だった、椎名林檎の主題歌を知らなかった。
これも驚きだ。
完成した曲に映像の動きやカットのタイミングを合わせたらしい。

それにしてもタイトルバックにこれだけのエネルギー、つまりコストをかけられるのはNHKだけだ。
私は裏事情に疎いが、カーネーションは朝ドラのなかでも非常に制作費がかかっているように感じる。
民放の低予算のドラマが気の毒になってきた・・・。

                      ◇◆◇

尾野真千子と朝ドラ「カーネーション」に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年11月6日「尾野真千子カーネーション…朝ドラ最高傑作」はこちら。

⇒2011年11月4日「カーネーション視聴率のネックは何か…面白いのになぜ?」はこちら。

⇒2011年10月31日「威張る小林薫、とぼける麻生祐未…朝ドラ・カーネーション」はこちら。

⇒2011年10月28日「尾野真千子がコシノ三姉妹に対面、夢中のオーラを感じる」はこちら。

⇒2011年10月24日「カーネーション・ヒロイン小原糸子のモデル…小篠綾子」はこちら。

⇒2011年10月21日「尾野真千子・小原糸子の演技、朝ドラ・カーネーションの評判」はこちら。

⇒2011年10月18日「松下奈緒・瀧本美織・井上真央・尾野真千子…朝ドラヒロイン素顔」はこちら。

⇒2011年10月12日「松下奈緒、朝ドラ視聴率・朝ドラ人気回復に最大の貢献!」はこちら。

⇒2011年10月8日「二宮星お多福の演技力…カーネーション・朝ドラヒロイン」はこちら。

⇒2011年10月5日「尾野真千子カーネーション視聴率…井上真央おひさまに及ばず」はこちら。

⇒2011年10月3日「尾野真千子、朝ドラオーディション4度目の正直で号泣!」はこちら。

⇒2011年10月1日「おひさま井上真央からカーネーション尾野真千子へ…視聴率20%超連発」はこちら。

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