球団がドラフトで選手を指名する。
選手がドラフトで入団を拒否する。
双方とも規約や権利に則っている。
その判断と行動に悪者は存在いない。
今回は球団の勇気と選手の勇気がぶつかっただけの話である。

⇒2011年10月29日「菅野智之…巨人油断、ドラフト一本釣り詰め甘く大失態」はこちら。

日本プロ野球は、球団の経営努力により業績や人気に大きな格差がついた。
その結果、有望選手が一握りの球団に集中して戦力が偏るという不都合が生じた。
それを防止するために取られた“必要悪”の措置がドラフト制度の導入だった。

⇒2011年10月30日「巨人1位指名は長身左腕・松本竜也投手…香川・英明高校」はこちら。

菅野智之は北海道日本ハムファイターズへの入団拒否を表明した。
「小さい頃からの夢が大きかった」。
自分の意志を貫く姿勢は立派の一言。
会見後の晴れやかな表情が印象的だった。

もっとも愚かなのは、「ドラフトは正しい」という前提のもとに菅野智之をけしからんと退ける指摘や風潮である。
時代錯誤もはなはだしい。
球団が取りたいと望み、選手が入りたいと望んでいるのに、それが叶わない仕組みがそもそも異常なのだ。
自由主義国とはとても思えない。

今回の件を受け、入団拒否選手への“締めつけ”を強化すべきとの暴論が沸き起こるだろう。
個人の「自由」は重い。
それを組織の「論理」で奪うべきでない。
まして何ら正当性を持たない制度に従えなど、論外。
問題は、日本プロ野球そのものの保守的な運営にあり、球界の抜本的な改革が急務である。
メジャーリーグでもベースボールの人気は年々低下している。
はっきり言って、野球は古い。
“縛り”だらけで腐臭を放っている。

私は、菅野智之が清武英利前代表の引き起こしたゴタゴタ劇に嫌気が差し、日本ハムファイターズに入団するかもしれないと考えていた。
しかし、読売ジャイアンツ(巨人軍)に対するこだわりはまったく揺るがなかった。

とはいえ、巨人はファン不在の内紛劇で補強がままならない。
また、球団(フロント)、監督・コーチ・選手などの精神的な動揺も小さくない。
来季もセ・リーグ制覇を逃す可能性がある。
そうなると原辰徳監督は解任となり、江川卓が新監督に就任する。
菅野智之は会見で、伯父の原辰徳監督とともにプレーしたいとも語っていた。
その夢が崩れる。

さらに、2012年ドラフト会議では、親会社が変わった「横浜DeNAベイスターズ」が迷わず1位指名に踏み切り、当たりくじを引く。
つまり、交渉権を獲得する。

⇒2011年10月23日「菅野智之は横浜と巨人が指名…ドラフト会議12球団1位予想」はこちら。

菅野智之は新監督・原辰徳とともに愛する地元の球団にすんなりと入りなさい。
めでたし、めでたし・・・。

Copyright (c)2011 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!