フィギュアスケートグランプリシリーズ2011(GPシリーズ2011)第6戦「ロシア杯」。
男子のフリースケーティング(FS)が行われた。

ショートプログラム(SP)で2位につけていた羽生結弦(はにゅう・ゆづる)が逆転してGPシリーズ初優勝、グランプリファイナル2011(GPファイナル2011)初進出を決めた。
おめでとう!
スペインのハビエル・フェルナンデスは2位。
SP1位のアメリカのジェレミー・アボットは3位。
羽生結弦と同じ24ポイントを獲得した小塚崇彦は優勝がなかったことで、GPファイナル進出を逃した。

注目のフリー、羽生結弦は冒頭の4回転ジャンプの着氷で両手をつくなどミスが出たが、最後まで落ち着いて滑った。
自己ベストを7点以上更新、合計でも自己ベストを13点以上更新・・・。
フリーの出来に自ら合格点と顔をほころばせた。

羽生結弦は高橋大輔・織田信成・小塚崇彦の“御三家”を脅かす存在に成長した。
最大3枠の2014年ソチ冬季五輪(オリンピック)の日本代表候補、さらに金メダル候補に名乗りを上げた。
男子は活性化によるレベルアップが図られそう。
結局、ロシア杯は浅田真央と羽生結弦がアベック優勝を遂げた。
気持ちいい・・・。

羽生結弦は宮城県生まれ、東北高校在籍の16歳の新鋭。
2009年ジュニアGPファイナル優勝。
2010年世界ジュニア選手権優勝、全日本選手権4位。
2011年四大陸選手権2位。

羽生結弦は3月11日、アイスリンク仙台で練習中に「東日本大震災」に遭遇した。
自宅も被害を受け、家族と避難所で数日過ごした。
練習拠点が4カ月以上閉鎖になり、リンクを求めて全国を転々とした。

死の恐怖に直面した出来事は、人生と競技に対する考え方に変化をもたらした。
あって当然と思っていたものやことが消え、一つひとつを大事にするようになった。
羽生結弦はチャリティーイベントに約60回出演した。
練習時間をつくるため、会場に早く入った。
また、ショーとはいえ、試合のつもりで滑った。
気持ちを切らすことなく、努力を精一杯積み重ねた。

羽生結弦は震災直後、スケートをやることに強いためらいを感じた。
しかし、元気に滑るところを見てもらい、被災地の人々の力になりたいと考えた。
逆境をバネにしてつかんだGPシリーズ初優勝、GPファイナル初進出の快挙により、その思いは故郷に届けられた。

                       ◇

このブログで述べたとおり、小塚崇彦はGPファイナル進出を逃してよかった。
いま必要なのは、シーズンの総括となる世界フィギュアスケート選手権2012の代表最終選考会を兼ねる全日本フィギュアスケート選手権2011へ向けてコンディションを整えることだ。
練習に打ち込める時間をしっかりと取れることは、彼に味方するだろう。
もっとも、浅田真央は小塚崇彦と一緒に出場できない。
さみしさは隠せない・・・。

以下に、「浅田真央、心のなかで『たかちゃん、ごめんね』」と題する2011年11月26日のブログをそのまま収める。

                      ◇◆◇

きのうのブログ「浅田真央、跳びたいから跳ぶのは幼い…GPシリーズ2011」に続いて・・・。

⇒2011年11月25日「浅田真央、跳びたいから跳ぶのは幼い…GPシリーズ2011」はこちら。

フィギュアスケートグランプリシリーズ2011(GPシリーズ2011)第6戦「ロシア杯(ロシア大会)」。
女子シングルのショートプログラム(SP)が行われた。

NHK杯2位(13ポイント)の浅田真央は 64.29点でライバルを押さえてトップに立った。
NHK杯3位(11ポイント)のロシアのアリョーナ・レオノワ(アリーナ・レオノワ)は 63.91点で2位。
世界ジュニア女王で中国杯3位(11ポイント)のロシアの新星、アデリナ・ソトニコワは 57.79点で3位。
今井遥は 55.20点で6位。

⇒2011年11月23日「浅田真央、GPファイナル2011進出の条件…ロシア大会」はこちら。

浅田真央は迷わず、確実に跳ぶことを選んだ。
SPではジャンプのミスが大きく得点に響く。
トリプルアクセルをダブルアクセルにする安全策で臨み、波に乗った。
冒頭でしくじると、後の演技に引きずりやすい。
すべてのジャンプをきれいに決めた。
また、一つひとつの要素を丁寧にこなした。
終盤のストレートステップで最高難度のレベル4を得た。
得点はNHK杯をかなり上回った。

⇒2011年11月12日「浅田真央、完全復活は間近…GPシリーズ2011NHK杯復調」はこちら。

浅田真央は自信を取り戻し、演技が落ち着いていた。
千夜一夜物語「シェヘラザード」の王妃を彼女らしく表現した。
また、滑りのスピードが増した。
長い手足を生かした動きは大きい。
カメラが引かないと滑りや動きについていけない。
私は採点方法を分かっているわけでないが、浅田真央とアリョーナ・レオノワの演技は二人の得点差よりも開いていると感じた。

浅田真央は、GPシリーズでは2008年のNHK杯以来3年ぶりの優勝へ向けて好スタートを切った。
このときもSPでトップに立った。
フリースケーティング(FS)はきょう行われる。
放送はテレビ朝日系列で午後6時58分〜9時、男子SPを含む。
浅田真央は2位以内に入れば、GPファイナルへの3季ぶりの進出が自動的に決まる。
心のなかで、「たかちゃん、ごめんね」と言うのか。
小塚崇彦はファイナル進出が微妙・・・。

⇒2011年11月20日「浅田真央に負けるわけにいかない小塚崇彦…全日本選手権2011」はこちら。

以下に、「浅田真央、納得の笑顔…ソチ五輪金メダルへ確かな手応え」と題する2011年11月13日のブログをそのまま収める。

                      ◇◆◇

きのうのブログ「浅田真央、完全復活は間近…GPシリーズ2011NHK杯復調」に続いて・・・。

⇒2011年11月12日「浅田真央、完全復活は間近…GPシリーズ2011NHK杯復調」はこちら。

フィギュアスケートグランプリシリーズ(GPシリーズ)2011。
第4戦「NHK杯」が北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナで行われている。
きのうは女子フリースケーティング。

ショートプログラム(SP)首位の鈴木明子が逃げ切り、2009年中国杯以来2度目のGPシリーズ優勝。
12月にカナダで開催される、上位6選手が競うグランプリファイナル(GPファイナル)2011進出を決めた。
SP3位の浅田真央はフリー1位。
が、わずかに及ばず、2位に留まった。

                       ◇

浅田真央はフリーでリストの「愛の夢」を滑り終え、リンクで幾度もうなずいた。
現時点でベストの演技を行えたという納得の笑顔だった。
会場の温かい拍手はなかなか鳴りやまない・・・。

浅田真央はSPで失敗した冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を回避した。
佐藤信夫コーチからダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を跳んでいたら得点が伸びたと諭された。
このジャンプを確実に決めるとリズムに乗り、2回転半−3回転トーループの連続ジャンプなどを決めた。
スピンとステップも見事だった。

同じ曲を2季連続で用いるのは異例だ。
そこにはプログラムを不完全で終わらせてしまったという後悔がある。
演技の完成度が高まって当然とはいえ、昨季と見違えるほどの出来栄えだった。
一連の動きが大きく、やわらかく、美しい。
しなやかな緩急が素晴らしい。
だれも彼女に及ばない。

SPの「シェヘラザード」とフリーの「愛の夢」の組み合わせは最高だ。
フィギュアスケーター浅田真央の魅力を余すところなく伝えられるプログラムといえよう。
かすかなユーモアを含んだ軽快さと明るさ、しっとりとした優雅さ(エレガンス)と美しさ。
2014年ソチ冬季五輪(オリンピック)のために取っておきたいくらいだった。

私自身は、浅田真央の復調は今季後半、完全復活は来季後半で十分と考えていた。
順調すぎてむしろ怖い。
オリンピックの中間では、一流選手は落ちるだけ落ちるのもよし。
オリンピックシーズンにピークを持っていけた選手が表彰台の頂点に立てる。
いまの勝敗に一喜一憂すべきでない。
NHK杯2位という結果は彼女にとり幸運だった。

私が最近まで天才少女だと思っていた浅田真央。
彼女はフィギュアスケーターとして成熟を目指す時期に差しかかった。
世界トップクラスとしての選手寿命はそれくらい短い。
昨季苦しみ抜いたどん底の体験が彼女のスケーティングのレベルを大きく引き上げた。

浅田真央はもともと持っていた精神面の強さに磨きがかかった。
それ以前に、人間的に成長した。

佐藤信夫コーチの指導を受けるようになり、1年が経った。
とくに厳しく要求されてきたスケーティングのスピードがおおいに増した。
速いのみならず、滑らかだ。
粘り強く積み重ねてきた努力がようやく自信となって表れはじめている。

さらに、浅田真央は表現力が格段に向上した。
残る課題は、得点を伸ばせるジャンプだ。
私はNHK杯の演技を見て、浅田真央がソチオリンピック金メダルへの確かな手応えをつかんだと感じた。

                       ◇

鈴木明子はNHK杯1位という結果に、インタビューで申し訳ないと語った。
何と“人がいい”ことか。
ジャンプでミスが出たが、落ち着いて滑り切った。
26歳のベテランの頑張りは日本選手に励みとなる。

                      ◇◆◇

小塚崇彦に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年11月26日「浅田真央、心のなかで『たかちゃん、ごめんね』」はこちら。

⇒2011年11月20日「浅田真央に負けるわけにいかない小塚崇彦…全日本選手権2011」はこちら。

⇒2011年11月15日「高橋大輔と小塚崇彦の比較…スケーターの特性と演技」はこちら。

⇒2011年11月2日「浅田真央をあたたかく見守ろう…心強い小塚崇彦の存在」はこちら。

⇒2011年10月22日「フィギュアGPシリーズ2011日程&出場選手…小塚と真央は?」はこちら。

⇒2011年10月3日「小塚崇彦、劇的成長の予感…自分が引っ張るしかない」はこちら。

⇒2011年9月30日「ジャパンオープン2011…安藤美姫、高橋大輔、小塚崇彦が出場」はこちら。

⇒2011年7月10日「小塚崇彦と浅田真央が初々しい…お似合いカップル」はこちら。

⇒2011年4月27日「小塚崇彦、金メダルへの距離…世界選手権」はこちら。

⇒2011年1月27日「浅田真央は小塚崇彦をどう思っているのか?」はこちら。

⇒2010年12月10日「高橋大輔を追う小塚崇彦に不安、村上佳菜子は自信」はこちら。

⇒2010年11月28日「イケメン小塚崇彦に足りないもの…GP圧勝」はこちら。

⇒2010年11月10日「安藤美姫と小塚崇彦、アベック優勝の注目度」はこちら。

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