私が講師を務めた異業種交流・格闘型の「提案営業研修8日間コース」。
先週、研修成果物となる受講者の「提案書」が届き、その最終審査を行った。
そして、出来の優良な作品を2点選んだ。
どちらも顧客の上層部に渾身のプレゼンテーションを行い、大口商談を決定へ導いた力作である。
現物を見せられないのが残念・・・。
私が受講者へ寄せたコメントを紹介しよう。
きょう取りあげるのは情報システム会社の若手営業マンが作成した営業提案書。
「未来へつながる安全で安心なまちづくり」
◇総評
私が真っ先に感じたのは、提案書から伝わってくる誠実で堅実な営業姿勢・態度だった。
それは営業成績にもっとも大きな影響を及ぼす。対象が地方自治体ならなおさらだ。
顧客が提案に対してはもとより、営業担当者に対して深い信頼と大きな安心を寄せられる出来栄えになっている。
表面的に洗練されているわけでないが、全体に人柄さえにじみ出ており、非常に好感が持てた。
また、テーマが衰退や縮小に直面する日本にとり切実である。
◇内容
収入減にともなう財政悪化に苦しめられる地方自治体は住民サービスの維持がままならない状態である。
社会インフラ施設を長生きさせる仕組みづくりは、まさに行政が抱える緊急性と重要性の高い課題だ。
この提案はそうした顧客の事情や意図を汲み、課題解決に貢献する内容に仕上がっている。
同じ悩みを抱える他の地方自治体への水平展開も可能だろう。
具体的には、老朽化が進んだ橋梁や護岸などの公共設備の「点検(診察)⇒評価(診断)⇒長寿命化(処方)」のシステムの提唱。
技術者が内容を考えているので専門的かつ実用的だ。
細部までしっかりと詰められており、実行へ向けて走り出せる次元に達している。
◇表現
提案書よりも提案内容のほうが大事なのは確かだが、ビジュアルプレゼンテーションが全盛の時代であり、優秀作の選定では見た目の印象もかなり重視した。
例えば、参考資料を現状の欄はもとより内容の欄にきめ細かく盛り込むなど、表現にも惜しみなく手間を注いでいる。
提案書にとり大切な“手づくり感”がしっかりと伝わってくる。
表現では内容の整理が不十分であり、文章には推敲の余地が残されている。
また、論理の混乱がかなり気になる。
しかし、こうした欠点を大きな情熱が補って余りある。
プレゼンテーションでは、決定権者とキーマン向けの概要提案と、キーマンと担当者向けの詳細提案に分けたほうがいいこともある。
それが混在している印象を受けるのは、すでに顧客と内容などのすり合わせが進んでいて、プレゼンテーションで実務レベルまで一気に承認を得られるとの自信があったからでなかろうか。
なお、表紙では顧客の顧客をもっと意識してもよかった。
つまり、行政(役所)の先の「地域住民」に焦点を合わせ、彼らの幸せな“笑顔”が浮かんでくるような工夫がほしかった。
なぜなら、いまどきの役所は住民の評価を最重視して提案を受け入れるからだ。
◇今後
新分野のシステム系企業は最近までわりと好調な業績を維持してきた。
が、競争の激化にともない、営業担当者が仕事の受注(業務の受託)に取り組むだけでは頭打ちになった。
いわゆる勝ち組企業を中心に、技術スタッフやサービススタッフの“営業戦力化”が常識である。
顧客の不満や不平などの「コンプレイン」をつかんでいるのは、商品の利用に寄り添う技術・サービススタッフだ。
彼らのほうに信頼を置く顧客も少なくない。
実は、「提案営業(ソリューションセールス)」は技術・サービススタッフがやりやすい。
私が講師を務める提案営業研修も彼らの参加が増え、ときに受講者の過半を占める。
昨今の市場環境の変化を踏まえれば、当然の流れだ。
こうした会社では営業職に回された技術職が落ち込むことがある。
それは経営層の期待の現れということを分かってほしい。
また、自身にとっても技術と営業の両方ができれば「鬼に金棒」といえる。
技術・サービススタッフこそ営業マインドと営業スキルを積極的に身につけるべきだ。
Copyright (c)2011 by Sou Wada
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先週、研修成果物となる受講者の「提案書」が届き、その最終審査を行った。
そして、出来の優良な作品を2点選んだ。
どちらも顧客の上層部に渾身のプレゼンテーションを行い、大口商談を決定へ導いた力作である。
現物を見せられないのが残念・・・。
私が受講者へ寄せたコメントを紹介しよう。
きょう取りあげるのは情報システム会社の若手営業マンが作成した営業提案書。
「未来へつながる安全で安心なまちづくり」
◇総評
私が真っ先に感じたのは、提案書から伝わってくる誠実で堅実な営業姿勢・態度だった。
それは営業成績にもっとも大きな影響を及ぼす。対象が地方自治体ならなおさらだ。
顧客が提案に対してはもとより、営業担当者に対して深い信頼と大きな安心を寄せられる出来栄えになっている。
表面的に洗練されているわけでないが、全体に人柄さえにじみ出ており、非常に好感が持てた。
また、テーマが衰退や縮小に直面する日本にとり切実である。
◇内容
収入減にともなう財政悪化に苦しめられる地方自治体は住民サービスの維持がままならない状態である。
社会インフラ施設を長生きさせる仕組みづくりは、まさに行政が抱える緊急性と重要性の高い課題だ。
この提案はそうした顧客の事情や意図を汲み、課題解決に貢献する内容に仕上がっている。
同じ悩みを抱える他の地方自治体への水平展開も可能だろう。
具体的には、老朽化が進んだ橋梁や護岸などの公共設備の「点検(診察)⇒評価(診断)⇒長寿命化(処方)」のシステムの提唱。
技術者が内容を考えているので専門的かつ実用的だ。
細部までしっかりと詰められており、実行へ向けて走り出せる次元に達している。
◇表現
提案書よりも提案内容のほうが大事なのは確かだが、ビジュアルプレゼンテーションが全盛の時代であり、優秀作の選定では見た目の印象もかなり重視した。
例えば、参考資料を現状の欄はもとより内容の欄にきめ細かく盛り込むなど、表現にも惜しみなく手間を注いでいる。
提案書にとり大切な“手づくり感”がしっかりと伝わってくる。
表現では内容の整理が不十分であり、文章には推敲の余地が残されている。
また、論理の混乱がかなり気になる。
しかし、こうした欠点を大きな情熱が補って余りある。
プレゼンテーションでは、決定権者とキーマン向けの概要提案と、キーマンと担当者向けの詳細提案に分けたほうがいいこともある。
それが混在している印象を受けるのは、すでに顧客と内容などのすり合わせが進んでいて、プレゼンテーションで実務レベルまで一気に承認を得られるとの自信があったからでなかろうか。
なお、表紙では顧客の顧客をもっと意識してもよかった。
つまり、行政(役所)の先の「地域住民」に焦点を合わせ、彼らの幸せな“笑顔”が浮かんでくるような工夫がほしかった。
なぜなら、いまどきの役所は住民の評価を最重視して提案を受け入れるからだ。
◇今後
新分野のシステム系企業は最近までわりと好調な業績を維持してきた。
が、競争の激化にともない、営業担当者が仕事の受注(業務の受託)に取り組むだけでは頭打ちになった。
いわゆる勝ち組企業を中心に、技術スタッフやサービススタッフの“営業戦力化”が常識である。
顧客の不満や不平などの「コンプレイン」をつかんでいるのは、商品の利用に寄り添う技術・サービススタッフだ。
彼らのほうに信頼を置く顧客も少なくない。
実は、「提案営業(ソリューションセールス)」は技術・サービススタッフがやりやすい。
私が講師を務める提案営業研修も彼らの参加が増え、ときに受講者の過半を占める。
昨今の市場環境の変化を踏まえれば、当然の流れだ。
こうした会社では営業職に回された技術職が落ち込むことがある。
それは経営層の期待の現れということを分かってほしい。
また、自身にとっても技術と営業の両方ができれば「鬼に金棒」といえる。
技術・サービススタッフこそ営業マインドと営業スキルを積極的に身につけるべきだ。
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