「第80回全日本フィギュアスケート選手権大会」が2011年12月22日(木)〜12月26日(月)、大阪・門真のスポーツセンター・なみはやドームで行われる。
今季の日本一を決めるとともに、来年3月にフランス・ニースで開催される世界フィギュアスケート選手権2012の代表最終選考会を兼ねる。
日本の出場枠は男女各3人。

小塚崇彦は今季、多くの課題の克服に取り組んで若干の混乱が生じたのか、それとも調整の時間が足りなかったのか、フィギュアスケートグランプリファイナル2011への進出を逃した。
その分、全日本フィギュア選手権2011へ向けて練習をじっくりと積むことができた。
昨季は初優勝を飾り、今季は連覇がかかる。
それが実力かどうか、真価が問われる。
本人はいい意味での“欲”が出てきて、いくらか焦り気味かもしれない。
成長期に特有の現象であり、それもよし・・・。

⇒2011年11月20日「浅田真央に負けるわけにいかない小塚崇彦…全日本選手権2011」はこちら。

小塚崇彦に立ちはだかるのは、GPファイナル銀メダルの高橋大輔である。
昨季の宙ぶらりんの精神状態から脱し、2014年ソチ冬季五輪(オリンピック)までの現役続行を誓った。
体力的にピークを過ぎていることは承知のうえだ。
3年後の表彰台を見据えた取り組みを始めた。
今季はスケーティングの基礎を引き上げながら、演技の幅を広げている。

⇒2011年10月29日「高橋大輔、燃え尽き症候群克服か…GPシリーズ&ファイナル」はこちら。

織田信成が5月に痛めた左膝の回復を優先させるため、全日本選手権を欠場することを決めた。
3季連続で世界選手権に出場していたので無念だろう。
私は全日本選手権で羽生結弦が表彰台の一角を占める可能性があると述べたが、それが確実になった。

⇒2011年12月13日「羽生結弦トップ3波乱…全日本フィギュア選手権表彰台へ」はこちら。

全日本選手権は上位3選手の順位が変わるくらいで、大きな波乱は起こらない。
これは、あさってのブログ「浅田真央の調子…全日本フィギュア選手権5度目の優勝へ」で述べる女子についても同じ(私のブログは大半が書き溜め記事である)。

                       ◇

高橋大輔と小塚崇彦はオリンピックでの金メダルを目指して再スタートを切った。
その二人がGPファイナルの出場権をかけて戦ったのがGPシリーズ「NHK杯」だった。
高橋大輔は「スケートカナダ」で、小塚崇彦は「スケートアメリカ」で3位に留まった。
1位は無条件でGPファイナル進出を果たす。
が、2位はきわめて微妙だ。

高橋大輔は昨季の世界選手権でのアクシデントと惨敗により、萎えた気持ちにスイッチが入った。
膝の手術で残っていたボルトを取り除き、リハビリに努めた。
その後フランスへ渡り、高難度ジャンプの精度を高めるためにも土台のスケーティングを見直した。
バレエレッスンなども貪欲に取り入れた。

また、SPもフリーもイメージを変えた。
とくにフリーで初めてブルースに挑んだ。
表現力に秀でた高橋大輔ならではの渋い選曲である。
本人は解釈や表現が難しいと語っていたが…。

⇒2011年12月12日「高橋大輔、世界一の演技でチャンを圧倒!…GPファイナル」はこちら。

高橋大輔はSPで充実した滑りを見せ、自己ベストで世界歴代3位となる高得点をマークした。
フリーでジャンプにミスが出たものの、芸術作品のような味わいのある演技を見せた。
で、「どうだ! 小塚君!」のどや顔。

よっ、男・大輔!
私は五臓六腑が熱くなった。
念のために述べれば、「どうだ!」の後の「小塚君!」という気持ちはさらさらなかったと思う。

⇒2011年11月17日「高橋大輔・大ちゃんの魅力…子犬のような人懐っこさ」はこちら。

もっとも、経験と実績が十分のベテラン・高橋大輔は、今季と来季をオリンピックへの通過点と位置づけている。
目先の結果はそれほど求めていない。

かたや、小塚崇彦。
弱点とされる表現力の強化の真っ只中で苦闘している。
しかも、表情(顔)と体全体を通した表現力である。
両方とも長年、不得手としてきた。
そこに注意力を奪われるせいか、SPでもフリーでも波に乗れず、何とか滑りきるという演技に留まった。
精彩を欠いた。
終了後に悔しさがはっきりと伺えたのは、彼の成長を物語る。

小塚崇彦は昨季に乗り越えたと思った高橋大輔の高い壁に跳ね返された。
1位と2位の二人の得点差は25点ほどついた。
しかし、「スケートアメリカ」よりもプログラムがこなれ、得点を大きく伸ばした。

誤解を恐れずに述べれば、センスと頭で滑る小塚崇彦の端正に対し、エモーションと内臓で滑る高橋大輔の泥臭さ。
日本男子を代表するトップ2は演技が対照的だ。

⇒2011年11月15日「高橋大輔と小塚崇彦の比較…スケーターの特性と演技」はこちら。

結局、羽生結弦が最終戦の「ロシア杯」で勝利を収め、小塚崇彦はGPファイナル進出を逃した。

⇒2011年11月27日「羽生結弦、小塚崇彦先輩を置いていく…GPファイナル2011」はこちら。

                       ◇

世界選手権では4回転ジャンプを跳ばないと昨季の世界王者、カナダのパトリック・チャンに勝てない。
演技の完成度を高めて総合力で戦うやり方は高得点の彼に通用しない。
その意味で、全日本選手権も二人にとっては通過点にすぎない。
好調を維持するチャンの得点にどこまで肉薄できるか・・・。

とはいえ、二人のコンディションは整いつつある。
日本王者の座を奪い合う全日本選手権での激突が楽しみだ。
小塚崇彦が高橋大輔にリベンジするのか。
それとも高橋大輔が小塚崇彦を一蹴するのか。

                       ◇

◆フジテレビ系列での放送予定は以下のとおり(確認のこと)。

◇12月23日(金) 19時〜20時54分 男子ショートプログラム(SP)

◇12月24日(土) 19時〜23時10分 女子SP&男子フリースケーティング(FS)

◇12月25日(日) 19時〜21時55分 女子フリー

◇12月26日(月) 19時〜20時54分 エキシビション(EX)
All Japan メダリスト・オン・アイス

メインキャスターは国分太一、高島彩、解説は八木沼純子、本田武史(男子)、荒川静香(女子)。

◆書き加え1(12月22日)

私はふと不安に思った。
このブログのタイトル「高橋大輔、『どうだ! 小塚君!』…全日本選手権で一蹴」の「一蹴」を「ひとけり」と読む人がいるのでないかと・・・。
そうでなく「いっしゅう」と読む。

スケートシューズのなかには「エッジ」が付いているものもあり、「ひとけり」だと危ない。

私は、高橋大輔と小塚崇彦の男の友情を壊したくないのだ。
すべての日本選手を応援している。

                      ◇◆◇

高橋大輔に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年12月12日「高橋大輔、世界一の演技でチャンを圧倒!…GPファイナル」はこちら。

⇒2011年11月17日「高橋大輔・大ちゃんの魅力…子犬のような人懐っこさ」はこちら。

⇒2011年11月15日「高橋大輔と小塚崇彦の比較…スケーターの特性と演技」はこちら。

⇒2011年10月29日「高橋大輔、燃え尽き症候群克服か…GPシリーズ&ファイナル」はこちら。

⇒2011年9月30日「ジャパンオープン2011…安藤美姫、高橋大輔、小塚崇彦が出場」はこちら。

⇒2011年5月17日「浅田真央と高橋大輔の関係をすっぱ抜く」はこちら。

⇒2011年4月28日「高橋大輔、世界フィギュア優勝へのスイッチ」はこちら。

⇒2011年4月26日「高橋大輔は2位じゃダメなんでしょうか」はこちら。

⇒2011年2月20日「高橋大輔、金メダル宣言…世界選手権東京大会」はこちら。

⇒2010年12月7日「高橋大輔は心に訴えない…内臓を揺さぶる泥臭さ」はこちら。

⇒2010年10月25日「浅田真央を気づかう高橋大輔と村上佳菜子」はこちら。

⇒2010年4月16日「妹真央を兄大輔が気遣う春の園遊会」はこちら。

⇒2010年3月26日「高橋大輔、日本男子初の金メダル!」はこちら。

⇒2010年3月4日「あきれた浅田真央と高橋大輔の言葉!」はこちら。

⇒2010年2月19日「高橋大輔、4回転失敗も銅メダル!」はこちら。

⇒2010年2月19日「高橋大輔、攻めか守りかメダル予想」はこちら。

⇒2010年2月17日「男子フィギュアSP、高橋3位、織田4位」はこちら。

                      ◇◆◇

小塚崇彦に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年11月27日「羽生結弦、小塚崇彦先輩を置いていく…GPファイナル2011」はこちら。

⇒2011年11月26日「浅田真央、心のなかで『たかちゃん、ごめんね』」はこちら。

⇒2011年11月20日「浅田真央に負けるわけにいかない小塚崇彦…全日本選手権2011」はこちら。

⇒2011年11月15日「高橋大輔と小塚崇彦の比較…スケーターの特性と演技」はこちら。

⇒2011年11月2日「浅田真央をあたたかく見守ろう…心強い小塚崇彦の存在」はこちら。

⇒2011年10月22日「フィギュアGPシリーズ2011日程&出場選手…小塚と真央は?」はこちら。

⇒2011年10月3日「小塚崇彦、劇的成長の予感…自分が引っ張るしかない」はこちら。

⇒2011年9月30日「ジャパンオープン2011…安藤美姫、高橋大輔、小塚崇彦が出場」はこちら。

⇒2011年7月10日「小塚崇彦と浅田真央が初々しい…お似合いカップル」はこちら。

⇒2011年4月27日「小塚崇彦、金メダルへの距離…世界選手権」はこちら。

⇒2011年1月27日「浅田真央は小塚崇彦をどう思っているのか?」はこちら。

⇒2010年12月10日「高橋大輔を追う小塚崇彦に不安、村上佳菜子は自信」はこちら。

⇒2010年11月28日「イケメン小塚崇彦に足りないもの…GP圧勝」はこちら。

⇒2010年11月10日「安藤美姫と小塚崇彦、アベック優勝の注目度」はこちら。

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