全日本フィギュアスケート選手権2011。
男子シングルは日本王者の座をかけ、きょうショートプログラム(SP)、あすフリースケーティング(FS)が行われる。
放送はフジテレビ系例。

最大の注目は、高橋大輔と小塚崇彦のライバル対決。
小塚崇彦はフィギュアスケートグランプリシリーズの「NHK杯」では本調子と程遠かった。
あれから1カ月以上の猶予が与えられ、コンディションを整えて臨んでくるはずだ。

⇒2011年12月21日「高橋大輔、『どうだ! 小塚君!』…全日本選手権で一蹴」はこちら。

もう一つの注目は、先ごろ行われたフィギュアスケートグランプリファイナルに出場し、4位と健闘した羽生結弦。
GPシリーズ最終戦の「ロシア杯」で初優勝を飾り、上位6選手に滑り込んだ。
これにより小塚崇彦などのファイナル進出は断たれた。

⇒2011年11月27日「羽生結弦、小塚崇彦先輩を置いていく…GPファイナル2011」はこちら。

男子シングルはこのところ高橋大輔、小塚崇彦、織田信成の3選手が日本を代表してきた。
私は、今季の全日本選手権では表彰台の一角に羽生結弦が食い込むかもしないと思った。
しかし、昨季の全日本選手権で2位に入った織田信成が左膝故障のために欠場することが決まった。
4選手による熾烈な争いの興味はなくなった。

⇒2011年12月13日「羽生結弦トップ3波乱…全日本フィギュア選手権表彰台へ」はこちら。

全日本選手権は来年3月にフランス・ニースで開催される世界フィギュアスケート選手権2012の最終代表選考会を兼ねる。
全日本選手権で表彰台にのぼることは、世界選手権の日本代表になることとほとんどイコールだ。

                       ◇

GPファイナルのフリー、羽生結弦は高橋大輔に続いて演技を行った。
彼が登場したとき、アイスリンクにはまだ大歓声が渦巻いていた。
高橋大輔が会心の演技で観客を総立ちにさせた。
同じ日本勢がいい流れをつくったとはいえ、やりにくい。
ところが、羽生結弦は4回転トゥループを決めるなどして自己ベストを更新し、合計でも自己ベストを更新した。
GPシリーズロシア杯のSP、フリー、GPファイナルのSPと、3回とも決められなかったのに…。
現地で17歳の誕生日を迎えたばかりで見事なファイナルデビューを飾った羽生結弦を、観客はスタンディング・オベーションで称えた。
しかし、僅差で表彰台に届かなかった悔しさは残った。

羽生結弦は終了後の記者会見で、GPファイナルの経験を全日本選手権、世界選手権につなげたいと語った。
シニア転向2年目のシーズンで手ごたえを感じているのだろう、本人は世界選手権への出場を前提にしていた。
表情は柔和であどけなさが残るが、かなりの強気である。

                       ◇

今季の全日本選手権は、GPファイナルでSP5位から総合2位まで巻き返した高橋大輔と、昨季の全日本選手権で初優勝を飾り世界選手権で銀メダルに輝いた小塚崇彦の一騎打ちになる。
とはいえ、小塚崇彦は安定感を欠いており、順当なら高橋大輔が制する。
羽生結弦がそこに割って入る展開になれば、大会はおおいに盛りあがる。

公式練習では高橋大輔と小塚崇彦は4回転ジャンプの成功率が低い。
試合では厳しいだろう。
羽生結弦がSPでもフリーでも高難度ジャンプを決めて初優勝を飾るようだと、日本の男子シングルは活性化する。

羽生結弦は昨季の全日本選手権で先の3選手に表彰台を譲った。
自身と地元が東日本大震災に苦しみ抜いた今年一年をいい形で締めくくろうと意気込んでいる。
世界選手権初出場は間違いない。

◆書き加え1(12月23日)

このブログは午後5時にアップする予定の書き溜め記事だった。
ところが、私が家人への指示を誤り、午後7時30分頃にずれ込んだ。

男子シングルSPが終わった。
小塚崇彦は冒頭のトリプルフリップ−トリプルトゥループをきれいに決めた。
トリプルアクセル、トリプルルッツも決めた。
スピン、ステップをきちんとこなした。
ノーミスで滑り終え、彼にしては力の入ったガッツポーズを取った。
昨季の日本王者のプライドを示した。
GPファイナルに出られなかった悔しさから練習に励み、コンディションを立て直したのか・・・。
大衆受けが難しい選曲だが、おそらく自身の課題の克服を念頭に置いている。
小塚崇彦は演技に隙がなく、また切れ味が素晴らしかった。
いかにも洗練されたサラブレッド。
きりっと引き締まったいい表情だった。

                       ◇

高橋大輔は冒頭の4回転トゥループ−トリプルトゥループを決めた。
跳ばないと言っていたが…。
トリプルアクセル、ステップからのトリプルルッツも決めた。
スピンをこなし、ステップで魅せた。
完璧に滑り終え、左右それぞれの腕で派手なガッツポーズをつくった。
圧巻の演技に大きな歓声と拍手、そしてスタンディング・オベーションが起こった。
アイスリンクに投げ込まれた花束も凄い。
小塚崇彦の得点はプレッシャーになるどころか、闘争心を掻き立てたようだ・・・。
男・高橋大輔は攻め抜いた。
得点が表示されると、絶叫にも近い歓声が沸き起こった。
キス・アンド・クライの高橋大輔は即座に立ち上がり、観客に大きく手を振った。
これ以上は考えられないといった出来映えだった。
私は言葉がない。

                       ◇

羽生結弦は冒頭の4回転が抜けて3回転になり、着氷も乱れた。
コンビネーションジャンプにならなかった。
トリプルアクセルは決めた。
トリプルルッツは両手を上げたダブルトゥループをつけた。
演技全体に勢いと精彩を欠いた。
公式練習では4回転ジャンプの成功率が一番高かったが、直前の練習ではおかしかった。
羽生結弦は最終滑走で気負いがあったのか、高橋大輔の高得点に圧倒されたのか・・・。
欲が出ると、ミスが出る。
フィギュアスケートはつくづく難しい。

                       ◇

1位 高橋大輔 96.05点
2位 小塚崇彦 85.60点
3位 羽生結弦 74.82点
4位 町田樹  74.64点

選手の緊張が高まる全日本選手権にはGPシリーズやGPファイナルにない面白さがある。
ただ、上位の点差が開き、興味は3位と4位の争いに絞られた。
フリーの町田樹が楽しみだ。

◆書き加え2(12月24日)

大会本部が羽生結弦の得点を当初発表の74.82点から74.32点に訂正した。
「レベル3」と認定した軸足を替えるスピンを「レベル2」に見直したためだ。
これによりSPの順位は羽生結弦が町田樹と入れ替わり、3位から4位に落ちた。

1位 高橋大輔 96.05点
2位 小塚崇彦 85.60点
3位 町田樹  74.64点
4位 羽生結弦 74.32点

羽生結弦にフリーでの巻き返しを期待したい。

◆フジテレビ系列での放送予定は以下のとおり(確認のこと)。

◇12月23日(金) 19時〜20時54分 男子ショートプログラム(SP)

◇12月24日(土) 19時〜23時10分 女子SP&男子フリースケーティング(FS)

◇12月25日(日) 19時〜21時55分 女子フリー

◇12月26日(月) 19時〜20時54分 エキシビション(EX)
All Japan メダリスト・オン・アイス

メインキャスターは国分太一、高島彩、解説は八木沼純子、本田武史(男子)、荒川静香(女子)。

                      ◇◆◇

全日本フィギュアスケート選手権2011に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年12月21日「高橋大輔、『どうだ! 小塚君!』…全日本選手権で一蹴」はこちら。

⇒2011年12月15日「浅田真央、全日本選手権2011出場…母・匡子さんへの供養」はこちら。

⇒2011年12月14日「浅田真央、好意に甘えるのもよし…特例で世界選手権代表選出」はこちら。

⇒2011年12月13日「羽生結弦トップ3波乱…全日本フィギュア選手権表彰台へ」はこちら。

⇒2011年12月10日「浅田真央、母・匡子さんの願い『娘よ、悲しみを乗り越えて…』」はこちら。

⇒2011年12月4日「鈴木明子、フィギュア人生の仕上げ…摂食障害が彼女を強くした」はこちら。

⇒2011年11月18日「村上佳菜子と山田満知子コーチ、ソチ五輪への本気」はこちら。

Copyright (c)2011 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!