きのうのブログ「浅田真央、明るい受け答え…笑顔に隠す深い悲しみ」に続いて・・・。

⇒2011年12月24日「浅田真央、明るい受け答え…笑顔に隠す深い悲しみ」はこちら。

全日本フィギュアスケート選手権2011。
来年3月にフランス・ニースで開催される「世界フィギュアスケート選手権2012」の代表最終選考会を兼ねる。
日本は男女各3枠。

男子シングルは競技を終えた。
私がもっとも感動を受けたのは、羽生結弦のフリーだった。
もっとも凄いと思ったのは、高橋大輔のSPだった。
もっとも安心を覚えたのは、小塚崇彦のSPとフリーだった。
三者三様。

17歳の羽生結弦は開き直れたフリーで若さを爆発させた。
ボーン!
私は彼に「全日本選手権感動大賞(男子部門)」を贈りたい。

⇒2011年12月25日「羽生結弦、気迫の表情、渾身の演技…全日本フリー最高得点!」はこちら。

彼が強く願っていたように、東日本大震災の被災地と被災者に大きな勇気を届けた。
世界選手権初出場、おめでとう!

                       ◇

女子シングルのフリースケーティング(FS)がきょう行われる。
ショートプログラム(SP)の上位3選手に決定的な点差は付いていない。

1位 村上佳菜子 65.56点
2位 浅田真央 65.40点
3位 鈴木明子 59.60点

1位の村上佳菜子と3位の鈴木明子なら初優勝、浅田真央なら2年ぶり5度目の優勝となる。

滑走順は、鈴木明子が19番目、浅田真央が22番目、村上佳菜子が24番目になった。

GPシリーズで不調を極めた村上佳奈子は練習をしっかりと積んでコンディションを整えてきた。
演技後、ガッツポーズ、破顔一笑!
私は改めて思ったが、彼女はソチオリンピックにピークを持っていけそうだ。
男子シングルの羽生結弦とともに年齢的に好条件である。
課題の克服に一歩ずつ取り組み、勝てるプログラムを滑ることに尽きる。

⇒2011年12月25日「羽生結弦、気迫の表情、渾身の演技…全日本フリー最高得点!」はこちら。

村上佳菜子は3位だった昨季の全日本選手権で出した自己ベストを大きく更新した。
尊敬する中京高校の先輩・浅田真央を僅差で抑え、初の1位発進となった。

村上佳菜子はそそっかしい。
宿泊先に忘れたコスチュームが滑走前の練習が始まる直前に届いた。
滑り込みセーフ!
すっぽんぽんではアイスリンクで風邪を引く。
彼女は慌てることなく、冒頭のトリプルトゥループ−トリプルトゥループのコンビネーションジャンプをきれいに決めた。
今季序盤のトリプルフリップ−トリプルトゥループから難度を下げ、昨季と同じに戻した。
続く2つのジャンプも…。
スピンとステップもしっかりとこなした。
序盤の不調を脱した。

⇒2011年11月18日「村上佳菜子と山田満知子コーチ、ソチ五輪への本気」はこちら。

村上佳奈子は昨季に銅メダルを獲得したGPファイナルへの進出を逃した。
新調したスケートシューズが合わなかったことも一因。
それを取り替え、とくにジャンプに自信を持って全日本選手権に臨んだ。

天然系の村上佳菜子は大舞台で案外、緊張しやすい。
フリーで最終滑走がメンタル面でどう影響するか。
SPで一番楽しんでいたのは彼女だが・・・。

なお、私は浅田真央が普通に滑れば勝利を収めると思う。
SPでは母親の死去により練習を中断した影響がスピードや切れにいくらか現れた。
フリーでは端からトリプルアクセルを考えないことだ。
今回ならではの重圧はあるはずだが、落ち着いて演技を行ってほしい。

⇒2011年12月23日「浅田真央の調子…全日本フィギュア選手権5度目の優勝へ」はこちら。

村上佳菜子と鈴木明子はやりにくさを感じるはずだが、表彰台の頂点を全力で目指してほしい。
遠慮はいらない。

⇒2011年12月4日「鈴木明子、フィギュア人生の仕上げ…摂食障害が彼女を強くした」はこちら。

なお、浅田真央に「全日本選手権感動大賞(女子部門)」を贈りたい。
すでに決定済みだ。
全日本への出場そのもの、そして全日本での笑顔そのものが選考理由である。

⇒2011年12月14日「浅田真央、好意に甘えるのもよし…特例で世界選手権代表選出」はこちら。

                      ◇◆◇

女子シングルのSPがきのう行われた。

17歳の村上佳菜子は冒頭のトリプルトゥループ−トリプルトゥループを落ち着いて決めると勢いに乗った。
トリプルフリップを決めた。
ダブルアクセルを決めた。
全体を通じたスピード感も十分。
ノーミスで滑り終えると、例のスマイルを見せた。
表情を含め、全身表現がダイナミックだった。
バイオリンの音色に振り付けも演技もとてもよくマッチしていた。
今季の課題としてきた大人っぽさに近づけた。
力強さが備わった滑りで、自己ベストを更新した。
世界選手権で大暴れしそうだ。
浅田真央が通った道を歩む村上佳菜子だが、骨太な表現力は安藤美姫に通じる。

                       ◇

浅田真央は冒頭のダブルアクセルをきれいに決めた。
ゆとりがあった。
流れのあるトリプルフリップ−ダブルループを決めた。
トリプルループをこらえた。
スピンをやわらかく、ステップをスムーズにこなした。
スケーティングがいい。
SPでのミスをなくすことを重んじたのか、自分に落ち着けと言い聞かせるような演技だった。
すべて抑えめ。
無難に滑り終え、ほっとした笑顔を見せた。
浅田真央は、演技前にいつもと違う緊張感があったと振り返った。
首位と僅差の2位につけ、フリーで逆転を目指す。

                       ◇

鈴木明子は冒頭のトリプルトゥループの着氷が乱れ、組み合わせのジャンプがシングルになった。
2連続3回転を決められなかった。
トリプルルッツを決めた。
ダブルアクセルを決めた。
例のステップでは会場の手拍子に包まれた。
が、全体にいま一つ。
最終滑走だった。
今季は好調で、初優勝を狙っていた。
欲が出ると、緊張が膨らみやすく、ミスが出る。
フィギュアスケートはつくづく難しい。

◆書き加え1(12月25日)

女子シングルのフリーが終わった。
浅田真央が2年ぶり5度目の優勝を飾った。
鈴木明子は2位、村上佳菜子は3位だった。

1位 浅田真央 184.07点
2位 鈴木明子 179.27点
3位 村上佳菜子 172.69点

                       ◇

SP3位の鈴木明子は冒頭のトリプルルッツを伸びやかに決めた。
安定感があり美しい。
ダブルアクセルはシングルになったが、後にトリプルトゥループをつけた。
3連続を含めてループは2つとも決めた。
後半のルッツがシングルになった。
フリップは回りすぎた。
ステップは軽やかだった。
滑り終え、残念そうな表情を隠さなかった。
固くなったのか、全体にやや重い印象…。

後半にジャンプミスが続き、得点を伸ばせなかった。
SPは59.60、フリーは119.67、合計は179.27。
表彰台の頂点を意識して臨んだ今回、SPでは相当な緊張を感じたようだ。
調子は下降気味だった。

                       ◇

SP2位の浅田真央は冒頭のダブルアクセルを決めた。
やはりゆとりがある。
続くトリプルフリップ−ダブルループを流れるように決めた。
トリプルルッツをきれいに決めた。
ここまでは素晴らしい。
後半、ダブルアクセル−トリプルトゥループを決めた。
が、サルコウで2回転になった。
最後の得意のループが2回転になり、バランスを崩した。
が、ステップはしなやかにこなした。
例のスパイラルは美しい。
滑り終え、ふっと息を吐いた。
できることはやったとでもいうかのように…。
浅田真央の表情は穏やかだった。
会場全体が安ど感に包まれた。
皆がほっとしたのだ。

浅田真央はブランクの影響か、終わりに疲れが出た。
が、演技はとても落ち着いていた。
また、スケーティングは伸びた。
SPは65.40、フリーは118.67、合計184.07。
結局、SPでスピードを抑え、慎重に滑る作戦が功を奏した。

浅田真央は「愛の夢」を笑顔で伸びやかに華やかに滑りたいと語っていた。
そのとおりの演技になった。
見守る佐藤信夫コーチは涙をこらえているようだった。
私はぐっときた。

練習ではトリプルアクセルを4回のうち3回決めた。
試合のたびにジャンプ全体の安定感が増している。
私としては、来年3月の世界選手権で頂点に立つために取っておくといった気持ちでいいと思っていた(実は、再来年の世界選手権でいいと考えている)。
ソチオリンピックまで間があり、トリプルアクセルを外して勝つ得点構成を追い求めてほしい。
そこに武器を加えるなら敵なし。

                       ◇

SP1位の村上佳菜子は冒頭のトリプルルッツをきれいに決めた。
続くループは1回転に抜けた。
自分に呪文をかけるので、苦手と口にすべきでない。
トリプルフリップを決めた。
後半のトリプルループからダブルアクセルのシークエンスを決めた。
続くトリプルフリップは両足着氷になり、ダブルアクセルにつなげられなかった。
トリプルトゥループを決めた。
が、ステップで転倒した。
これは不運で気の毒だった。
最後の3連続ジャンプは決めた。
滑り終え、泣き出しそうな顔…。

SP1位で迎えたフリー、しかも最終滑走が影響したか。
鈴木明子と浅田真央の得点は高くなかったが、それでもプレッシャーになった?
演技開始時はもちろん直前練習時、非常に緊張した面持ちだった。
SPは65.56、フリーは107.13、合計172.69。
ノドがからからだったのでないか。

私は村上佳菜子のSPの滑りに成長を感じて驚くとともに、表現を含めた演技に感動を覚えた。
天性のショーマンシップを備えており、会場を巻き込むことができる。
が、緊張に非常に弱い。
世界の大舞台で戦ううえで課題となる。

                       ◇

SPで緊張のあまり実力を発揮できなかった13歳の宮原知子は完璧な演技を行い、潜在能力の高さを示した。
最初にトリプルルッツ−トリプルトゥループを決めた。
続いてトリプルループ、トリプルフリップ、トリプルサルコウを決めた。
後半にダブルアクセル−トリプルトゥループ、トリプルルッツからの3連続ジャンプを決めた。
少女ということもあり、高難度ジャンプをまったく苦にしない。

観客はスタンディング・オベーションで称えた。
SPは47.06、フリーは116.79、合計は163.85。
15位から6位へ。
これから体の成長期を迎えるので未知数だが、村上佳菜子の次世代のホープになるかもしれない。

◆フジテレビ系列での放送予定は以下のとおり(確認のこと)。

◇12月25日(日) 19時〜21時55分 女子フリー

◇12月26日(月) 19時〜20時54分 エキシビション(EX)
All Japan メダリスト・オン・アイス

メインキャスターは国分太一、高島彩、解説は八木沼純子、本田武史(男子)、荒川静香(女子)。

                      ◇◆◇

浅田真央に関するブログは以下のとおり。

⇒2011年12月24日「浅田真央、明るい受け答え…笑顔に隠す深い悲しみ」はこちら。

⇒2011年12月23日「浅田真央の調子…全日本フィギュア選手権5度目の優勝へ」はこちら。

⇒2011年12月15日「浅田真央、全日本選手権2011出場…母・匡子さんへの供養」はこちら。

⇒2011年12月14日「浅田真央、好意に甘えるのもよし…特例で世界選手権代表選出」はこちら。

⇒2011年12月11日「鈴木明子、浅田真央の分まで頑張る…GPファイナル銀メダル」はこちら。

⇒2011年12月10日「浅田真央、母・匡子さんの願い『娘よ、悲しみを乗り越えて…』」はこちら。

⇒2011年12月9日「トゥクタミシェワは3Aを跳び、浅田真央を揺さぶる…GP決戦」はこちら。

⇒2011年12月6日「浅田真央、トリプルアクセル回避…グランプリファイナル2011」はこちら。

⇒2011年12月3日「浅田真央、トゥクタミシェワと激突!…GPファイナル2011」はこちら。

⇒2011年12月2日「佐藤信夫、はれものに触る…浅田真央に遠慮と我慢」はこちら。

⇒2011年12月1日「グランプリファイナル2011…鈴木明子と浅田真央が出場」はこちら。

⇒2011年11月28日「浅田真央、トリプルアクセルは代名詞から疫病神へ・・・」はこちら。

⇒2011年11月26日「浅田真央、見事なダブルアクセル…GPファイナル2011」はこちら。

⇒2011年11月26日「浅田真央、心のなかで『たかちゃん、ごめんね』」はこちら。

⇒2011年11月25日「浅田真央、跳びたいから跳ぶのは幼い…GPシリーズ2011」はこちら。

⇒2011年11月23日「浅田真央、GPファイナル2011進出の条件…ロシア大会」はこちら。

⇒2011年11月20日「浅田真央に負けるわけにいかない小塚崇彦…全日本選手権2011」はこちら。

⇒2011年11月13日「浅田真央、納得の笑顔…ソチ五輪金メダルへ確かな手応え」はこちら。

⇒2011年11月12日「浅田真央、完全復活は間近…GPシリーズ2011NHK杯復調」はこちら。

⇒2011年11月2日「浅田真央をあたたかく見守ろう…心強い小塚崇彦の存在」はこちら。

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