「第91回全国高校ラグビー」が大阪・花園ラグビー場で行われている。
1月3日、昨年の決勝戦で優勝を分け合った桐蔭学園と東福岡が準々決勝でぶつかった。
因縁対決は東福岡が制し、桐蔭学園は連覇を果たせなかった。

東福岡(福岡)29−21桐蔭学園(神奈川)

◆試合展開

桐蔭学園は開始早々、自陣ゴール前でパスを落としたミスを東福岡に突かれた。
ロック西がボールを拾いそのままトライ。
相手を勢いづけてしまった。

東福岡は前半26分、FB藤田がハーフライン近くの中央でボールを受けると、右のスペースを抜け出して独走トライ。
さらに後半9分、桐蔭学園の防御の裏のスペースを見逃さずキック。
インゴールに転がったボールを、WTB中野が押さえた。
東福岡は19−6とリードを広げ、試合の主導権を完全に握ったかに見えた。

が、ここから桐蔭学園は猛反撃に転じ、相手の防御網を崩した。
後半12分、初トライを決めてリズムをつかんだ。
FB鈴木が8点を追う後半15分、中央を突破してトライ。
さらに後半18分、PGを決めて19−21と逆転した。

しかし、東福岡は後半20分、右に展開してFB藤田が約30メートルを走って逆転決勝トライを奪った。

◆東福岡

東福岡は今大会、初めてリードを許した。
それでも、ラスト15分から15点差を追いかけるビハインドの練習を積んできた。
昨年の決勝戦で21点差を追いついた自信があり、選手に動揺や焦りはなかった。
劣勢をはね返す実力を備えている。
また、相手のミスや隙を捉えてトライを奪うしたたかさを備えている。

谷崎監督は苦戦を予想していたようだ。
試合後、「こういう経験を乗り越えたことは次につながる」と余裕を口にした。
東福岡が3連覇を達成するのは確実だろう。

◆桐蔭学園

桐蔭学園はキックを使わず、つなぐラグビーに徹した。
後半、東福岡を苦しめ、一時は試合をひっくり返した。
しかし、つなぐ過程でミスが出て、いい流れをつくれなかった。
ノーサイドの笛に選手は崩れ落ちた。

新チームの要・鈴木亮はFBを任された。
が、絶対的なエースだったFB松島と比べられて悩んだ。
鈴木は昨年の決勝戦、勝利を揺るぎないものにするはずだったPGを2本外した。
内1本は決めて当然だった。
21点差を追いつかれての両校優勝に責任を感じた。
その反省からキックの練習に励み、成功率を高めた。

桐蔭学園は昨年のチームと比べられ、皆が悩んだ。
今大会は2試合連続逆転勝利と苦戦・・・。
が、それと引き換えに、チームはまとまり成長した。
鋭い連携と高い機動力で東福岡と渡り合った。

浜野主将は「チャレンジャー精神で臨んだ」と語った。
藤原監督は「向こうは強さ、うまさがあった」と振り返った。

                       ◇

先日、全国高校ラグビーは準々決勝の抽選が行われ、桐蔭学園は東福岡との対戦が決まった。
私は東福岡がとんでもない得点差で勝ち進んできたことを知っていた。
また、桐蔭学園は二枚看板が抜け、チームが小粒になっていることを知っていた。
せめて準決勝、できれば決勝で当たってほしかった。

両校は接戦を繰り広げた・・・。
最後は、切り札の存在が勝敗を分けた。
史上最年少で7人制日本代表となった大型FB藤田だ。
東福岡が流れに乗れないなか、彼の図抜けた力量と機敏な判断が勝利を引き寄せた。

桐蔭学園はFB藤田を警戒してボールを持たさない作戦を取ったが、それでも一人にやられたという印象が残った。

とはいえ、選手は非常に立派だった。
正直に言うと、私は桐蔭学園が大差で敗退すると危ぶんでいた。
それでは選手が気の毒・・・。

ところが、桐蔭学園は体格と実力で大きく上回る東福岡に対し、手に汗を握る戦いを見せた。
大健闘だ。
私は、初優勝を飾った昨年の決勝戦よりも感動した。

桐蔭学園ラグビー部は地元・横浜の誇りである。
選手らにお疲れさまと申しあげたい。
スローガンの「つなぐラグビー」の精度を高め、来年こそ頂点に立ってほしい。

⇒2011年1月16日「桐蔭学園ラグビー部、初優勝の歓喜、今後の課題」はこちら。

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