NHK朝の連続テレビ小説「おひさま」と「カーネーション」は、制作陣が意図したのか、対照的な作品だ。
感動の中身が別物であり、一部の視聴者の間で好みがはっきりと分かれるかもしれない。
きのうときょうのブログで、この2作品を振り返った。

⇒2011年1月17日「井上真央・おひさま、朝ドラの手本のような出来栄え」はこちら。

朝ドラ「カーネーション」。
ファッションデザイナーの草分けとして働きながら、コシノヒロコ・ジュンコ・ミチコの「コシノ三姉妹」を育てあげた小篠綾子(こしの・あやこ)の生涯を描いた。
エピソードを交えたフィクションだろう。
渡辺あやの脚本は人間の深部、さらに暗部への切り込みが鋭い。
また、人が世間や周囲、家族と関わりながら生きていくことの猥雑さをためらいなくあぶり出す。
容赦ないリアリティの毒気に、私は当てられ、揺さぶられる。

「カーネーション」は、東日本大震災の発生で「てっぱん」「おひさま」が1週間繰り下げられた影響を受け、放送話数が1週分短縮された。

⇒2011年10月24日「カーネーション・ヒロイン小原糸子のモデル…小篠綾子」はこちら。

ヒロイン・小原糸子を務めるのが尾野真千子。
喜怒哀楽の感情をストレートに爆発させる。
やわらかな知性と気品に包まれた井上真央と印象は大きく異なる。
尾野真千子は庶民的で飾り気がない。

⇒2011年10月21日「尾野真千子・小原糸子の演技、朝ドラ・カーネーションの評判」はこちら。

「カーネーション」は1924年(大正13年)9月、岸和田だんじり祭の初日の早朝、父・小原善作(小林薫)を見送るところから始まった。
糸子がやがて発揮する、とてつもないエネルギーを予感させる滑り出しである。

私が仕事の締め切りに追い詰められた11月下旬からストーリー展開が急に慌ただしくなった。
糸子が結婚を決める辺りだ。
ウェブサイトを参考にしながら、私がいくらか視聴した記憶をつなぎ合わせて記した。
かなり前のメモを寄せ集めいるので、内容が古い。

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善作は糸子に告げず、小原洋裁店の看板と祖母・小原ハル(正司照枝)を残して家を出た。

⇒2011年12月16日「正司照枝…朝ドラ・カーネーションの感動、かしまし娘の芸達者」はこちら。

1934年(昭和9年)春、糸子はミシン一台で「小原洋裁店」を立ちあげた。
当時は洋服といえばオーダーメード(カスタムメード)しかなかったのだろう。
ほどなく洋服が少しずつ世間に広がり、「小原洋装店」に名称を改めた。

糸子は開店当初、昼に町中を駆けずり回って取ってきた“縫う仕事”を夜にこなした。
徹夜が当たり前だった。
やがて仕事の依頼が舞い込むように…。
糸子は金儲けより洋装の浸透に情熱を傾けている。
仕事が殺到して従業員(縫い子)が増えたにもかかわらず、たいして儲かっていない。

フリーランスのプランナーの経験が長い私は糸子の気持ちと、彼女が置かれた状況がよく分かる。
私は大忙しでアシスタントが増えていったが、給料の支払いに追われていた。

糸子は開店前、川本勝(駿河太郎)が働く「ロイヤル」で洋裁の修業を積んだ。
勝は糸子の仕事ぶりに惚れ込み、好意を抱く。
後にそれが縁談として持ち込まれる。
勝は男3人兄弟の長男だが、小原家に婿養子で入る覚悟を決めていた。
糸子は周囲の祝福ムードに押し切られ、1934年11月に結婚式を挙げた。
小篠綾子の夫は川崎武一である。

1階の女性用ドレスが人気なのに対し、2階の紳士服はあまり仕事がない。
戦局が進み、さらに仕事が減った。
それでも勝は糸子に嫉妬をしない。

糸子は1937年(昭和12年)に長女「小原優子(小篠弘子)」を、1939年(昭和14年)に難産の末に次女「小原直子(小篠順子)」を出産した。
いずれも当日まで仕事を続け、ミシンが止まることはなかった。
幼い直子は手が付けられず、周囲に預かってくれる人がいない。
「猛獣」と呼ばれて敬遠されていた。
本人が健在であり、どんな思いでドラマを見ているだろう。

糸子の少女時代を務めた二宮星(にのみや・あかり)は視聴者から大きな反響が寄せられた。
先日、直子役で再登場した。
珍しい起用法である。

幼馴染の安岡勘助(尾上寛之)が心を患って戦場から送り返されてきた。
廃人同様で、ぼーっとしている。
糸子は何とか立ち直せようとしたが裏目に出て、パニックを引き起こした。
勘助の母・安岡玉枝(濱田マリ)が訪れ、糸子に二度と関わらないよう詰め寄った。
絶縁状だった。

勝が好意から仕事漬けの糸子を歌舞伎に誘う。
ところが、納期に追われる糸子は面倒臭いと思う。
私はやはりその気持ちがよく分かる。
心に余裕がないとそうなる。

1942年(昭和17年)、勝に召集令状が来た。
いわゆる「赤紙」である。
送り出す家族はだれ一人として喜んでいない。
糸子のおなかのなかに三女「小原聡子(小篠美智子)」がいる。
これで「コシノ三姉妹」が揃った。
1945年(昭和20年)、勝は戦場で病死した。

⇒2011年11月6日「尾野真千子カーネーション…朝ドラ最高傑作」はこちら。

続きは、あすのブログで・・・。

                      ◇◆◇

尾野真千子と朝ドラ「カーネーション」に関するブログは以下のとおり。

⇒2012年1月15日「尾野真千子の暴走と渡辺あやの復讐…カーネーションの異次元」はこちら。

⇒2011年12月19日「尾野真千子カーネーション1位の見ごたえ…朝ドラ歴代作品」はこちら。

⇒2011年12月17日「尾野真千子、イライラが爆発!…カーネーション主演の剣幕」はこちら。

⇒2011年12月16日「正司照枝…朝ドラ・カーネーションの感動、かしまし娘の芸達者」はこちら。

⇒2011年11月29日「尾野真千子はつくりものでない カーネーション視聴率と評判」はこちら。

⇒2011年11月27日「正司照枝の温かみ、栗山千明のつっけんどん…カーネーション」はこちら。

⇒2011年11月22日「尾野真千子の演技…小原洋裁店開店から結婚へ急展開」はこちら。

⇒2011年11月19日「カーネーション・オープニング映像の出来…辻川幸一郎」はこちら。

⇒2011年11月6日「尾野真千子カーネーション…朝ドラ最高傑作」はこちら。

⇒2011年11月4日「カーネーション視聴率のネックは何か…面白いのになぜ?」はこちら。

⇒2011年10月31日「威張る小林薫、とぼける麻生祐未…朝ドラ・カーネーション」はこちら。

⇒2011年10月28日「尾野真千子がコシノ三姉妹に対面、夢中のオーラを感じる」はこちら。

⇒2011年10月24日「カーネーション・ヒロイン小原糸子のモデル…小篠綾子」はこちら。

⇒2011年10月21日「尾野真千子・小原糸子の演技、朝ドラ・カーネーションの評判」はこちら。

⇒2011年10月18日「松下奈緒・瀧本美織・井上真央・尾野真千子…朝ドラヒロイン素顔」はこちら。

⇒2011年10月12日「松下奈緒、朝ドラ視聴率・朝ドラ人気回復に最大の貢献!」はこちら。

⇒2011年10月8日「二宮星お多福の演技力…カーネーション・朝ドラヒロイン」はこちら。

⇒2011年10月5日「尾野真千子カーネーション視聴率…井上真央おひさまに及ばず」はこちら。

⇒2011年10月3日「尾野真千子、朝ドラオーディション4度目の正直で号泣!」はこちら。

⇒2011年10月1日「おひさま井上真央からカーネーション尾野真千子へ…視聴率20%超連発」はこちら。

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