私が九州生産性本部の九州生産性大学経営講座で行う「提案営業実践コース」。
IMG_3092毎年恒例の人気セミナーである。
2日間×7カ月(5月〜11月)=14日間。
4月に2日間の開講式、12月に1日間の閉講式(修了式)が行われるので、全体では9カ月17日間に及ぶ。
公開スタイルとしては、日本で最長・最高の営業セミナーだろう。
抜群の受講評価に支えられ、不況にもかかわらず継続開催されてきた。

⇒2012年4月11日「日本最長14日間マラソン&ダイエット営業セミナー参加」はこちら。

⇒2012年4月12日「営業精鋭道場の地獄と歓喜…本気の営業エリート・リーダー育成」はこちら。

本セミナーは2004年度に「提案営業マネジャー養成コース」としてスタートし、昨年度に「提案営業実践コース」と改称した。
14日間で提案営業マネジャーと提案営業スペシャリストを養成しようと欲張ると時間が不足し、中途半端になりやすい。
そこで、後者に絞った。
今年度はその考えを一段と徹底させるため、講師は私一人に絞った。
和田創が究めた営業と提案営業の奥義をとことん叩き込む。

本コースは、受講者一人ひとりが実案件を並行して進める「営業精鋭道場」という位置づけだ。
それも有力顧客に対する大型案件に限る。
収益(成績)の思い切った向上を叶える。

とはいえ、14日間、講師が一人だと、受講者が飽きてしまう。
また、さまざまな話(講演)も聴きたいはずだ。
そこで、トップセールスマン(レディを含む)をゲスト講師として招くことにした。
自らの信念と体験を披露してもらう実践講座を盛り込んだ。

さらに、本コースの昨年度の表彰者(修了者)を招くことにした。
悪戦苦闘の末の大口商談の成功事例を発表する機会を織り込んだ。
これが今年度の受講者にとり最大の刺激となる。

近年、残念ながら、高学歴の若手を中心に、知るために参加する人が増えた。
行うために参加しないと、まったく無意味だ。
なぜなら、行動しか成果をもたらさない。
受講者が本コースの指導内容をやり抜くなら、私は営業力の劇的な開発・強化を約束する。
ところが、やりたがらない。
昨年度の表彰者は結局、忠実に実行に移した人たちである。
それを今年度の受講者の前で報告してもらう。
どうか目を覚ましてほしい。

私は真剣に講師を務める。
が、受講者が私よりも真剣に課題(実案件)に取り組んでくれなくてはお手上げだ。
本コースに本気で食らいつくなら、営業の数字が伸びるのは当然として、社内の地位が高まる。
平たく言えば、おおいに出世する。
私は本コースの終了後、受講者から昇進の知らせをしばしばいただく。
わがことのようにうれしい。

以下に、「提案営業の手本…営業提案書の見事な出来栄え」と題する2011年11月30日のブログを収める。

                      ◇◆◇

私が講師を務めた異業種交流・格闘型の「提案営業研修8日間コース」。
先週、研修成果物となる受講者の「提案書」が届き、その最終審査を行った。
そして、出来の優良な作品を2点選んだ。
どちらも顧客の上層部に渾身のプレゼンテーションを行い、大口商談を決定へ導いた力作である。
現物を見せられないのが残念・・・。
私が受講者へ寄せたコメントを紹介しよう。
きょう取りあげるのは製粉会社の中堅営業マンが作成した営業提案書。

「商品開発と店舗運営支援システム」

◆総評
同社は商品が例えば小麦粉であり、それ自体では差別化がきわめて難しい。
顧客に単に「買ってください」と迫ったところで、商談のテーブルにつけない。
素材メーカーの営業活動は、極論すれば“用途提案”のほかに考えられず、「提案営業」が必須である。
それも顧客の経営者の目線でどこまで「商品利用」に寄り添えるかの勝負になる。
本提案は直営店も展開する、地場の製パン会社に対するものだ。
表紙を見れば、提案の趣旨と概要が一目瞭然である。
すなわち、「地産地消による地域に根差した店づくり」の提唱。
生産者と消費者との交流、伝統的な食文化の継承など“食と農の結びつき”を打ち出しており、地域密着の掘り下げが際立っている。
しかも、商品開発のみならず店舗運営の支援に踏み込んでいる。
顧客の心を確実に捉える「提案営業の手本」といえよう。

◆内容
顧客は縮小市場のなかでマーケティング面など、さまざまな問題点を抱えて苦悩している。
そこで、業者として「商談」を行うのをやめ、パートナーとして「相談」に乗る姿勢に徹した。
独自商品を開発することにより優良顧客の囲い込みができるよう、渾身の知恵を絞っている。
ゆえに、製パン会社の繁栄の実現にフォーカスした内容に仕上がっている。
これこそが「役立ち(貢献)」を第一にする「提案営業」の基本精神である。
なかでも「顧客理解」の深さに脱帽する。
それを踏まえた内容は的確であり、かゆいところに手が届くとはこのこと!
それらを可能にする情報の共有や人材の育成など、社内のインフラの整備・強化にも内容が及んでいる。
素晴らしい!
この提案は特定の商品の販売を目的(着地)にするという類でない。
それだとその都度見積書を持っていくことになり、しかもその都度値引き要求に泣かされる。
顧客に個別の「取り引き」でなく、今後の「取り組み」をどっしりと持ちかけている。
したがって、提案が受け入れられると長期にわたるつきあいが叶い、高水準の収益が安定的に得られる。
「内容」の欄に面白さはない。
が、顧客と強力なタッグを組み(プロジェクトチームをつくり)、最終的に互いが成果を享受しようとする姿勢が光る。

◆表現
表現に派手さはない。
おそらく取締役へのプレゼンテーションを念頭に、ビジュアル要素や色づかいを意図的に抑えている。
しかし、内容と同様、実によく練りあげられ、すっきりとまとめられている。
まさしく“筋肉質”の出来栄えだ。
提案書はボリュームとしては大きくないが、上層部への働きかけに必要かつ十分な内容に絞り込んだうえで、簡潔かつ明快な文章力で要点を訴求している。
顧客が内容を理解する際にストレスをまったく感じないはずだ。
要は、とても分かりやすい。
全体的にセーブされた表現になっており、それが顧客の共感と信頼を得ることにつながっている。
非常に好感が持てる。
なお、「表紙」は傑作だ。
タイトル回りを中心に、一つひとつの言葉が吟味され研ぎ澄まされている。
さらに、それぞれのフレーズの連携が利いている。
見事!

◆今後
ソリューションに関しては、最高峰というレベルに到達している。
この「提案営業スペシャリスト養成編8日間」で学んだことを提案書という形にしっかりと落とし込んだ。
これは社内で素晴らしい“営業教材”になることだろう。
研修の成果を自身の成績の向上は当然として、後進の指導などにもぜひ生かしていただきたい。
営業の“牽引役”を期待する。

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