NHK朝の連続テレビ小説「梅ちゃん先生」。
堀北真希が不器用で一途なヒロイン・下村梅子を演じる。
決して器用といえない演技が持ち味の女優は、梅ちゃん先生がはまり役になった。
その効果を計算し、東京制作局は朝ドラオーディションを通さずにヒロインを指名した。

私は仕事で平日の放送はもちろん、週末のダイジェストもまれに見るくらいだ。
が、それでも十分に楽しめるつくりになっている。
むしろ、シナリオの必然性を追いかけてならない。
ストーリーの展開が早いし、意図的にゆがめられる。
よく言えば、日ごと、週ごとの意外性で視聴者を楽しまそうとしている。

先週土曜日、仕事の前にホテルの自室でちらっと見て驚いた。
下村梅子は、松坂桃李が演じる安岡信郎と結婚する。
隣家の「安岡製作所」の跡取りだ。
尾崎将也の脚本はやりたい放題である。

下村梅子が思いを寄せていた高橋光臣が演じる松岡敏夫とは価値観などが合わないので、それぞれが別の道へ進むのは不自然でない。
二人を結婚させるとしたら、松岡敏夫の人格が一変するほどの出来事をドラマに仕込まなくてならない。
高橋克実が演じる父・下村建造が望もうと、最終的に結ばれることはないと感じていた。
そもそも「梅ちゃん先生」は、梅子が父の期待を裏切り、父が結局、梅子の決断を受け入れるパターンを繰り返してきた。
尾崎将也の脚本が梅子と松岡との関係を入念に描いたのは、視聴者の期待を裏切るためだ。

また、このところの放送は、時代背景がドラマづくり(脚本)にほとんど反映されていない。
あえて巨費を投じて茨城・高萩の巨大なオープンセットから始めた「梅ちゃん先生」は何だったのだろうと、私は疑問に思う。
ドラマの展開や描写に当時ならではの必然性が薄い。

⇒2012年4月16日「梅ちゃん先生…高萩オープンセットはカネの無駄遣い?」はこちら。

私がもう一つ驚いたこと。
世良公則が演じる坂田医院の坂田俊一郎の姿を見ないと思っていたら…。
自分の誕生日に集まってくれる梅子らのためにケーキを買いにいき、交通事故で亡くなっていた。
人生は不条理で「一寸先は闇」といえ、尾崎将也の脚本は乱暴すぎる。
坂田俊一郎は下村梅子が地元の蒲田で開業医になるうえで、大きな影響を与えた。
そういうかたちで消してしまうのはどうか。

                       ◇

インターネットで調べたら、朝ドラ「梅ちゃん先生」は7月19日に23.1%というお化け視聴率を叩き出した。
プロデューサーや脚本家などの目論見どおり、放送当初から高視聴率を記録していた。
私は朝ドラファンを虜にし、近年まれな平均視聴率を残すと予想したが・・・。

Wikipedia(ウィキペディア)の「梅ちゃん先生」の項(頁)に視聴率が載っている。

◆週間最高視聴率(週間平均視聴率にあらず)

第1週=2012年4月2日〜4月7日:あたらしい朝が来た 20.5%
第2週=2012年4月9日〜4月14日:かがやく未来 20.9%
第3週=2012年4月16日〜4月21日:やるなら、やらねば 20.6%
第4週=2012年4月23日〜4月28日:ヒポクラテスの乙女たち 21.0%
第5週=2012年4月30日〜5月5日:もつべきものは、友 20.3%
第6週=2012年5月7日〜5月12日:次へのステップ 21.1%
第7週=2012年5月14日〜5月19日:愛のから騒ぎ 21.4%
第8週=2012年5月21日〜5月26日:ゆずれない思い 22.1%
第9週=2012年5月27日〜6月2日:インターンはつらいよ 21.2%
第10週=2012年6月4日〜6月9日:恋の後始末 21.7%
第11週=2012年6月11日〜6月16日:すれちがう気持ち 22.8%
第12週=2012年6月18日〜6月23日:大告白 22.3%
第13週=2012年6月25日〜6月30日:医師の自覚 22.3%
第14週=2012年7月2日〜7月7日:巣立ちのとき 22.0%
第15週=2012年7月9日〜7月14日:ちいさな嘘の、おおきな本当 22.0%
第16週=2012年7月16日〜7月21日:ふたつの道 23.1%
第17週=2012年7月23日〜7月28日:ここにいること 22.4%
第18週=2012年7月30日〜8月4日:大切な人 −

朝ドラ「梅ちゃん先生」視聴率はきわめて好調に推移している。

別のデータによる。

◆週間テレビ視聴率ランキング

4月2日〜4月8日:1位(4月5日放送分) 関西20.0% 関東18.8%
4月9日〜4月15日:2位(4月11日放送分) 関西18.2% 関東19.1%
4月16日〜4月22日:2位(4月20日放送分) 関西18.1% 関東19.7%
4月23日〜4月29日:1位(4月26日放送分) 関西19.5% 関東20.7%
4月30日〜5月6日:3位(5月1日放送分) 関西19.4% 関東19.6%
5月7日〜5月13日:1位(5月9日放送分) 関西21.3% 関東19.2%
5月14日〜5月20日:4位(5月17日放送分) 関西18.9% 関東19.4%
5月21日〜5月27日:1位(5月21日放送分) 関西19.9% 関東22.1%
5月28日〜6月3日:3位(6月1日放送分) 関西19.5% 関東20.6%
6月4日〜6月10日:4位(6月7日放送分) 関西19.5% 関東21.1%
6月11日〜6月17日:2位(6月15日放送分) 関西19.4% 関東21.4%
6月18日〜6月24日:3位(6月19日放送分) 関西21.2% 関東21.8%
6月25日〜7月1日:1位(6月27日放送分) 関西21.3% 関東21.0%
7月2日〜7月8日:1位(7月5日放送分) 関西20.3% 関東21.2%
7月9日〜7月15日:1位(7月10日放送分) 関西20.1% 関東20.8%
7月16日〜7月22日:2位(7月18日放送分) 関西19.9% 関東21.6%
7月23日〜7月29日:6位(7月26日放送分) 関西19.0% 関東20.7%

ちなみに、過去4作品の平均視聴率は以下のとおり(ビデオリサーチ調べ。関東地区)。
松下奈緒主演「ゲゲゲの女房」は18.6%。
瀧本美織主演「てっぱん」は17.2%。
井上真央主演「おひさま」は18.8%。
尾野真千子主演「カーネーション」は19.1%。

朝ドラ「梅ちゃん先生」視聴率は過去5作品で断トツである。
数字はどこまで伸びるのか?
制作陣の高笑いが聞こえる。

尾野真千子主演「カーネーション」は朝ドラ史上で最高の名作である。
堀北真希主演「梅ちゃん先生」は朝ドラ史上で未踏の迷作である。

                      ◇◆◇

朝ドラ「梅ちゃん先生」視聴率に関するブログは以下のとおり。

⇒2012年7月6日「梅ちゃん先生視聴率…朝ドラファンを虜にする面白さ」はこちら。

⇒2012年6月22日「堀北真希熱演、梅ちゃん先生高視聴率…空中分解の魅力」はこちら。

⇒2012年6月16日「朝ドラ梅ちゃん先生、絶好調の平均視聴率!」はこちら。

⇒2012年5月1日「梅ちゃん先生、高視聴率…素人芝居への挑戦」はこちら。

⇒2012年4月23日「朝ドラ梅ちゃん先生が面白い…平均視聴率上昇へ」はこちら。

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