私が浅田真央の演技でもっとも好きなのは「スパイラル」である。
フィギュアスケート史上で一番美しい。
あれはだれにもまねできない。

「トリプルアクセル」を跳ばなくても浅田真央だが、スパイラルを欠いては浅田真央でない。
勝利にほとんど貢献しないが、私はどうしてもプログラムに入れてほしい。

しかし、冷静に考えると、「スパイラルがすごい」というのは変な話である。
強い体幹や筋力、優れた柔軟性やバランス感覚に裏打ちされた技術なのは確かだが、技術でない。
浅田真央のスパイラルがすごいのは、存在が美しいからだ。

優れたコーチが指導を尽くしても、つくることのできない選手がいる。
浅田真央がそうだ。
男女を問わず、日本のトップクラスの選手との決定的な違いである(私は、選手自身の努力を否定しているわけでない)。
「ミスタージャイアンツ」というより「ミスタープロ野球」と称される長嶋茂雄がそうだった。

浅田真央も長嶋茂雄も努力する才能において人後に落ちない。
私は認める。
しかし、フィギュアスケートや野球に限った才能なら、もっと恵まれた選手はいるはずだ。
二人は存在が抜きん出ていたのだと思う。
浅田真央と長嶋茂雄は、つくろうとしてもつくれない。

やわらかなスパイラルを“売り”にする選手は米国などに珍しくない。
それでも「技」と感じさせる。
浅田真央は楽曲と振付に応じて多彩なスパイラルに挑んでいるのに、どれも「技」と感じさせない。
私は、無条件の美しさに目を奪われてしまう。

⇒2012年11月25日「浅田真央、天性の清楚さ」はこちら。

スパイラルはシンプルであり、しかもその際のスピード(スケーティングの速度に非ず)を強く求められないので、選手の“素”がもっともよく表れる。

浅田真央はスパイラルの名手とされ、そのポジションに芸術などの言葉が贈られる。
なかでも「ファン・スパイラル」に対する称賛が多い。
それは十分に納得できる。

しかし、私はもっともベーシックなスパイラルが好きだ。
清楚、のびやか、まっすぐ。
得点に反するが、ゆったりとした曲調に合わせたスパイラルは格別である。

浅田真央は何もしないほど美しい。
他の選手では考えられない。
つくられた美しさでないからだ。
言い換えれば、存在が美しいからだ。
私は、浅田真央の真骨頂だと思う。

長嶋茂雄はチャンスに強い打撃が語り草になっている。
が、特筆すべきは守備である。
おそらく技術も優れているが、突出して美しい。
私は、長嶋茂雄の真骨頂だと思う。

スパイラルも守備も観客に「うまさ」が伝わるようでは未熟。
浅田真央も長嶋茂雄も涼しげだ。
だからこそ、「神々しさ」が宿る。

⇒2012年6月23日「浅田真央と弥勒菩薩、清楚な慈愛…心の平安への祈り」はこちら。

そのスパイラルはショートプログラム(SP)の規定要素から外された。

競技として採点システムが細分化・厳格化されたフィギュアスケートは論理的に説明できない「美しさ」に対して冷淡であり、排除しようとする。
美の使者・浅田真央にきわめて不利な設計といえよう。
点の取り方に長けていないと、オリンピックで頂点に立ちにくい。
所詮、勝敗を決めるための方便にすぎず、おのずと限界がある。

浅田真央の魅力は採点の枠に収まりきらない。
得点で浅田真央を上回る選手がいる。
だからといって、価値が下がるわけでない。

長嶋茂雄の魅力は記録の枠に収まりきらない。
数字で長嶋茂雄を超える選手が多い。
だからといって、価値が下がるわけでない。

得点と数字にとらわれる人に、二人の美しさは分からない。

                      ◇◆◇

浅田真央に関するブログは以下のとおり。

⇒2013年2月15日「佐藤信夫が浅田真央に勝った…世界フィギュア予想」はこちら。

⇒2013年2月13日「浅田真央は恐ろしいことを言う…世界選手権2013」はこちら。

⇒2013年2月10日「浅田真央、万感の思い・・・表彰台の表情に感動」はこちら。

⇒2013年2月10日「浅田真央、3回転−3回転で金妍児に勝つ…世界フィギュア」はこちら。

⇒2013年2月7日「浅田真央、トリプルアクセル解禁か…四大陸フィギュア」はこちら。

⇒2013年1月2日「浅田真央、金妍児を倒し、悲願の五輪金メダルへ」はこちら。

⇒2012年12月24日「浅田真央、金妍児、ソチ金メダルへのシナリオ」はこちら。

⇒2012年12月16日「浅田真央とキム・ヨナの戦い…全日本フィギュア2012」はこちら。

⇒2012年12月15日「浅田真央、全日本フィギュア⇒世界フィギュア」はこちら。

⇒2012年12月1日「浅田真央、GPファイナル2012制覇へ…ソチ五輪会場」はこちら。

⇒2012年11月25日「浅田真央、天性の清楚さ」はこちら。

⇒2012年11月23日「浅田真央、ソチGPファイナル進出…NHK杯」はこちら。

⇒2012年11月9日「浅田真央は年頃の女性、和田創は還暦の男性」はこちら。

⇒2012年7月4日「キム・ヨナ、ソチ五輪で浅田真央と再び激突!」はこちら。

⇒2012年6月23日「浅田真央と弥勒菩薩、清楚な慈愛…心の平安への祈り」はこちら。

⇒2012年6月17日「浅田真央は佐々木健介に家庭的なぬくもりを求める」はこちら。

⇒2012年6月13日「浅田真央の寝心地を初体験」はこちら。

⇒2012年5月31日「浅田真央、SPもフリーもエキシビションも新プログラム」はこちら。

⇒2012年5月30日「浅田真央、顔も体もふっくら…美しくセクシー」はこちら。

⇒2012年4月5日「溺れる浅田真央は内村航平をもつかむ…立て直しのヒント」はこちら。

⇒2012年4月4日「浅田真央抜き視聴率…フィギュア国別対抗戦放送予定」はこちら。

⇒2012年4月1日「浅田真央、ライバルと戦う前に自分に負ける…世界選手権」はこちら。

⇒2012年3月29日「浅田真央、半伽思惟像のほほえみ…世界フィギュア選手権」はこちら。

⇒2012年3月25日「浅田真央は頂点へ…世界フィギュア選手権2012放送予定」はこちら。

⇒2012年2月12日「浅田真央、ソチオリンピックで金メダルはムリ・・・」はこちら。

⇒2012年1月11日「浅田真央、女王復活のシナリオ…世界フィギュア選手権2012」はこちら。

⇒2011年12月28日「浅田真央、視聴率の化け物…日本唯一のスーパースター」はこちら。

⇒2011年12月26日「浅田真央優勝、天上の母へ金メダルのクリスマスプレゼント」はこちら。

⇒2011年12月25日「浅田真央、全日本選手権感動大賞(女子部門)決定!」はこちら。

⇒2011年12月24日「浅田真央、明るい受け答え…笑顔に隠す深い悲しみ」はこちら。

⇒2011年12月23日「浅田真央の調子…全日本フィギュア選手権5度目の優勝へ」はこちら。

⇒2011年12月15日「浅田真央、全日本選手権2011出場…母・匡子さんへの供養」はこちら。

⇒2011年12月14日「浅田真央、好意に甘えるのもよし…特例で世界選手権代表選出」はこちら。

⇒2011年12月11日「鈴木明子、浅田真央の分まで頑張る…GPファイナル銀メダル」はこちら。

⇒2011年12月10日「浅田真央、母・匡子さんの願い『娘よ、悲しみを乗り越えて…』」はこちら。

⇒2011年12月9日「トゥクタミシェワは3Aを跳び、浅田真央を揺さぶる…GP決戦」はこちら。

⇒2011年12月6日「浅田真央、トリプルアクセル回避…グランプリファイナル2011」はこちら。

⇒2011年12月3日「浅田真央、トゥクタミシェワと激突!…GPファイナル2011」はこちら。

⇒2011年12月2日「佐藤信夫、はれものに触る…浅田真央に遠慮と我慢」はこちら。

⇒2011年12月1日「グランプリファイナル2011…鈴木明子と浅田真央が出場」はこちら。

⇒2011年11月28日「浅田真央、トリプルアクセルは代名詞から疫病神へ・・・」はこちら。

⇒2011年11月26日「浅田真央、見事なダブルアクセル…GPファイナル2011」はこちら。

⇒2011年11月26日「浅田真央、心のなかで『たかちゃん、ごめんね』」はこちら。

⇒2011年11月25日「浅田真央、跳びたいから跳ぶのは幼い…GPシリーズ2011」はこちら。

⇒2011年11月23日「浅田真央、GPファイナル2011進出の条件…ロシア大会」はこちら。

⇒2011年11月20日「浅田真央に負けるわけにいかない小塚崇彦…全日本選手権2011」はこちら。

⇒2011年11月13日「浅田真央、納得の笑顔…ソチ五輪金メダルへ確かな手応え」はこちら。

⇒2011年11月12日「浅田真央、完全復活は間近…GPシリーズ2011NHK杯復調」はこちら。

⇒2011年11月2日「浅田真央をあたたかく見守ろう…心強い小塚崇彦の存在」はこちら。

                      ◇◆◇

長嶋茂雄に関するブログは以下のとおり。

⇒2013年1月6日「松井秀喜は巨人監督へ…長嶋茂雄との絆」はこちら。

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