ソチオリンピック、フィギュアスケート個人戦の男子シングルが終わった。

羽生結弦が男子シングル初の金メダルに輝いた。
日本選手の金メダルは、トリノオリンピックのフィギュアスケート女子シングルの荒川静香以来である。
おめでとう!!!

私も寝不足と戦いながらの連日の日本応援が報われた。

羽生結弦は、ショートプログラム(SP)で衝撃的な高得点を出し、首位に立った。
金メダルは予想どおり、カナダのパトリック・チャンとの二強の争いになった。
日本選手がSP1位で折り返すのは初めてだった(不確か)。

点差は3.93点。
羽生結弦は技術点でやや優勢、パトリック・チャンは演技構成点でやや優勢であり、実力はほぼ互角である。
こうした条件では、精神力が勝敗を分ける。
メンタルコントロールができるかどうかだ。

フリースケーティング(FS)。
羽生結弦は、第4グループの21番滑走である。
19歳は、国民の大きな期待を一身に背負って登場した。
羽生結弦は調整がうまくいき、公式練習で2つの4回転ジャンプを決めていた。
しかし、直前の6分間練習で顔がこわばり、絶好調のはずのジャンプがおかしい。
私は、緊張で足が地についていないという印象を受け、本番が怖くなった。
いやな予感が的中した。

羽生結弦は最初の4回転サルコウを回ったものの転倒した。
次の4回転トゥループはきれいに決めた。
次のトリプルフリップはバランスを崩し、両手をついた。
全体に動きも切れも鈍い。
得点が高くなる後半へ向けて次第に立て直し、3連続ジャンプなどを決めた。

緊張がここまで滑りを狂わせてしまう。
羽生結弦は高難度ジャンプを得意とするのに、最大の得点源が揺らいだ。
技術点を稼げないと、パトリック・チャンとの対決は厳しい。
力が尽きたのか、演技後はしばらく立ちあがれなかった。
表情に彼特有の晴れやかさがなく、落胆がにじんだ。

178.64点(技術点 89.66点、演技構成点 90.98点、減点2点)。
GPファイナルで出したフリーの自己ベストより15点近く低い。
合計280.09点。
私はこの得点を見て、観念した。

パトリック・チャンは先行逃げ切りで勝ってきた。
逆転優勝はほとんどない(不確か)。
SPで先行されたパトリック・チャンは演技後に羽生結弦を追い込む発言を行い、巻き返しに強い自信を示した。
これは大きなプレッシャーの裏返しである。
私は、精神面があまり強くないと思っていた。
しかし、羽生結弦の平凡な得点は、世界王者を楽に滑らせてしまう。
高難度ジャンプのミスを誘うのが難しいのだ。

二人の滑走順は、羽生結弦に有利とされた。
パトリック・チャンは直後の22番滑走である。
羽生結弦は、ライバルの得点に左右されずに演技できるので集中しやすい。
が、私はふと思った。
羽生結弦は、滑走順が逆のほうが開き直れ、実力を発揮できたのでないかと…。
彼は逆境に強い。

パトリック・チャンは、普通に滑れば楽勝だった。
ところが・・・。
最初の4回転トゥループ−3回転トゥループのコンビネーションをきれいに決めた。
羽生結弦と対照的な出だしであり、私はすっかり諦めた。
しかし、次の4回転トゥループで両手をつき、トリプルアクセルでバランスを崩した。
さらに、最後のダブルアクセルでバランスを崩した。
彼には簡単なジャンプである。
全体を通じ、細かいミスが相次いだ。

178.10点(技術点 85.40点、演技構成点 92.70点)。
合計275.62点。

私は、大舞台で普通に滑ることの難しさを思い知らされた。
パトリック・チャンは公式練習でジャンプがうまく決まっていなかった。
羽生結弦に重圧をかけようとした彼が重圧につぶれてしまった。
二人に限らず、メダル圏内の選手は皆ひどく硬かった。
フリー全般の出来としては低調だったように思う。

宮城県出身の羽生結弦は、日の丸を掲げた。
朝ドラ「あまちゃん」の大ヒット、楽天イーグルスのプロ野球制覇に続いた。
東北の被災者の方々に最高のエールを送った。
それは、彼が強く望んだことだ。
非常に立派である。

羽生結弦は才能に恵まれ、そして何より努力を怠らない。
その結果が栄冠をもたらしたことを承知のうえで述べれば、今回の金メダルはつかんだものでなく転がり込んだものだ。
私が勝利という印象を持てなかったくらいなので、本人はもっとそうだろう。
少なくとも直後は実感がわかなかったはずだ。

羽生結弦が勝ったというより、パトリック・チャンが負けた。
そうした綾を含め、魔物が棲むオリンピックの大勝負である。

ソチオリンピックでの演技は、羽生結弦の実力からすれば、とても満足のいく出来でない。
この悔しさは、平昌オリンピックで晴らしてほしい。
その前に「世界フィギュア選手権2014」に出場する。
世界王者パトリック・チャンをぶっちぎれ!

各国ソチメダル獲得数ランキング(国別・地域別)

                ◇◆◇

羽生結弦に関するブログは以下のとおり。

⇒2014年2月14日「羽生結弦、ソチ金メダルへ…くまのプーさん」はこちら。

⇒2014年2月14日「羽生結弦、史上初SP百点超え…完璧ジャンプ」はこちら。

⇒2014年2月8日「羽生結弦金メダルの勢い…オーサー助言ずばり」はこちら。

⇒2014年2月5日「浅田真央か羽生結弦か…ソチ金メダル予想」はこちら。

⇒2013年11月17日「羽生結弦ソチ金、あまちゃんと楽天の勢い」はこちら。

⇒2013年11月16日「羽生結弦、経験の未熟さ…チャンに敗れる」はこちら。

⇒2013年11月15日「羽生結弦は容姿端麗の美男子…海外でも評判」はこちら。

⇒2013年10月27日「羽生結弦…名前とたたずまいの美しさ」はこちら。

⇒2013年3月16日「羽生結弦、調子最悪…ソチ五輪出場枠3瀬戸際」はこちら。

Copyright (c)2014 by Sou Wada

人気ブログランキング←応援、よろしく!