ソチオリンピック、フィギュアスケート男子シングル。
地元ロシアのスポーツ紙が「勝者なき勝利」との見出しで報じた。
羽生結弦の金メダルを大きく伝えながらも、「期待された内容の演技をできなかった」と手厳しかった。

フィギュアスケートは採点競技である。
ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)のそれぞれについて技術点と演技構成点を合算し、最高の得点を上げた選手に金メダルが与えられる。
むろん、ジャンプを競うのでなく、スコアを競う。

しかし、私は、とくに高難度ジャンプはフィギュアスケートの打ち上げ花火だと思っている。
これが不発だと、見る側に大きな不満が残る。
転倒はもちろん、バランスの崩れなどで、演技全体の印象が非常に悪くなる。
すかっとしないのだ。

先の記事は、金メダル争いを演じた羽生結弦とカナダのパトリック・チャンへの失望をつづっている。
それは、なかでも羽生結弦への期待が大きかったことを物語る。
また、母国のエフゲニー・プルシェンコが棄権した無念が背景にあるのかもしれない。

羽生結弦は、金メダル獲得の第一声が「緊張しました。すいません」だった。
ファンと国民への謝罪である。
同時に、悔しさを隠そうとしなかった。

羽生結弦は極度の緊張につぶれ、ジャンプにミスが相次いだ。
目指した世界一は遠のいた。
しかし、直後に演技したチャンも極度の重圧に負け、同様に得点を伸ばせなかった。
羽生結弦は「驚きしかなかった。うれしいという感情はなかった」と振り返った。
勝利の実感がわかないというのは率直な気持ちだろう。

羽生結弦はSPで圧巻の演技を見せ、衝撃の得点を叩き出した。
もともと国内評価も海外評価も高いが、これでさらに注目が増した。
どこか少女コミックに登場する男の子(ヒーロー)のような雰囲気を漂わせる。
この19歳は美男子と若武者が同居しており、艶めかしく荒々しいオーラを放つ。
SPでは妖しく謎めいた魔力で観客と審判を魅了した。
それだけに地元と世界のファンの関心が爆発的に盛りあがった。

羽生結弦は、フリーではベストの演技から程遠かった。
が、第一人者としてつねに注目が集まる存在になった。
3月には世界フィギュア選手権2014が行われる。
ここで皆が金メダリストと納得する滑りを示してほしい。

◆書き加え1(2月16日)

ロシアフィギュア界の重鎮、タチアナ・タラソワが男子シングルの結果に苦言を呈した。
「メダルをだれにも与えるべきでない。こんなに転んだオリンピックチャンピオンはいない」。

私は、そこまで言うかと思った。
浅田真央に余計なプレッシャーを与えるようなことはしないでほしい。

各国ソチメダル獲得数ランキング(国別・地域別)

                ◇◆◇

羽生結弦に関するブログは以下のとおり。

⇒2014年2月17日「羽生結弦、転がり込んだソチ金メダル」はこちら。

⇒2014年2月14日「羽生結弦、ソチ金メダルへ…くまのプーさん」はこちら。

⇒2014年2月14日「羽生結弦、史上初SP百点超え…完璧ジャンプ」はこちら。

⇒2014年2月8日「羽生結弦金メダルの勢い…オーサー助言ずばり」はこちら。

⇒2014年2月5日「浅田真央か羽生結弦か…ソチ金メダル予想」はこちら。

⇒2013年11月17日「羽生結弦ソチ金、あまちゃんと楽天の勢い」はこちら。

⇒2013年11月16日「羽生結弦、経験の未熟さ…チャンに敗れる」はこちら。

⇒2013年11月15日「羽生結弦は容姿端麗の美男子…海外でも評判」はこちら。

⇒2013年10月27日「羽生結弦…名前とたたずまいの美しさ」はこちら。

⇒2013年3月16日「羽生結弦、調子最悪…ソチ五輪出場枠3瀬戸際」はこちら。

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