私はもともとディズニーが好きで、キャラクター入りのネクタイを締めたこともある。
ブランド品でクオリティが高かった。
自分で言うのもなんだが、とてもよく似合った。

ディズニー映画「アナと雪の女王」は早くから気になっていた。
が、私が「アナと雪の女王」を観た最大の理由は、公開前にユーチューブで視聴した主題歌「Let It Go ありのままで」(レット・イット・ゴー。以下、レリゴー)の虜(とりこ)になったからだ。
歌うのは、雪の女王(姉のエルサ)役の松たか子である。
聞くほどに完璧な歌唱だと思った。
字幕版しかなかったら、映画館にわざわざ足を運ばなかったかもしれない。
松たか子はテレビや映画の女優だけでなく、舞台(芝居)の役者を務める。
物語の解釈が的確なうえ、強い声で歌唱に落とし込める。
それ以前に、頭がいい。

⇒2014年8月22日「松たか子と神田沙也加のちぐはぐ」はこちら。

レリゴーの出だしのつまずきはさすがだ。
エルサが逡巡や傷心を引きずり、歌になっていない。
内面と向き合い、一つひとつ確かめるようだ。

ありのままの自分を受け入れるにつれて歌らしくなり、やがて強い意思と大きなエネルギーで苦悩や不安を振り払い、自分を解き放っていく。

そして自らの魔力で一瞬にして築いた天空の「氷の宮殿」の表舞台に立ち、歌舞伎の大見得(おおみえ)を切るように歌い終わる。
松たか子はその血を引いているので、びしっと決めた。
勇気と希望に満ち、爽快感が凄い。

お父さん(9代目松本幸四郎)はとくにレリゴーの締めを聴いてしまうと、松たか子を歌舞伎役者(男)にしたかったと悔しがるはず(推察)。

⇒2014年8月21日「松たか子、才能と歌唱…アナと雪の女王」はこちら。

松たか子のレリゴーは厳密には劇中歌である。
ヒロインの心情の揺れとその変化をだれにも分かりやすく、親しみやすく表現した。
台詞(訳詞)と楽曲を融合させながら説得力のある世界をつくりあげた。
松たか子は繊細かつ大胆であり、「共感」を引き出すという点においてすべてのエルサ役でナンバーワンだと思う。
それもぶっちぎり。
私は実際、映画館でその世界に引き込まれ、しびれた。
(隣が妻でなく彼女だったら、手を握りしめていただろう。)

なお、May J.(メイ・ジェイ)が歌う「Let It Go ありのままで」はエンドソングであり、ポップスである。
劇中歌と比べることに意味はない。
こちらが主題歌。
本職が歌っているという感じで、私はうまいと思った。

当然ながら、松たか子とMay J.の起用は計算されている。

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