全日本卓球選手権の女子シングルス。
決勝は2年連続で石川佳純と平野美宇の対決になりました。

昨年は石川佳純が危なげなく4―1で勝利を収め、3連覇を成し遂げました。
今年は大方の予想に反し、平野美宇が4―2で初優勝を飾りました。
16歳9か月での優勝は佐藤利香の17歳1か月を上回る史上最年少記録になります。
見事に雪辱を果たし、両手を突き上げた派手なガッツポーズで喜びを爆発させました。

試合後のインタビューで「今回優勝しないと最年少にならない。絶対に優勝したいと思っていた」と語りました。
聞きようによっては、実にふてぶてしい発言です。

平野美宇はウェートトレーニングに初めて取り組みました。
また、昨秋に中国スーパーリーグで武者修行を行いました。
その成果が表れたのか、石川佳純を圧倒しました。
10月のワールドカップ(W杯)で中国勢以外で初となり、大会史上最年少となる16歳での優勝を飾り、世界で通用するとの手応えを感じていました。

おっとりとした性格の平野美宇が劇的に変わったきっかけは、2016年リオデジャネイロ五輪で代表入りを逃し、補欠に甘んじたことでした。
同い年の伊藤美誠が団体で銅メダルを獲得したのをスタンドで観戦するだけで、歓喜の輪に加われませんでした。
これで、もともとの「負けず嫌い」に火が着きました。

平野美宇は全日本選手権後にNHKのスポーツ番組に出演し、「嫌われてもいいと思えるようになった」という趣旨の発言をしました。
あっけらかんで、怖いものなしといった表情です。

アスリートは勝利がすべてと割り切り、ほしかった好感度にこだわらなくなりました。
そして、「優勝を狙う」などと公言し、自分を鼓舞しつづけました。
彼女はそうでありませんが、嫌われることをエネルギーに変えて戦うというのもありだと思います。
(講師やコンサルタントとしての私は嫌われることを大切にしてきました。)

リオ五輪以降の平野美宇にとくに目立つのは、果敢な攻撃姿勢です。
相手のミスを待たず、先手を取って畳みかけます。
石川佳純との決勝ではバックハンドの強打を両サイドに散らし、打点の高い強烈なスマッシュを打ち込みました。
女王を防戦一方に追いやっています。

平野美宇はこのまま卓球日本女子のエースに君臨するのでしょうか。
勢いもあり、母国開催の2020年東京五輪では中国選手を倒して金メダルを獲るかもしれません。

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