2015年「黄金のアデーレ 名画の帰還」サイモン・カーティス監督(英国・米国作品) ★★★☆

グスタフ・クリムトの「黄金のアデーレ(通称)」)という名画を巡る裁判の顛末が実話に基づいて描かれています。
映画のテーマから逸れますが、スクリーンで観るこの作品の美しさに息を飲みました。

一家はかつてオーストリアに暮らし、芸術をこよなく愛する裕福な実業家でした。
同居していた叔父とその妻アデーレは子どもがなく、二人の姉妹(姪)を可愛がりました。
クリムトが描いたのは、その叔母でした。
しかし、ユダヤ人であったために財産を奪われ、ナチスの迫害から逃れてアメリカに渡ります。

1998年のロサンゼルス。
妹が姉の遺品の手紙をきっかけに弁護士に相談するところから物語が始まります。

妹と弁護士はオーストリアで雑誌記者の協力を得て叔父の遺言書を手に入れ、所有権があることを確信しました。
この訴訟は世界的な注目を集めることになります。
オーストリアは国の至宝として絶大な人気を博していた名画の返還を拒みました。

そこで、弁護士は米国で返還請求を支持する判断を勝ち取り、オーストリアで調停に持ち込みます。
ついに「黄金のアデーレ」を含む美術品が妹に戻りました。
それでも両親を残して亡命したことを悔い、心が晴れないのでした。

進行中の法廷闘争に、ナチスによる迫害の回想シーンが織り込まれています。
見応えのある出来栄えです。

◇◆◇

以下は、和田創の映画評価に共通する趣旨とあらましです。

私が観てよかったと感じた映画について「★」を付します。
正確に述べれば、作品の評価というより、自分が繰り返して観るかどうかの手がかりです。
(私はすぐに忘れてしまいますので・・・。)
好き嫌いはおのずと反映されますが、といってそれだけでもありません。
作品の価値に対する感想も込めています。

実は、huluが5月17日に全面リニューアルを行った際、私が覚えのつもりで残してきた視聴作品の★がすべて消えました。
(この変更は改悪でした。)

このブログで幾度も述べていますが、仕事人間の私はパソコンの画面の片隅で流すという“ながら視聴”になります。
映画ファンに叱られてしまう接し方です。
しかし、ちゃんと観ようとしたら、おそらく永久に映画を楽しめません。

それゆえ、ストーリーが単純でないと厳しい。
また、語学がさっぱりなので邦画でないと厳しい。
★はいい加減な直観にすぎず、次に観たときには変わるかもしれません。
それでも、皆さまの鑑賞にいくらか参考になれば幸いです。

★は普通、★★★★★は最高、☆は★の半分。
(★はわりとよい。★★はかなりよい。★★★はとてもよい。★★★★はおおいによい。★★★★★は素晴らしい。)

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