ジャンプ基礎点後半1割増のナンセンス。
フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズを見て、つくづくそう思いました。
ショートプログラム(SP)でもフリースケーティング(FS)でも、演技後半に跳んだジャンプの基礎点が1.1倍、すなわち1割増しになります。
「体力が落ちる後半のジャンプは大変だから」がおもな理由なのでしょうか。
ナンセンスの極みです。
そうでなくてもジャンプを中心とした「技術」の比重を大きくし、過酷な練習を強いて身体の負担を増してきました。
そのうえに選手が疲れる後半にジャンプを跳ばせようとしています。
本格的な高難度ジャンプ競争に突入してから、十代半ばの選手にまでけがが増え、選手寿命を縮めています。
ジャンプに有利な体形を維持するために厳しい食事制限を行う選手が出てきます。
それが行き過ぎて摂食障害、さらに拒食症に追い詰められます。
アスリートも人間なのだから、採点方法や採点基準にもうちょっとやさしい心づかいがあっていい。
見る側も、FSの後半に7本のジャンプを詰め込まれてもフィギュアスケートならではの興趣がそがれます。
手を挙げた棒切れ状態でくるくる回られても面白くありません。
選手の動きがせわしなく、こちらにもストレスになります。
私がGPシリーズを見て印象に残ったのは、中国杯での本田真凜の美しさでした。
慎重に滑ろうとするあまり、アピールする力が弱かったなど不満に思うところはありますが、とても優美で繊細な演技でした。
表現の採点は人それぞれの感性や感覚といった主観に左右されやすく、客観性や公平性を保つのが難しいのは確かです。
とはいえ、本田真凜の得点はもうちょっと高くなってもいいのでないでしょうか。
GPシリーズの得点を見るかぎり、本田真凜の平昌五輪代表入りが厳しくなりました。
全日本フィギュアスケート選手権まで1か月ちょっとしか残されていません。
⇒2017年11月7日「本田真凜、五輪代表選考レースから脱落か」はこちら。
ジャンプ構成を大きく変えることはできませんので、スピンやステップの取りこぼしをなくし、ジャンプを含めてGOE(出来栄え点)を伸ばすことが一つ。
もう一つは、演技の完成度を高めていくことでしょう。
今年の世界ジュニア選手権で本田真凜が敗れたロシアのアリーナ・ザギトワはごく短期間で著しく得点を伸ばし、無敵の世界女王のエフゲニア・メドベージェワに追いつきそうな勢いです。
本田真凜はGPシリーズでロシアなどの有力選手、五輪代表枠を争う日本の有力選手とぶつかり、シニアにおける自身の水準や実力を確かめられました。
これまでは悪びれることなく「練習嫌い」を公言してきましたが、それでは世界のトップクラスと戦えないと身に染みて分かったはずです。
本田真凜が全日本選手権でチャレンジャーとして大胆に滑り、しかも完璧に演じられるなら、奇跡が起こらないと限りません。
この子は大勢の心を惹きつける天性の才能を備えていると思います。
私は平昌五輪に出てほしい。
彼女には彼女のよさがあるので、単に練習振りを宮原知子と比べるのは気の毒ですが、濱田美栄コーチの指摘のとおり、練習に打ち込むほかに活路を切り拓けません。
鬼のような厳しい言葉を吐くのも本田真凜に期待していることの裏返しでしょう。
◆書き加え(11月10日)
GPシリーズ第4戦「NHK杯」の公式練習に臨んだ羽生結弦にアクシデントが起こりました。
難度の一番高い4回転ルッツを跳んだ際に体の軸が傾きました。
(第1戦「ロシア杯」では初挑戦ながら成功させていました。)
着氷で右足をひねって転倒し、右の足首と膝を痛めました。
顔をゆがめたそうですから、かなりの痛みを感じたのでしょう。
羽生結弦はロシア杯で米国のネイサン・チェンに敗れて2位に留まり、その後は拠点のトロントで調整を積んでいました。
前人未到の5連覇がかかるGPファイナルに進出するためにNHK杯で勝つつもりでした。
フィギュアスケートに限らず、アスリートはけがの危険性と背中合わせで練習を行っています。
とりわけ4回転ジャンプは体への負荷が重くなります。
羽生結弦は現時点で出場の意向を持っているようです。
私としてはGPファイナルを諦め、平昌五輪までに最良のコンディションを整えてほしい。
◇◆◇
本田真凜に関するブログは以下のとおり。
⇒2017年11月7日「本田真凜、五輪代表選考レースから脱落か」はこちら。
⇒2017年11月4日「本田真凜、中国杯は全日本五輪選考前哨戦」はこちら。
⇒2017年11月3日「本田真凜に手を焼く濱田美栄コーチ」はこちら。
⇒2017年11月1日「本田真凜は三原舞依と樋口新葉と戦う・・・五輪代表」はこちら。
⇒2017年10月30日「本田真凜のメンタル、濱田美栄コーチの苦言」はこちら。
⇒2017年10月28日「本田真凜GPシリーズ「スケートカナダ」へ挑戦」はこちら。
⇒2017年10月15日「本田真凜は最高難度のジャンプ構成でGPシリーズへ」はこちら。
⇒2017年10月14日「本田真凜は2022年北京五輪代表でいいのか」はこちら。
⇒2017年10月10日「本田真凜、身に染みる五輪代表2枠の厳しさ」はこちら。
⇒2017年10月7日「本田真凜SPザ・ギビング(The Giving)」はこちら。
⇒2017年9月26日「本田真凜、浅田真央後継認定試験をパス」はこちら。
⇒2017年9月20日「天真爛漫な本田真凜に気合のスイッチ」はこちら。
⇒2017年9月17日「本田真凜の名言・・・シニアデビューで連発」はこちら。
⇒2017年5月5日「本田真凜はなぜうずうずしているのか」はこちら。
⇒2017年4月24日「真央から舞依、真凜へ、マママの系譜」はこちら。
⇒2017年4月5日「華のある本田真凜の3姉妹と兄の競演」はこちら。
⇒2017年3月26日「本田真凜と金妍児(キム・ヨナ)の共通点」はこちら。
⇒2017年3月25日「本田真凜のコメントに光る女優の感性」はこちら。
⇒2017年3月23日「本田真凜、早すぎる現役引退表明」はこちら。
⇒2017年3月21日「本田真凜は天衣無縫、この選手はいける」はこちら。
⇒2017年3月20日「気分屋の本田真凜に一つ残念なこと」はこちら。
⇒2017年3月19日「本田真凜、最高の笑顔で帰っておいで!」はこちら。
⇒2017年3月18日「本田真凜、坂本花織、白岩優奈はうふん!」はこちら。
⇒2017年3月17日「本田真凜の調子、世界ジュニア連覇の重圧」はこちら。
⇒2017年3月15日「本田真凜とザギトワの激突・・・世界ジュニア選手権」はこちら。
⇒2017年3月14日「本田真凜はいつもどおりで世界ジュニア連覇」はこちら。
⇒2017年2月13日「本田真凜は2百点超えで世界ジュニア連覇へ」はこちら。
⇒2017年1月13日「本田真凜は妹思い、姉の鏡なのか」はこちら。
⇒2016年12月26日「本田真凜の愛らしさと天性の表現力」はこちら。
⇒2016年9月13日「本田真凜、ジュニア女王の重圧・・・フィギュアGP」はこちら。
⇒2015年12月22日「本田真凜を本田望結が追いかける」はこちら。
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ショートプログラム(SP)でもフリースケーティング(FS)でも、演技後半に跳んだジャンプの基礎点が1.1倍、すなわち1割増しになります。
「体力が落ちる後半のジャンプは大変だから」がおもな理由なのでしょうか。
ナンセンスの極みです。
そうでなくてもジャンプを中心とした「技術」の比重を大きくし、過酷な練習を強いて身体の負担を増してきました。
そのうえに選手が疲れる後半にジャンプを跳ばせようとしています。
本格的な高難度ジャンプ競争に突入してから、十代半ばの選手にまでけがが増え、選手寿命を縮めています。
ジャンプに有利な体形を維持するために厳しい食事制限を行う選手が出てきます。
それが行き過ぎて摂食障害、さらに拒食症に追い詰められます。
アスリートも人間なのだから、採点方法や採点基準にもうちょっとやさしい心づかいがあっていい。
見る側も、FSの後半に7本のジャンプを詰め込まれてもフィギュアスケートならではの興趣がそがれます。
手を挙げた棒切れ状態でくるくる回られても面白くありません。
選手の動きがせわしなく、こちらにもストレスになります。
私がGPシリーズを見て印象に残ったのは、中国杯での本田真凜の美しさでした。
慎重に滑ろうとするあまり、アピールする力が弱かったなど不満に思うところはありますが、とても優美で繊細な演技でした。
表現の採点は人それぞれの感性や感覚といった主観に左右されやすく、客観性や公平性を保つのが難しいのは確かです。
とはいえ、本田真凜の得点はもうちょっと高くなってもいいのでないでしょうか。
GPシリーズの得点を見るかぎり、本田真凜の平昌五輪代表入りが厳しくなりました。
全日本フィギュアスケート選手権まで1か月ちょっとしか残されていません。
⇒2017年11月7日「本田真凜、五輪代表選考レースから脱落か」はこちら。
ジャンプ構成を大きく変えることはできませんので、スピンやステップの取りこぼしをなくし、ジャンプを含めてGOE(出来栄え点)を伸ばすことが一つ。
もう一つは、演技の完成度を高めていくことでしょう。
今年の世界ジュニア選手権で本田真凜が敗れたロシアのアリーナ・ザギトワはごく短期間で著しく得点を伸ばし、無敵の世界女王のエフゲニア・メドベージェワに追いつきそうな勢いです。
本田真凜はGPシリーズでロシアなどの有力選手、五輪代表枠を争う日本の有力選手とぶつかり、シニアにおける自身の水準や実力を確かめられました。
これまでは悪びれることなく「練習嫌い」を公言してきましたが、それでは世界のトップクラスと戦えないと身に染みて分かったはずです。
本田真凜が全日本選手権でチャレンジャーとして大胆に滑り、しかも完璧に演じられるなら、奇跡が起こらないと限りません。
この子は大勢の心を惹きつける天性の才能を備えていると思います。
私は平昌五輪に出てほしい。
彼女には彼女のよさがあるので、単に練習振りを宮原知子と比べるのは気の毒ですが、濱田美栄コーチの指摘のとおり、練習に打ち込むほかに活路を切り拓けません。
鬼のような厳しい言葉を吐くのも本田真凜に期待していることの裏返しでしょう。
◆書き加え(11月10日)
GPシリーズ第4戦「NHK杯」の公式練習に臨んだ羽生結弦にアクシデントが起こりました。
難度の一番高い4回転ルッツを跳んだ際に体の軸が傾きました。
(第1戦「ロシア杯」では初挑戦ながら成功させていました。)
着氷で右足をひねって転倒し、右の足首と膝を痛めました。
顔をゆがめたそうですから、かなりの痛みを感じたのでしょう。
羽生結弦はロシア杯で米国のネイサン・チェンに敗れて2位に留まり、その後は拠点のトロントで調整を積んでいました。
前人未到の5連覇がかかるGPファイナルに進出するためにNHK杯で勝つつもりでした。
フィギュアスケートに限らず、アスリートはけがの危険性と背中合わせで練習を行っています。
とりわけ4回転ジャンプは体への負荷が重くなります。
羽生結弦は現時点で出場の意向を持っているようです。
私としてはGPファイナルを諦め、平昌五輪までに最良のコンディションを整えてほしい。
◇◆◇
本田真凜に関するブログは以下のとおり。
⇒2017年11月7日「本田真凜、五輪代表選考レースから脱落か」はこちら。
⇒2017年11月4日「本田真凜、中国杯は全日本五輪選考前哨戦」はこちら。
⇒2017年11月3日「本田真凜に手を焼く濱田美栄コーチ」はこちら。
⇒2017年11月1日「本田真凜は三原舞依と樋口新葉と戦う・・・五輪代表」はこちら。
⇒2017年10月30日「本田真凜のメンタル、濱田美栄コーチの苦言」はこちら。
⇒2017年10月28日「本田真凜GPシリーズ「スケートカナダ」へ挑戦」はこちら。
⇒2017年10月15日「本田真凜は最高難度のジャンプ構成でGPシリーズへ」はこちら。
⇒2017年10月14日「本田真凜は2022年北京五輪代表でいいのか」はこちら。
⇒2017年10月10日「本田真凜、身に染みる五輪代表2枠の厳しさ」はこちら。
⇒2017年10月7日「本田真凜SPザ・ギビング(The Giving)」はこちら。
⇒2017年9月26日「本田真凜、浅田真央後継認定試験をパス」はこちら。
⇒2017年9月20日「天真爛漫な本田真凜に気合のスイッチ」はこちら。
⇒2017年9月17日「本田真凜の名言・・・シニアデビューで連発」はこちら。
⇒2017年5月5日「本田真凜はなぜうずうずしているのか」はこちら。
⇒2017年4月24日「真央から舞依、真凜へ、マママの系譜」はこちら。
⇒2017年4月5日「華のある本田真凜の3姉妹と兄の競演」はこちら。
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⇒2017年3月25日「本田真凜のコメントに光る女優の感性」はこちら。
⇒2017年3月23日「本田真凜、早すぎる現役引退表明」はこちら。
⇒2017年3月21日「本田真凜は天衣無縫、この選手はいける」はこちら。
⇒2017年3月20日「気分屋の本田真凜に一つ残念なこと」はこちら。
⇒2017年3月19日「本田真凜、最高の笑顔で帰っておいで!」はこちら。
⇒2017年3月18日「本田真凜、坂本花織、白岩優奈はうふん!」はこちら。
⇒2017年3月17日「本田真凜の調子、世界ジュニア連覇の重圧」はこちら。
⇒2017年3月15日「本田真凜とザギトワの激突・・・世界ジュニア選手権」はこちら。
⇒2017年3月14日「本田真凜はいつもどおりで世界ジュニア連覇」はこちら。
⇒2017年2月13日「本田真凜は2百点超えで世界ジュニア連覇へ」はこちら。
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