五輪シーズン5戦負けなし

フィギュアスケート男子シングルで高難度ジャンプ競争の火つけ役となったのが、米国の4回転ジャンパー、ネイサン・チェンでした。
早くからメディアで注目されていました。

しかし、私は世界のトップクラスの選手がそろう国際大会ではジャンプのミスから自滅するという印象を受けていました。
オリンピックシーズンを迎えて周囲の期待が高まっていましたが、金メダルを狙う羽生結弦と宇野昌磨の敵になりえないと思っていました。
メンタルが弱く、緊張や重圧に負けてしまうと・・・。

チェンが全米選手権で圧勝

そのネイサン・チェンが五輪代表選考会を兼ねる全米フィギュアスケート選手権で2位に40点以上の大差をつけて優勝を飾っています。
国内大会で非公認ですが、合計315.23点は低いスコアでありません。
フリースケーティング(FS)では5本の4回転ジャンプを成功させました。

ネイサン・チェンはGPシリーズで2勝し、さらにGPファイナルを制しました。
後者は僅差の勝利とはいえ、大変な自信になったことでしょう。
私自身は宇野昌磨がネイサン・チェンを倒すと信じて疑いませんでしたので、驚きました。

宇野昌磨も羽生結弦も不調

私はわりと最近まで平昌五輪での羽生結弦と宇野昌磨のワンツーフィニッシュは固いと考えていました。
(二人の順序は分かりません。)

しかし、宇野昌磨はこのところ持ち味の安定感が崩壊しました。
得点源の高難度ジャンプでミスが相次いでいます。
平昌五輪が迫るにつれて平常心で滑れなくなっているようです。
5戦連続で3百点を超えていたときの調子を取り戻すのはたやすくないようです。
本番までに立て直せるのでしょうか。

⇒2018年1月5日「宇野昌磨、平昌五輪へ調子が急降下」はこちら。

また、羽生結弦はGPシリーズ「ロシア杯」でネイサン・チェンに敗れています。
そして、GPシリーズ「NHK杯」で前日練習中に負傷して欠場し、5連覇のかかるGPファイナルに出場できませんでした。
さらに、全日本フィギュアスケート選手権を欠場し、救済措置により平昌五輪代表に選出されています。

羽生結弦は回復見込みが大幅に遅れ、氷上練習を再開したのはつい先頃です。
現時点で練習の強度がどれくらいか、4回転ジャンプを跳んでいるのか、それ以前に試合で滑りきる体力が戻っているかどうかも分かりません。
試合勘も鈍りますので、残念ながらベストコンディションで本番に臨むことはできません。

⇒2017年11月12日「羽生結弦は全治不明、平昌五輪に間に合うか」はこちら。

平昌五輪へチェンに大きな弾み

オリンピックシーズン当初は優勝候補の筆頭に挙げられていた羽生結弦と宇野昌磨が本番の直前でつまずいています。

それに対し、ネイサン・チェンは全米選手権を含めて、今季5戦負けなしとしました。
米国はもちろん海外メディアが一斉に金メダルの最有力候補と称えたのは、日本勢の状況を踏まえれば当然でしょう。

高難度ジャンプはメンタルの状態が出来に直結します。
基礎点の高いプログラムを組む18歳に大きな「弾み」がつきました。

私は羽生結弦と宇野昌磨に何とか間に合わせてほしい。
日本男子シングルは史上最強だったはずです。

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