初出場でもただ一人百点台を叩き出す

平昌五輪フィギュアスケートの男子シングル。
2月9日の開会式に先立って行われた団体戦ショートプログラム(SP)で有力選手が得点源のジャンプで大きなミスを連発しました。
そのなかでただ一人百点台を叩き出したのが宇野昌磨です。

演技後に申し訳なさそうに「緊張しなかった」と明かしました。
本人はそれではインタビューが盛りあがらないことを知っています。
オリンピック初出場にもかかわらず、普段どおりに滑りました。

ライバルが五輪に棲む魔物の餌食になるなか、宇野昌磨は五輪の魔物をぬいぐるみのように手なずけました。
この「五輪の魔物」とは、心に巣食う不安や重圧、緊張が実態です。
自分を信じきれない弱さと言い換えられます。

咄嗟の反応でミスを最小失点に留める

オリンピックは4年に一度の大舞台であり、すべてのアスリートが目標にしています。
しかし、宇野昌磨は以前から五輪を特別視しないと語っていました。
大会に優劣をつけることをしません。

個人戦でメダル争いに絡むといわれた米国のネイサン・チェン、ロシアのミハイル・コリャダ、カナダのパトリック・チャンは目を疑うほどの無残な出来でした。

それを最終滑走の宇野昌磨は控え通路のモニターで見ています。
会場が重い空気に包まれていきます。
次々と潰れていくライバルに「朝が早いからかな」「自分も失敗するかな」と不安を抱いて試合に臨んでいます。

その動揺が冒頭の4回転フリップで着氷の乱れにつながりましたが、左手をつくだけで踏ん張りました。
そして演技後半、不安に思っていた4回転トウループ+3回転トウループはきれいに着氷しました。
最後のトリプルアクセル(3回転半)は2.29点のGOE(出来栄え点)がつきました。

結局、集中力を失わず、しっかりと滑りきっています。
最初のミスを何とか最小限の失点に留められたのも体が咄嗟に反応してくれたからで、これは練習の賜物でした。

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朝が苦手という不安を吹き飛ばした

宇野昌磨が今大会でもっとも懸念したのは、競技が午前に開始されることでした。
米国でのテレビ放送の都合によるものです(不確か)。
出場選手は五輪前から生活の時間帯とリズムを変えて慣らしてきたはずです。

しかし、宇野昌磨は「早起き」が大の苦手でした。
しかも、起床後どころか午前中は動きが鈍い状態です。

本人は自分には無理と諦め、試合だけ頑張るという、いささか虫のいい決断を下しました。
マイペースを貫き、いつもどおりにするわけです。
これも五輪を特別視しないことと関係しています。

宇野昌磨は朝5時に目覚め、うとうとして6時くらいに起きました。
だったら6時に目覚めればいいと思いますが、そうはいかないようです。
公式練習では無理に体を動かそうとせず、アップもろくにしていません。
どこまでも自然体です。

「団体戦と個人戦は別物」ときっぱり

4年前のソチ五輪では羽生結弦が団体戦SPで1位になり、その勢いのまま男子シングルを制しました。
宇野昌磨は金メダルをつかみそうな予感がします。
ファンも日本人も期待して当然です。

ところが、宇野昌磨は浮かれていません。
「団体戦と個人戦はまったくの別物。たまたま僕がうまくいっただけで、何かつながるものはない」と謙虚に語りました。
20歳の若者のこの落着きはいったい何なのでしょうか。

それでもかなりの手応えを感じているだろうことは演技後とインタビューの笑顔から見て取れます。

宇野昌磨は持ち味の安定感を取り戻しました。
朝の弱点を克服するとともに平常心を保持できた経験は大きな自信になります。

16日に始まる個人戦には復帰の羽生結弦、中国の金博洋なども登場しますが、宇野昌磨はSPをノーミスで滑るなら 110点に迫る高得点を叩き出せるかもしれません。
いいイメージで臨めるのは確かです。

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宇野昌磨に関するブログは以下のとおり。

⇒2018年2月9日「宇野昌磨が平昌でネイサン・チェンをごくっと飲んだ!」はこちら。

⇒2018年2月7日「宇野昌磨と宇野藤雄が描く平昌五輪金メダル」はこちら。

⇒2018年2月5日「宇野昌磨と樋口美穂子コーチ、朝練なしの平昌五輪」はこちら。

⇒2018年2月1日「宇野昌磨はじゃんけんに負け、平昌五輪で勝つ」はこちら。

⇒2018年1月28日「宇野昌磨、平昌五輪金メダル獲得の必要条件」はこちら。

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