宮原知子に世界フィギュア欠場のすすめ
日本の代表3枠確保は問題なし
来シーズンに備える時間を取ってほしい

質重視の採点ルール変更は宮原知子に逆風

私は今シーズンからのフィギュアスケートの採点ルールの変更(改定)は宮原知子に追い風になると考えていました。
「質」が重視され、演技に綻び(ほころび)があると大きな減点になります。
宮原知子は「ミス・パーフェクト」の異名を持ち、目立った失敗は滅多に犯しません。
私は緊張の高まる大舞台でもはらはらさせられた記憶がほとんどなく、「安心と信頼の宮原知子」という形容は納得できます。
また、「表現力」に定評があります。
独自の世界観を具現する演技そのものの評価はとても高い。

⇒2018年11月10日「宮原知子、芝居がかった表情と表現力は唯一無二」はこちら。

しかし、採点ルールの変更にともない、高難度ジャンプの出来に対しても「質」が厳格に問われるようになりました。
エッジ不明瞭、回転不足、ダウングレードがびしびし適用されています。
見る側としてはいい出来だと感じても、審判員がつける点数は信じられないほど低くなります。
私の予想に反し、新しい採点ルールは逆風になっています。

いまは成長の踊り場、心身の活性化が必要

宮原知子は、全日本フィギュアスケート選手権で浅田真央と並ぶ4連覇を果たしています。
その浅田真央と同様、エースとして期待と重圧を背負いながら日本女子を引っ張ってきました。

昨シーズン、表彰台には上れませんでしたが、けがで絶望的と思われた平昌五輪に出場し、しかも4位と大健闘しました。
今シーズン、つらくて苦しいリハビリから解放され、北京五輪での表彰台を見据えてジャンプを中心としたスケーティングの見直しに励んでいます。

そのタイミングで、濱田美栄コーチ同門の16歳の後輩、シニア1年目の紀平梨花が一瞬で自分を追い抜きました。
張り詰めていた心の糸が切れたのかもしれません。
自らも気づいていなかった蓄積疲労がどっと出ても不思議でありません。

⇒2018年12月12日「宮原知子から努力を取ったら何も残らない」はこちら。

私が宮原知子に感心するのは、すでにベテランに達しているのに年々、鍛練と練習により進化を遂げている一途な姿です。
しかし、GPファイナルの滑りを見て、いまは成長の踊り場に差しかかっていると思いました。

大事なのは、現時点の「立ち位置」を受け入れること。
頑張らず、さっさと落ち込むのが「楽」です。
これからも現役生活を続けるうえで心身の活性化が必要になっています。

今シーズン後半は高難度ジャンプ習得に専念

私は宮原知子に今シーズン後半は試合を休み、来シーズンの巻き返しに備えてほしい。
具体的に述べれば、残りの時間をトリプルアクセルや3回転コンビネーションなど、より高難度のジャンプの習得に充ててほしい。

トリプルアクセル一つとっても、浅田真央は現役生活の大半をかけ、身体能力が抜群の紀平梨花は数年がかりで不安定ながらも跳べるようになりました。
宮原知子はダブルアクセルでも回転不足を取られています。
かなりの日数がかかるはずです。

私は、主要大会への出場とジャンプの抜本改良を並行させるのは不可能だと思います。
見直しに本気になると自分のジャンプが崩れ、試合に負けます。
試合に勝ちたいと、見直しがなかなか進みません。
国内で頂点に君臨してきた宮原知子が惨敗を喫しつづけるのはどうでしょう。
自信も失いかねません。
どちらかを捨てる決断を下さなければなりません。

宮原知子の最大の課題は、得点力の大きいジャンプをプログラムに組み込んで基礎点を引き上げることです。
ここをクリアできないと来シーズンに勝利を収めることも、その先の北京五輪に出場を叶えることもできません。
本人もGPファイナル後に「つねに下から上がってきますし、つねに勝ちつづけるのは難しい」と語っています。

全日本選手権では戦うより楽しむことを優先

宮原知子は世界フィギュアスケート選手権2019を欠場したほうがいいと私は考えます。
その代表選考会を兼ねる全日本フィギュアスケート選手権2018はきっと紀平梨花、宮原知子、坂本花織の順位になります。
しかし、三原舞依や本田真凜、しばらく動静の聞こえてこない樋口新葉が懸命に後を追っています。
宮原知子が世界選手権を欠場したとしても、あるいは世界選手権に出場できなかったとしても日本の代表3枠確保は何ら心配がありません。

全日本選手権の表彰台に上りながら世界選手権を辞退すると批判も出るでしょう。
しかし、すでに述べたとおり、宮原知子がずっと日本女子を引っ張ってきた功績を考慮してほしい。
出場機会を譲られた選手からクレームが出る心配もありません。

マスコミは前景気をあおるために宮原知子の5連覇と紀平梨花の初制覇にフォーカスするでしょう。
私は宮原知子に全日本選手権でライバルと戦うことを忘れ、初心に帰ってフィギュアスケートを楽しんでほしい。

浅田真央もそうですし宮原知子もそうですが、4連覇を飾ることができたのは自分より強い選手がほかにいなかったからです。
(GPファイナルでは無敵のアリーナ・ザギトワが破れています。)
何事も案外、「他力」なのです。
5連覇などにしがみつかなくていい。
(あの浅田真央を超えたと騒がれるだけ損です。)

敗れることは恥じでもなんでもない。
(はっきり言って4回は勝ちすぎでしょう、私は1回も勝ったことがない。)

フィギュアスケートは見た目の優雅さと異なり、恐ろしく過酷な競技になっています。
選手寿命を延ばすうえでも、競技人生を続けるうえでも、休養を挟むことが大事です。
(高難度ジャンプ習得の練習は休養でありませんが、試合の負担とは別物です。)

オリンピックまでいくらか間があります。
重い看板が外れれば、新鮮な気持ちで次の目標へ歩み出せます。
身軽になる。
宮原知子は自身の「再生」を第一にすべきです・・・。

category:宮原知子ブログはこちら。

◆書き加え(12月20日)

女子シングルでは1984年〜1991年に伊藤みどりが8連覇を達成して以来、5連覇はありません。
が、宮原知子は報道陣に「5連覇のことは考えていない。気負うことなくやるべきことをやりたい」と自然体を強調しました。
それでいいと思います。

高難度ジャンプの回転不足を克服できるなら、得点がまったく違ってきます。

◆書き加え(12月21日)

先ほどSPが終わりました。

1位 宮原知子(29番滑走)
   76.76点(40.54点 36.22点 0.00点)
2位 坂本花織(20番滑走)
   75.65点(41.08点 34.57点 0.00点)
3位 三原舞依(19番滑走)
   72.88点(39.48点 33.40点 0.00点)
4位 樋口新葉(25番滑走)
   72.63点(38.79点 33.84点 0.00点)
5位 紀平梨花(27番滑走)
   68.75点(36.54点 33.21点 1.00点)
※点数はSP(TES、PCS、減点)です。

中野園子コーチ同門の三原舞依と坂本花織は互いにパーフェクトな演技を見せました。
樋口新葉は久し振りに元気一杯の滑りを見せ、ほっとした表情を浮かべています。

紀平梨花は滑る前からあれだけ足下を気にしていてはトリプルアクセルを跳べるはずがありません。
スタートポーズで顔が引きつっており、これまでの勢いがすっかり消えています。

宮原知子はGPファイナルで得点伸び悩みの最大の原因となった回転不足を解消しました。
安定した演技を見せ、「ミス・パーフェクト」の復活を印象づけました。

山下真瑚は 62.94点で9位、白岩優奈は 59.99点で12位、本田真凜は 52.75点で18位です。

私は坂本花織と樋口新葉が大健闘という印象を受けました。
紀平梨花はFSに同じスケート靴で臨むしかありませんので、さすがに8点以上の差は引っ繰り返せません。
5連覇を目指す宮原知子と初制覇を目指す坂本花織の戦いになるように思います。
が、ひょっとしたら樋口新葉が割り込んでくるかもしれません。
故障明けで7本のジャンプを跳び、4分を滑りきれるかどうか。

演技そのものに破たんのない宮原知子が5連覇へ前進したのは確かです。

◇◆◇

宮原知子に関するブログは以下のとおり。

⇒2018年12月12日「宮原知子から努力を取ったら何も残らない」はこちら。

⇒2018年12月3日「フィギュアGPファイナル2018優勝予想・順位予想」はこちら。

⇒2018年11月11日「宮原知子、濱田美栄コーチ同門の紀平梨花にライバル心」はこちら。

⇒2018年11月10日「宮原知子、芝居がかった表情と表現力は唯一無二」はこちら。

⇒2018年10月23日「宮原知子は横綱相撲、スケートアメリカで坂本花織を圧倒」はこちら。

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